ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

嵌められた日本 - 6 ( 憎めない過激な反米論者 )

2020-07-07 19:47:12 | 徒然の記

 次第に、馬野氏の立脚点が見えてきました。全体でなくまだ一部ですが、案外単純です。

  1. 諸悪の根源は、アメリカの支配層である。

  2. 中国も、ソ連も、EUも、彼らに騙されて動いている。

  3. アメリカの敵は常に、日本である。

  4. 日本とアメリカとの戦争は、不可避である。

 単なる反米でなく根っからの嫌米で、とんでもない性悪の国という、強い確信 ( 思い込み ) を、持っています。私と重なる意見が沢山ありますが、イコールではありません。

 「日米戦争は、ルーズベルトとその背後の、一握りの人たちの起こしたもので、当時の日本の単純な軍閥はその罠に引っかかったものであるが、ルーズベルト一味が、戦争を起こした目的の一つは、当時の、経済苦境からの脱出にあった。」

 「彼はニューディールといった、共産主義かがったことをやっていたが、共産主義で経済が立ち直り、繁栄するものではない。」

 氏は大東亜戦争と言わず、日米戦争と言います。「日本だけが、間違った戦争をした。」「日本だけが悪かった。」と、世間はいまだに思っていますが、平成元年の時点で、氏がハッキリと切り捨てていたとは、意外でした。ここまで遠慮なく言えば、マスコミの土俵に上がれず、テレビにも新聞にも登場するはずがありません。

 1930 (昭和5) 年の大不況以来、長期間続いたアメリカの好景気が、過去に3回あったと、氏が言います。

   1. 第二次世界大戦後の数年間

   2. ベトナム戦争時を含む数年間

   3. レーガノミックス時代の数年間

 氏が最も酷評するのが、レーガノミックスです。世界の基軸通貨であるドルの強みを利用し、大統領はドルを増刷し、ソ連との軍拡戦争に勝利しました。当時、レーガン政策への賞賛しか聞いたことがなかったので、氏の意見にまた混乱させられます。

 「レーガン周辺の謀師たちは、外国からの資金吸収を策した。」

「自由化、国際化が、その金看板である。世界経済、日本、ヨーロッパの経済を自由化国際化させて、米日欧の資金の移動、企業活動の自由化を進め、アメリカ国内の投資機会を開けておけば、日欧の資金はアメリカに入る。そこでレーガンのバラマキ政策は、続けられるという寸法である。」

 「これは実にうまく作用して、アメリカの好景気がおよそ6年間も続いた。その原資の4割は、日本が貢いだ。主役俳優レーガンの巧妙さと、金盗られ役日本の愚昧によって、今の所成功している。」

 もともと私は計算が苦手で、金融や財政には知識がありません。それでも、なんとなく、氏の言わんとするところは、理解します。日本は米国や世界にとって、金銭自動支払機に過ぎないと、そういう意見があることを知っていますし、政治家も大蔵省も評論家も、日本を正当化する意見ばかりでしたが、なんとなくおかしいと疑問を抱いていたからです。

 「レーガノミックスは、本質的に国際金融に依存している。国際金融市場に異変が起これば、一朝にして瓦解するであろう。現在のアメリカは、金盗り先にNIESも加えてはいるが、こんなことが、無限に続けられるはずがない。」

 計算は苦手でも、常識的な話は大抵理解できます。

 「このような泥棒家業を続けていると、体質が鈍って正業につけなくなります。アメリカの商工業は空洞化して、実体がなくなりつつある。軍事に入れあげて体力を消耗したアメリカは、確実に今世紀内に瓦解する。」

 ここまで話が進むと、さすがの私も眉に唾をつけます。希望的観測と言うべきなのか、今の日本では、「中国経済崩壊論」を述べる評論家が沢山います。嫌われ者の中国なので、私も含め多くの人間が喜んで読みますが、中国はしぶとく頑張っています。

 氏の気持ちは分かりますが、「中国経済崩壊論」と似たような意見だと思います。ひと頃の勢いは無くなったとしても、トランプ大統領の一言で、日本の政治家やマスコミが相変わらず右往左往しています。

 「アメリカを建国し誘導してきた中核主体は、正統の文明の、深い根を持っていない。アメリカにあるのは、18世紀後半からの産業革命以来の主知主義と、それが産んだ物質市場の拝金宗教である。」

 「若い時に知能指数の高い人は、老年には恍惚になりやすい。物質金銭に取り憑かれたアメリカは、寿命が短く、ボケが早く来る。あるフランス人は、もうアメリカは老人になった国だと言っているが、この人の目は鋭い。」

 いくら私でも、ここまでは酷評しません。間違いとは言いませんが、学者には学者の言葉遣いがあるはずでしょうに。過激な感情論は、私のような凡俗に任せておけば良いのです。

 私は今まで、日本をダメにした宰相はプラザ合意を飲まされた宮沢首相だと思っていましたが、氏は中曽根総理を、レーガン大統領とセットで酷評します。自分の知らない事実を教えてくれる限り、どんな人も私の師です。少々の酷評には目をつぶり、次回も息子と私自身のため、貴重な意見を紹介します。

コメント (2)
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