ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

「日航機墜落事故」・『女性自身』の記事 - 3

2024-08-05 21:09:51 | 徒然の記

 今回も、『女性自身』の記事の続きを紹介します。

  ・しかし事故調査報告書には「付録」があり、それが2013 ( 平成25 ) 年に国土交通省ホームページで公開されていたことが、後にわかった。

  ・その116ページには、事故機の垂直尾翼の部分に「異常外力の着力点」として黒丸がマークされており、報告書で結論された原因「圧力隔壁の破壊」に対して疑問が広がったのだ。

  ・吉備さんは憤りを隠さない。

 「日航や国の対応は当初から辻褄が合わず、おかしな点ばかり。国も日航も、何か隠している気がして、疑問を持ち続けていました。」

 「真相を追究するためには、日航が保管しているボイスレコーダー、フライトレコーダーの音声を聞くしかない。」

  ・股関節に持病があり、車椅子が必要なほどの吉備さんが、齢80にして立ち上がった裁判だったが、2023 ( 令和5 ) 年の控訴審判決の棄却理由を要約すると、

  (1)ボイスレコーダー等の内容は、事故調査報告書に添付され公開されているため、開示の必要はない。(編集部註=同報告書で公開されたのはボイスレコーダーの全部分ではなく、抜粋と思われる書き起こしのみで、音声はなし)

  (2)かつて吉備さんと日航等とのあいだで成立した和解(前述)は、同事故についてのすべての請求権を消滅させるものだから、ボイスレコーダーの請求権もない

  ・そして今回、最高裁で上告棄却と上告受理申立の不受理が決定したのである。

  ・異常外力着力点(前述)に加えて、上野小学校の児童の文集など新証拠が続々見つかり、報告書の矛盾が多く出てきています。

  ・それなのに、裁判では『報告書に書いてあるからボイスレコーダーの開示は不要』とされてきたのです。

 裁判の内容を『女性自身』が詳しく説明していますが、他社がしていないので、勇気のある記事と思えてきました。三流ゴシップ週刊誌と、「ねこ庭」が認識を改めた記事です。

  ・そもそも「異常外力着力点」という表記が注目されたのは、報告書の付録の存在を指摘した青山透子著『日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす』( 河出書房新社 )が出版された2020年以後であり、吉備さんたちが請求権を放棄したとされる「和解」は、20年以上も前に結ばれていたものである。

  ・最近になって新しい証拠が、しかも報告書から出てきたわけで、本来、報告書は再検証されてしかるべきなのだが、裁判所は新しい証拠より20年も前に結ばれた取り決めを優先させたということになろう。

  ・しかしいま、吉備さんは、気丈に前を向こうとしている。

  「今月6日に転倒してしまい、主治医から『2週間の安静』と言われていたんです。でも『今日はなんとしても』と起き上がって、みなさまへの報告に上京しました。」

  「天国の夫には、今日の時点では『残念な形でした』と報告するしかありません。」

  「なんだか、夫に頭をコツンとされたような気もするんですが、できるだけのことを、これからも頑張りたいと思います。そのとき初めて『もういいよ』と言ってくれる気がして・・・」

 吉備さんの話はまだ続きますが、大切な部分なのでスペースを十分に取り、次回に紹介いたします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「日航機墜落事故」・『女性自身』の記事 - 2

2024-08-05 18:09:53 | 徒然の記

 私たちが知らなかった「日航機墜落事故」の裁判の流れが分かりますので、今回は、同社の記事 ( 令和6年5月24日 ) の紹介がメインとなります。

 裁判を争っていたのは原告・吉備素子さん(81)で、この方は夫・雅男さん(享年45)を同事故で失っています。今年の5月23日午後に最高裁判所の判決が出た後、東京で行われた記者会見で次のように述べています。

  「最高裁の結果は、とても残念な形になってしまいました。しかし、夫を失った39年前には、このように真実を追求するために裁判できるなどと思ってもみませんでした。」

  「上告棄却となりましたが、これではあきらめきれません。なぜ、あのような事故が起きて、なぜ、夫を含む520人もの尊い命が犠牲になったのか、その事故原因を、これからも追究していきたいと思います。」

 これ以後が、裁判の経過を説明する同社の記事です。

  ・1985 ( 昭和60 ) 年8月12日18時56分に、群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落した羽田発大阪行き(ボーイング747)には、乗員・乗客524人が搭乗していたが、生存者はわずか4人。

  ・犠牲者520人という単独機世界最大の大惨事にもかかわらず、発生から36年間、日本では一度も裁判が行われてこなかった。

  ・そんななか吉備さんは2021 ( 令和3 ) 年3月、日航に対して民事訴訟を東京地裁に起こしたが、同年 10月13日に地裁は請求を棄却。

  ・その一審判決を不服として控訴するも、2023 ( 令和5 ) 年6月1日に棄却。

  ・その控訴審判決を不服として、上告および上告受理申立を行っていたのだが、最高裁は今年2024 ( 令和6 ) 3月28日付で上告棄却および上告受理申立の不受理を決定した。

  「これによって、本件訴訟は終結しました。『なぜ夫がこの事故で命を失わなければならなかったのか、納得できる原因を追究したい』という吉備さんの望みに、司法が応えることはありませんでした。」

  ・代理人の三宅弘弁護士は、苦渋の表情でそう語った。

 同社の記事は二審の高等裁判所の説明を1行で報じていますが、産経新聞のネット記事が次のように詳しく報じていました。

 〈「産経 NET」  

   ・日航機墜落記録開示認めず 乗客遺族、再び敗訴

 東京地方裁判所の判決が出て、その後2年かけて東京高等裁判所が控訴を棄却しています。産経の記事は、裁判長の名前まで明記しています。 

 ここからまた、『女性自身』の記事へ戻ります。

  ・同事故は発生直後から、日航による事故原因の説明はなく、運輸省(当時)事故調査委員会による’87年の事故調査報告書で《ボーイング社の修理ミスが原因で後部圧力隔壁が破壊、急減圧が発生し、垂直尾翼が吹き飛ばされたことが原因》とされ、以後の調査は打ち切られていた。

  ・他の遺族も含めて何度も訴訟が準備されたが、刑事事件としての告訴は不起訴処分に終わり、32件あった損害賠償請求はすべて和解となり、真相究明から遠ざかるばかりだった。

 同社の説明から、「日航機墜落事故」に関しては吉備さんだけでなく、多くの関係者が訴訟を起こしていたことが読み取れます。

 裁判は大きく民事裁判と刑事裁判に分かれ、損害賠償が争われるのは民事裁判ですから、32件あったとされる裁判は「民事裁判」ということになります。刑事事件としての告訴は不起訴処分に終わったと説明されていますから、双方合わせるとかなり多くの裁判が起こされていたことが伺えます。

 32件の民事裁判は和解になったと説明されていますが、他のネット記事を読みますと、実情は裁判官による強い和解勧告の結果となっていて、最高裁まで行った吉備さんのケースが特殊例だったことが分かりました。

 一つの飛行機事故に対して、分かっているだけでも32の裁判が起こされ、刑事裁判は全て不起訴という説明ですから、事故原因だけでなく、裁判そのものも異常な状況になっています。

 『女性自身』の記事は、レアーケースとなった吉備さんの裁判に焦点を当てていますので、次回も息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々へ紹介いたします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする