ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

嵌められた日本 - ( 黒人より下層の、ユダヤ人 )

2020-07-12 21:40:06 | 徒然の記

 今から39年前の昭和56年に、朝日新聞記者本多勝一が、『合州国』という文庫本を朝日新聞から出版しています。本来なら『合衆国』と書くべきところを、わざわざ『合州国』と言い変え、その理由を次のように説明していました。

 「衆は、人々や民族を意味する言葉だが、黒人差別のアメリカが、何で民族の融和した国であろうか。」

 「アメリカとは、単に複数の州が連邦になっているに過ぎない。本来ならこの本は、『黒人の側から見たアメリカ 』 と、題をつけても良かったのだ。分かり易い言葉を使えば、白人対黒人、つまり 、" 殺す側と殺される側 " の話だ。」

 北部のニューヨークから、南部の州まで、黒人の友と一緒に旅をした記録です。名前を耳にするだけで嫌悪を催す彼なのに、図書館でもらった廃棄本の中に、混ざっていました。今から6年前の話です。

 馬野氏の書評のブログで、こんな人間の著作を語るのかと、疑問を抱かれるのかもしれませんが、ユダヤ人やイルミナティがテーマになっているので、偶然思い出しました。

 この本で知った得難い収穫は、ユダヤ人が、アメリカ社会では黒人より低い階層に位置づけされている、という事実でした。

 ゲットーに住み、差別に耐えているユダヤ人がいるかと思えば、世界を動かしているユダヤ人がいます。本多勝一が語っているのは、下層社会に住む一般のユダヤ人たちで、馬野氏が取り上げているのは上流社会のユダヤ人です。

 バーナード・バルーク、キッシンジャー、ブレジンスキー氏は、上流社会のユダヤ人です。ロックフェラー家と並ぶロス・チャイルド家もユダヤ人で、もっと言えば、マルクスもレーニンもユダヤ人です。

 日本で、ユダヤ人が世界を牛耳っていると語られるので、米国での彼らの地位が、高いとばかり思っていました。本多勝一の著書によりますと、本来ならユダヤ人は黒人と協力し、民族差別と闘って良いくらいなのに、黒人からも嫌われているのだそうです。

 白人は黒人をニガー、ニグロと呼び、黒人は白人を白ぶたと言って罵倒しています。規制されていても南部では銃が溢れ、いつでも乱射される。警官は全て白人の側に立ち、些細なことで黒人を捕まえ、殴る蹴るの暴行をし逆らえば射殺します。

 日本では反日のマスコミが、在日コリアンを日本人が差別すると騒いでいますが、アメリカの差別は、そんな生易しいものでありません。日本のテレビや新聞だけ見ていますから、「日本人はひどい差別をする」と、私たちはいつも反省しています。黒人差別だけでなく、ユダヤ人差別も、国際社会では想像できない状況にあると、それが伝えたくて、『合州国』の著作に言及しました。

 馬野氏の著作へ戻ります。

 「私はずっと以前から、アメリカの本当の姿を知り、日米関係を見誤らないようにと警告し続けてきたのだが、耳を傾ける人は思ったより少なく、世間ではその場その場の、軽薄な言説を流す物書きや、テレビタレントが幅を利かせている。」

 嫌米の馬野氏の酷評は、止まるところを知りません。

 「私から見れば、この事態は、大多数の日本人が夢を見ているわけで、実に危険である。この日本人の呑気さの底には、苛烈な民族、あるいは国際抗争を知らない、穏やかで正直な、人を疑うことのできない国民性がある。」

 「それは人間として、尊い性質だけれども、相手がそれを逆手に使い、攻撃してくればひとたまりもない、もろく、弱いものなのだ。」

 私の言いたいことを、すっかり氏が代弁しています。しかも、39年前です。書評は一向に進まず、ページは同じところですが、息子たちに言います。

 「馬野氏の言葉を、真面目に聞きなさい。」

 天気予報で、明日は少し涼しくなるとのことですから、終日氏の本に向かいます。蒸し暑い今夜は無理をせず、ここで一区切りとします。

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嵌められた日本 - 13 ( ロックフェラー氏とブレジンスキー氏 )

2020-07-12 13:47:19 | 徒然の記

 うっとうしい暑さを忘れ、馬野氏の「米国悪人史観」と「イルミナティ思考」を紹介するのは、米国を悪の塊として見るよう勧めるためではありません。

 アメリカでも、中国も、ロシアも、みんな自国第一で動いているので、日本から見れば、全部極悪人の国に見えます。国際社会では当たり前の話ですから、伝えたいのは馬野氏の警告です。

 「日本以外の世界の国々は、みんな素晴らしい国です。」「話し合えば、真心と誠意が必ず通じます。」「みんな、同じ人間ですから、互いの思いやりと愛が、人類を救います。」「二度と、無謀な戦争をしてはいけません。」

 戦後74年間、朝日の記事に感激し、日本だけを悪と信じてきた「お花畑の信仰」から、卒業しませんかと、氏が読者に語りかけています。

 著作の124ページです。「親日家」と言われている、ロックフェラー氏が、どのような親日家だったのか、氏が説明しています。

 「デイヴィッド・ロックフェラーは、現在までに4回訪中している。」「初回は73年、ニクソン 訪中の翌年。」「もちろん、毛沢東、周恩来と会談した。」「彼の回想記を読むと、」「自分のような資本主義の首魁に対して、考えられないほど歓待してくれた、」「と書いている。」

