ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

嵌められた日本 - 3 ( 大正時代とよく似た現在 )

2020-07-05 17:50:56 | 徒然の記

 氏は大正時代を評して、現在と風潮がよく似ていると言います。

 「70年前の世相は、今日とはなはだよく似ている。」

 「世は自由化、国際化、政党政治の華やかな時代で、役人の権威は低く、軍人は、軍服を着て街路を歩くのを、嫌がった。」

 「今日と同じく、賄賂が横行し国家道義と社会道徳は落ち、エロ・グロ・ナンセンスという言葉が、流行していた。」「大正デモクラシーの、時代である。」

 自由精神の横溢した時だったと聞いていますが、そんなひどい時代とは、思っていませんでした。軍人の権威が落ちていたのは、事実らしく、電車の中でも彼らは小さくなっていたと、別の本で読んだことがあります。

 「社会主義、共産主義もまた、世に蔓延した。」

 「今日の社会党、共産党の濫觴(起源)は、この時代に遡る。大衆相手の軽薄ジャーナリズム、物書き先生方の登場も、この時代からのことであったようだ。」「明治時代には、福沢諭吉、徳富蘇峰、福地桜痴などの巨大物書きたちが輩出したが、今日の大衆評論家の源流は、この大正ナンセンス時代に発するであろう。」

 歯に衣着せぬ酷評ですが、歴史は繰り返すと言いますから、まんざら嘘でもない気がします。馬野氏の見た大正時代を、しばらく語ってもらいます。

 「彼らの生き様は、その時々の外国渡来の新規思想を日本に導入し、その祖師となり、名声と地位、社会への影響力を仰望するというものであった。」

 なるほど今と同じと、うなづかされる意見です。マスコミにもてはやされる評論家を見ていますと、覚えたての外国語を並べ、聞く者を惑わせ、その軽薄さがそっくりです。

 「ところがアメリカの、対日敵対の態度があらわになり、大不況が深まるにつれて自由化、国際化、デモクラシーの風潮は急速に褪せ、代わって民族主義、国家主義が登場し、軍閥の時代へと移っていく。」

 令和の現在は、日本に敵対しているのが米国だけでなく、中国もいます。大正時代と違うのは、日本人の中に、熱烈なアメリカ信奉者と中国信奉者がいて、双方が政権内で覇を競っているところでしょうか。私のような庶民は、マスコミの報道に踊らされ、中国を嫌悪したり米国へ腹を立てたり、その時その時を流されています。しかし大事な話は、次からです。

 「前代にときめいた左翼理論家たちは、たちまち転落し、その主要な者は獄舎に入りあるいは転向した。代わって、軍閥政府御用の物書きたちが活躍する。」

 朝日新聞が、死に物狂いで民族主義の風潮に反対し、過去の日本を取り戻そうとする国民を攻撃する理由が、分かりました。日頃は黙っていても、一旦報道が間違っていたと分かると、国民の意見がまとまります。憲法が改正され、軍が再建されますと反日・左翼の朝日新聞は真っ先に処分されます。

 「軍靴の匂いがする。」「不気味な、戦前回帰の風潮が漂う。」と、スネに傷持つ彼らは、現在の思潮に危機感を覚え連日騒いでいるのです。「美しい日本」を取り戻されたら、彼らを待つのは、獄舎か転向しかありませんので、「安倍を潰すのが社是」と、言うはずです。

 まだ10 ページですが、この辺りは、興味深い意見が続きます。自分には無論のこと、息子たちにも、伝えたい先人の言葉です。そのままでないとしても、確かに、氏の指摘どおり歴史が繰り返しています。

 「前代の左翼理論家は、ユダヤ系思想家の作り出したマルキシズムに熱中し、これを祖述したが、今度の右翼評論家たちには依るべき思想体系がなく、哲学論理も見当たらず、ただ日本古来の伝統に、頼るほかなかった。」

 「それだけに高度な知性の目から見れば、なってないでないか、ということになるが、日本人の、生まれつきの感性には、訴えるところが大きかった。」

 「前代の左翼理論家に比べれば、遥かに強い本源的影響力を持っていたのである。」

 その通りで、私があの風采の上がらない、訥弁の学者・田中英道氏に惹かされる理由がここにあります。大切なものは、複雑な理論や詳細な分析でなく、自分の住んでいる国を愛することなのです。

 1. ご先祖様を大切にし、敬う。

 2. 太陽を中心とする、自然のすべてを神々として敬う。

 3.    自然の一部としての人間を知り、すべてを肯定して生きる。

 その時々に言葉は違いますが、要するにこれが、田中英道氏に教えられた日本の心です。馬野氏の著書が、これからどの様に展開するのか分かりませんが、何となく親しみを感じる意見です。明日も、この続きを紹介します。

コメント (2)
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