〈 3. 3月29日 「植村秀樹・流通経済大教授 ( 64才 ) 」「日米一体化 抑止にならぬ」
「小谷哲男・明海大教授 ( 44才 ) 」 「切れ目埋め 危機に対処を」 〉
「国民の審判」を表すものとして、共同通信社の記事を3件上げ、2件の紹介が終わり、最後の一件となりました。植村、小谷両教授の記事に入る前に、なぜ朗報と考えるかにつき説明します。
これは、同社が千葉日報に配信した記事の中で、初めて読む真正面からの「両論併記」の実例です。紙面の半分を使う大きな記事で、両氏の顔写真があります。左翼学者にばかり紙面を提供せず、保守系の学者にも意見発表の場を作るべきというのは、マスコミに対する長年の要望でした。
記憶する限り3月29日の記事は、紛れもなく「両論併記」で、対立する意見を同時掲載し、読者に委ねています。客観報道とは、こういう紙面を言うのではないでしょうか。反日の朝日や東京新聞が、同様のことを始めたのかどうか知りませんが、同社だけの紙面作りとしても、日本にとって画期的なことです。
「平和憲法を守れ」、「戦争法を許すな」の一本槍では、国民の支持を失うという危機感がさせたでしょうから、これを「民意」と理解し、「国民の審判」と名づけました。記事の中身は明るくありませんが、同社の姿勢が変化しているところに、明るい光を見ます。
マスコミと野党が大反対する中で、安倍内閣が成立させた「安全保障関連法」について、同社が特集を組みました。植村教授は「安全保障関連法」を評価せず、米国の戦争に日本を巻き込む危険な法律だと語ります。小谷教授は、「安全保障関連法」を是認し、これからは米国に頼るばかりでなく、共同で安全保障体制を作るべしと述べています。
今後、こういう姿勢で共同通信社が記事を全国発信するとしたら、国民の意識がさらに変わり、日本が変わります。いつもなら左翼学者の側に立つ説明が、3月29日の記事は違います。
「集団的自衛権行使を容認した、安全保障関連法は、29日で施行から6年となった。」「ロシアのウクライナ侵攻が続き、中国による台湾への軍事圧力が高まる。」
特集記事を組んだ理由の、説明をしています。
「日本はどう対応すべきか。」「ともに安全保障に詳しい植村秀樹・流通経済大学教授と、」「小谷哲男・明快大教授に、最近の情勢を踏まえて聞いた。」
両教授の意見の要点を、箇条書きにして紹介します。
〈 植村秀樹教授の意見 〉
・「安全保障関連法」の施行以来、日米の一体化がどんどん進んでいる。
・沖縄の負担はほとんど減っておらず、「本土の沖縄化」だけが進んだ。
・米国の中国包囲網の中に日米一体化はあり、米国の世界戦略の一環だ。
・米国の国力が落ち、軍事力の低下を日本が補っていると、中国は見るだろう。
・間接的な協力だけをしていた日本が、攻撃もしてくるかもしれないと、緊張感を高めかねない。
・台湾有事では、米国は「台湾関係法」があるため介入する可能性がある。そうなれば、日本が巻き込まれることは明らかだ。
・発動につながる「存立危機事態」の認定は、結局は日米両政府の判断だ。
・日本は米国追随で主体性がなく、姿勢が見えない。
・台湾有事だけでなく、世界のどこでも米国支援の名目で巻き込まれる恐れもある。
・国民の関心は薄く、メディアや野党の追及も弱い。事態は悪化している。
以上が、植村教授の意見の要点です。せっかくの両論併記ですから、ここで私の意見を挟まず、次は小谷教授の意見を紹介します。