馬野周二氏著『嵌められた日本』( 平成元年刊 プレジデント社 )を、読んでいます。現在まだ20ページです。書名が週刊誌的軽薄さなので、本棚に長く放置していました。
氏は大正10 年生まれですから、存命なら99才です。反日・左翼も、戦前の日本も、手厳しく批判します。思想的立場が不明ですが、夢中にさせるものがあります。
自信たっぷりな語り口が、田中英道氏を彷彿とさせ、なぜか魅かされます。読み始めたばかりで賞めると、後で後悔した経験が何度もあり、要注意ですが、久しぶりに読み応えのある本に出会った気持ちです。
どういう人物なのか、氏の経歴を紹介します。
・馬野周二 ( うまの しゅうじ ) は、日本の技術者、工学博士、著作家
・専門分野( 化学 )の論文、報告書の他、国際政治、国際経済についての著書を、多数執筆
・父親は、内務省官僚であり、朝鮮総督府の高官であった。
・山口県に、生まれる。
・昭和6年、小学校4年生時に父親の退官に伴い、朝鮮半島より愛媛県松山に戻る
・旧制松山中学校(現・愛媛県立松山東高等学校)を経て、昭和21年、慶應大学工学部応用化学科卒業。
・昭和24年、通商産業省に技官として入省。
・昭和36年、通商産業省( 課長 )を退任後、ニューヨーク工科大学教授に就任。 アメリカ政府の、技術開発に携わる。
内務省官僚、朝鮮総督府と、昔の日本の匂いがする言葉です。氏の叙述の一徹さには、どんな日本を語ってくれるのか、正座して読みたい気配があります。
「はじめに」の言葉です。私はこの本を、後世の子孫に残した氏の「遺訓」と受け止めました。氏のことを知っている人から見れば、私の言葉がどのように感じられるのか。妥当なのか、見当違いなのか。
最後まで、失望せずに読めたらと期待しています。