ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

憲法制定過程に関する、政府の資料 - 11

2024-08-26 18:41:43 | 徒然の記

          第三段階  日本国憲法制定

    1.    「極東委員会決定」と「マッカーサー書簡」

    2.   日本国内における憲法改正の検討の動き

 目次に従って、「政府説明」を紹介します。

 〈 1.    「極東委員会決定」と「マッカーサー書簡」 〉 

  ・帝国憲法改正案は、昭和21 ( 1946 ) 年10月7日に議会を通過したが、極東委員会の内部では、日本におけるこの手続がポツダム宣言等の意図した、日本国民の自由な意思の表明に当たるかどうかを疑う声があった。

  ・そこで、日本国憲法公布直前の10月17日、極東委員会は、新憲法が真に日本国民が、自由に表明した意思によってなされたものであることを確認するため、日本国民に対して、その再検討の機会を与えるべきである旨を決定した

 「日本の新憲法の 再検討に関する規定」と呼ばれるこの決定は、本当に11月3日の交付直前に出されています。

 マッカーサー元帥がこの規定に基づき、翌年の昭和22 ( 1947 ) 年1月3日に、吉田首相宛に次の内容で文書を出します。

 ・「憲法施行後1、2 年以内に憲法改正の検討をすることと、憲法改正の国民投票を容認する。」

 ・この「マッカーサー書簡」に対し、吉田首相は次のように返信した。

 ・「内容を子細に心に留めました。」

 ・なお3月27日、極東委員会の決定 ( 「日本の新憲法の再検討に関する規定」 ) が日本国民に向け公表された。

 同年5月3日から新憲法が施行されますので、極東委員会がマッカーサー元帥にギリギリまで抵抗していた事実が明確になりました。「政府説明」は参考資料として、当該規定を掲載しています。

 〈【参考】「日本の新憲法の再検討に関する規定」〉( 極東委員会が決定・公布  )

   1.   公布の後相当の期間をへて、極東委員会の検討と政策決定の結果、加えられた変更又は加えられるかもしれない変更とともに、現行の憲法の法的な継承者となる新憲法は、次項にかかげるところによつて、国会と極東委員会とによる再審査をうけるものとする。

     2.   日本国民が、新憲法の施行の後、その運用の経験にてらして、それを再検討する機会をもつために、かつ、極東委員会が、この憲法はポツダム宣言、その他の管理に関する文書の条項を充たしていることを確認するために、

       ・本委員会は、政策事項として、憲法施行後1年以上2年以内に、新憲法に関する事態が国会によって再審査されねばならないことを、決定する。

    ・極東委員会もまた、この同じ期間内に憲法の再審査を行う。ただし、このことは、委員会が常に継続して権限を持っていることを損うものではない。

      ・極東委員会は、日本国憲法が、日本国民の自由な意思を表明するものであるかどうかを決定するにあたって、国民投票、又は憲法に関する日本人の 意見を確かめるための、他の適当な手続をとることを要求できる。

 政府説明の1項目はこれで終わり、続けて2項目に入ります。

 〈 2.  日本国内における憲法改正の検討の動き 〉

  ・しかし、憲法施行直前に吉田内閣は退陣し、後継の片山内閣・芦田内閣時代においても、国会における憲法改正の検討は進まなかった。

  ・結局、憲法改正への世論の強い支持がないことを主な理由として、国会における憲法改正の検討は立ち消えとなり、

  ・昭和24 ( 1949 ) 年4月20日、衆議院外務委員会において、「政府においては、憲法改正の意思は目下のところ持っておりません。」と、吉田首相が答弁するに至った。

  ・なお、そもそも吉田首相は、「憲法改正」は、国民の総意が盛り上がって改正の方向に結集したときに、初めて乗り出すべきものと考えていたとされている。

 以上で「第三段階」の「政府説明」の全てを紹介しました。気づかれた方がいると思いますが、この中に「目から鱗の事実」と「驚きの事実が」含まれています。

 簡単と言えば簡単、複雑と言えば複雑なので、残されたスペースでは説明しきれません。申し訳ないことですが残りを次回にしますので、「目から鱗」の事実を確認し「ねこ庭」と共に驚きたい方は、ぜひ次回へ足をお運びください。

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