田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

雪はいつも白い「絵の中の雪」/麻屋与志夫

2011-08-04 11:31:33 | Weblog
4

人は一生夢をみつづけることはできない。
悲しいことだが、いつか破綻がやってくる。
夢をみつづけて死んでいった夫が恨めしかった。
雪はいつでも白い。
美しい結晶。
白の幻想をひとにあたえてくれる。
だが、人は老いる。
美しく思われたものが、いつまでも美しく魅惑的であるとはかぎらない。
命もつきるときがある。
どんなに愛していても意見がわかれる。
長い間には、幻滅もおそってくる。
とくに、逆境にある夫との生活では、そうしたことが間々あつた。

「美智子おばさんのことは、
父からもおばあちゃんからも聞いていました。
意外なご返事です」

わたしが、消極的な反対意見をのべたことが、ショックだったらしい。
わたしなら、亜莉沙の望みに賛成してくれる。
そうおもっていたのだろう。

「つらいこともあるのわよ」

返事はない。

雪はさらにひどくなった。
「いますこしですから」
亜莉沙がしばらくしてからつぶやいた。
「おばさんなら、
わかってもらえるとおもっていました。
お会いできるのが、たのしみでした」




 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村