まず、政府説明にある事実を整理しますと下記の通りです。
・昭和21年2月1日 松本案「憲法改正要項」が毎日新聞にスクープされた。
・昭和21年2月3日 マッカーサー元帥が驚き、ホイットニー民政局長へ「マッカーサー三原則」を指示
・昭和21年2月4日 ホイットニー局長が、総司令部案作成にかかった
・昭和21年2月8日 日本政府が、松本案「憲法改正要項」を総司令部へ提出
次に、我妻氏の説明にある事実を整理して並べます。
・昭和21年2月14日 南原総長の発案で、学内に憲法研究委員会を設けた。
・昭和21年3月6日 突如として政府の「憲法改正要綱」が発表された
これについて討議決定し、第一次報告書を作成した
・昭和21年4月17日 次いで 「内閣草案」について逐条審議を重ねた上で、第二次の報告書を作成し、会の任務が終わり解散した。
つまりホイットニー局長の指示で作成された「マッカーサー草案」は、極秘で南原総長へ渡され、憲法研究委員会で逐条審議が重ねられていたのです。審議委員会のメンバーの名簿があります。
再度紹介しますので、確認してください。
委 員 長 宮沢俊義 ( 法学部 )
特別委員 高木八尺 ( 法学部 ) 杉村章三郎 岡 義武 末弘厳太郎
和辻哲郎 ( 文学部 ) 舞出長五郎 ( 経済学部 )
委 員 我妻 栄 ( 法学部 ) 横田喜三郎 神川彦松 尾高朝雄
田中二郎 刑部 荘 戸田貞三 ( 文学部 )
板沢武雄 大内兵衛 ( 経済学部 ) 矢内原忠男
大河内一男 丸山真男 ( 法学部助教授 ) 金子武蔵 ( 文学部助教授 )
著名な教授たちの中にはマルキストもいますし、愛国者だったのに変節した人物もいますが、一番有名だったのは宮沢俊義氏で、憲法学では日本の第一人者と言われていました。
えっ、こんな人物も仲間だったのかと、驚く名前もあります。こうした著名な教授が、嬉々として「マッカーサー草案」を検討したのですから、総司令部と国内の反日左翼勢力が喜びました。
「アメリカの押しつけなんてとんでもない。日本人が自主的に作ったんだ。」
と、こんな意見が出てくるようになりました。だから「ねこ庭」では7年前、名簿にある教授を「変節した学者たち」と呼び酷評しました。
・委員のうちの相当の数が貴族院議員や、法令制定を任務とする委員会の委員となったので、その際には、「憲法研究委員会」で得た知識を活用した。
講演会で我妻氏が語っていたように、東大の左翼教授たちは政府委員として、あるいは国会議員として、その発言が重要視されるようになります。
東大だけにとどまらず、関西、近畿、中部、中国、四国、九州、北海道と、左系・リベラル系教授たちの連携が広がり、GHQと阿吽の呼吸で通じた彼らが学界の一大勢力となりました。
彼らは「日本学術会議」や「東大社会科学研究所」のメンバーになり、現在の「憲法改正反対勢力」の先頭に立つ反日左翼系学者を育てました。
こういう先生たちが栄光に輝いていても、「ねこ庭」からは、GHQを足がかりに出世し、反日左翼思想を広げた「獅子身中の虫」にしか見えませんでした。
7年前は彼らを酷評するだけでなく嫌悪し憎みましたが、今は激しい嫌悪と憎しみが消えています。
先日西田議員の研究をし、「今は消滅した政党」について検討して以来、大きな心境の変化を経験しました。
日本の戦後史という大河の流れで眺めれば、これらの人々は皆日本の国民です。聖徳太子の言葉を借りて言いますと、意見が違っても争っていても、「和をもって尊しとなす」です。
お互いの存在を認め合うのが、本来の日本人なのでしょう。「ねこ庭」も聖徳太子の言葉を見習おうと努力しています。
別の視点から考えますと、彼らは昭和天皇を守るため「マッカーサー草案」を命じた元帥に協力していたのですから、陛下のお命を守ることに貢献したと言えないでもありません。
だから「日本国憲法」がこのままで良いとするのではなく、日本の独立を取り戻すための「憲法改正」の意見は不変です。
戦後史の大河の流れに消えた多くの政党と、故人となった政治家たちの名前と顔を考え、悲喜交々の人間模様を知りましたので、過去の個々人を憎む気持だけは捨てました。
次回はメインテーマを外れますが、変節した学者たちが残した厄介な遺物の一つを紹介いたします。
私も以前から疑問に思ってたところですが、、、、
現在の憲法が、当時のアメリカ占領軍から押し付けられたものであることは、
様々な歴史資料を見ても、自明の理でありますのに、、、
それにもかかわらず、「現憲法は、日本人が『自主的に?』作った憲法だ」と言い張るひとが
いるのには、うんざりします。
そのあたりの理由や経緯も、このブログで明らかにされることを期待しています。
ただし、憲法1条の天皇陛下象徴の規定は、日本人の輿論から乖離してはいないと思いますが。。。
◆まだ、暑さは続いていますが、朝夕は秋の面差しも感じるこの頃です。
何事もお身体を第一と思し召され、御自愛下さいませ。
◎窓の猫 夏の名残の 空仰ぐ
「言い張る人」の中に、政府機関が含まれています。
「象徴天皇」の規定に、貴方が大きな違和感を感じられていないように、現憲法は「玉石混交」の思考の玉手箱です。
立場の違う人が自分に都合の良いところだけを見て、批評できる曖昧憲法です。
西田氏の研究で失敗しましたので、今回も貴方の予想される研究となるのかどうか、自信がありません。
暑さの折です。貴方も体を労わりながら、無理をなさいませんように・・・
コメントに感謝いたします。