 「鄧小平の復活後、78年にも訪中している。」「88年には、キッシンジャーを連れて行き、鄧小平に会っている。」

 今から紹介するのは、昭和60 ( 1985 ) 年に北京でなされた、ロックフェラーと鄧小平の会話です。

 《 鄧小平 》

  「お国は、財政赤字で、貿易赤字。」「それもこの先、どんどん増えるようですが、」「いったい、どうされるおつもりですか。」

 《 ロックフェラー 》

  「正直言って、対策はありません。」「まあ、日本から出させる以外はないでしょう。」

 昭和60年代の日本の総理は、中曽根氏です。馬野氏は言及していませんが、トロイの木馬中曽根氏は、ロックフェラー氏の言葉通り、紙屑同様の米国国債を、大量に買っています。日本嫌いのキッシンジャーを連れて、中国を訪問していると知りますと、眼から鱗の「親日家ロックフェラー氏」でした。

 ロックフェラー氏の指示に従い、「日米欧三極委員会」を主導したブレジンスキー氏について、日本の政界や知識人たちは、知日派の政治家として、好意的に見ています。しかしそれも、「お花畑の思考」に過ぎませんでした。

 『大いなる失敗』の著書で、氏は崩壊したソ連の共産主義を酷評します。「マルクス主義は、20世紀最大の失敗だった」と言い、本の題名もソ連を意味しています。知日派の氏が、中国をどのように見ているのかを紹介します。

 「中国共産党の軌跡は、東欧諸国やソ連とは違っている。」「中国の共産主義は、国産である。」「中国の若い指導者は、ロシア革命に衝撃を受けたが、」「モデルとして見習うべきとは、考えなかった。」「注目すべきは、伝統ある文明を誇る中国人は、」「自らの手で革命を達成し、戦略を立てたいという、」「知的、文化的自負心があったということだ。」

 日本の政治家や知識人たちが、親日家、知日家と言って褒める米国人に、大抵碌な人間がいません。ブレジンスキー氏もライシャワー氏と同様、高く評価し、親近感を抱いているのは中国です。

 「中国共産党は、イデオロギーと歴史を、」「うまく結びつけることができた。」「単に労働者の不満をすくい上げる、階級闘争だけでなく、」「100年にわたって、西欧諸国に痛めつけられたきた自国の、」「屈辱感や愛国心に結びつけて、」「イデオロギーを訴えたのである。」

 「こうした国民感情は、日本の侵略によって、さらに燃え上がった。」「中国の悠久の歴史は、19世紀になり、どん底に落ちていた。」「文化的に誇り高い中国人にとって、」「これは耐え難いことであり、」「近代的な民族論と、急進的な社会改革論が、」「ここ中国でひとつになった。」「ソ連でさえ、共産主義が民族主義の色合いを帯びたのは、」「ドイツとの戦争中だけであった。」

 手放しの礼賛です。氏の著書が出版されたその年の10 月に、鄧小平氏が、天安門で学生のデモ隊を弾圧し、戦車でひき殺しています。ブレジンスキー氏は、安全保障関係の政治家として、緊迫した中国を知っているはずなのに、称賛は変わりません。

 「中国の歴史的再生を進める上で、共産党の指導者は、」「理論の大幅な、見直しをはかっている。」「プロレタリアートの独裁を主張する、革命的な党という主張が、」「次第に薄れ、国家を後ろ盾とした、新商人階級の独裁を主張する、」「近代化思考の党、というニュアンスに変わってきた。」

 おかげで一つ、発見をしました。自民党の幹事長だった加藤紘一氏が、そっくり同じ言葉で中国政府を語っていました。ブレジンスキー氏の受け売りだったのです。

 「中国の高度な文化、孔子の思想、国家に奉仕する官吏階級、」「優れた商業的手腕に、裏付けられた文化、」「これらには、しっかりした伝統があるため、」「共産主義といえども、その影響は免れなかったのである。」

  アメリカが独立宣言をしたのが、1776年です。米国の歴史はやっと300年を越えたばかりですから、2000年以上の歴史を持つ中国に対し、氏のような知識人は、理屈抜きに引け目を感じるようです。

 米国人らしく「東京裁判史観」そのままで、日本のことを語ります。こういう意見を持つ人物が、果たして「知日派の米国政治家」なのでしょうか。中国が日本に居丈高になるのは、中国贔屓のロックフェラー氏や、ブレジンスキー氏のような政治家が、アメリカに数多くいるからです。

 「アメリカと中国は、根っこのところで結びついている。」

 日本の政治家や知識人と言われる人々は、どうして馬野氏が語る簡単な事実に、気がつかないのでしょう。戦前の政治家に比べ、愛国心だけでなく、知的レベルも落ちているのでしょうか。

 「来るべき世界の状況は、日本の孤児化であり、」「米ソ、そして中国に囲まれ、」「これらにいたぶられるという構図が、浮かび上がってくる。」

 馬野氏が打つ警鐘を、せめて、息子たちと、「ねこ庭」を訪問される方々には、伝えたいものです。暑い夏がさらに暑くなりますが、次回も氏の警鐘と向き合います。

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