チャンネル桜の水島氏は、李承晩TVでの、李栄薫(イ・ヨンフン)教授の発言に驚いていますが、私は発言自体には驚きません。
 
 今から4年前の、平成28年に、私は氏の著作を読んでいました。平成21年に、文藝春秋社が出版した『大韓民国の物語』が、それです。読んだときは、こんな人物が韓国にいるのかと、びっくりしました。韓国政府と学者たちによる、歴史捏造や嘘の教育について、真正面から批判していたからです。
 
 李承晩TVでの講義は、この著作に沿って行われていますから、私の驚きは講義の内容でなく、よく韓国内で、YouTubeによる放映ができたものと、そこにあります。今後日韓問題を考察するにあたり、日本人も韓国人も放映された内容を無視しては、進められなくなるのではないかと、そんな気がいたします。それほど徹底した韓国批判、というより、韓国人自身による意見ですから、「歴史的動画」となるような気がしました。

 全部で38本の動画があり、次の三つのシリーズに分けられています。

  1.  日本軍慰安婦問題の真実シリーズ             (  16本  )

  2.  反日種族主義を打破しようシリーズ        (  19本  )  

  3.  批判に対する反論シリーズ                      (   3本  )           (  計  38本   )

 一連の講義が時間をかけて調査された、大変な労作であることは、シリーズ内の動画のタイトルを見るだけでも想像がつきます。参考までに、上記1. に含まれる動画のタイトルを紹介します。

 〈 1.  日本軍慰安婦問題の真実シリーズ    〉       (  16本  )

  (1)  朝鮮戦争と韓国軍慰安婦                       (2)  1950 ~ 60年代の民間慰安婦

  (3) 1950 ~ 60年代の米軍慰安婦                  (4)  謝罪、妊娠、流産 

  (5)  朝鮮の妓生 ( キーセン ) 、別範疇の慰安婦             (6)  公娼制の施行 - 身分的支配から商業的売春へ

  (7)  人身売買、公娼への道                       (8)  売春業の域外進出

  (9)  日本軍慰安婦                           (10)  ある慰安所の丁場人の日記

   (11)  盾師団の慰安婦、文玉珠                      (12)  果たして、性奴隷だったのか

   (13)  解放後の40年間、日本軍慰安婦問題はなかった

  (14)  挺対協は、日本軍慰安婦問題をこのようにして大きくした

  (15)  韓日関係が破綻するまで                        (16)   日本軍慰安婦問題の真実

 平成21年に、『大韓民国の物語』を出版した時の氏と、動画を放映した氏が別人のようになっていることも、発見しました。当時の氏は、次のように語っていました。

 「日本軍慰安婦に関する、研究の権威である、吉見義明教授は、日本の防衛庁図書館において、日本軍が、慰安婦募集に関与していたことを立証する文書を探し出したことで、よく知られています。」

 「この証拠により、教授は、日本軍と日本国家が国際法が禁じている、非人道的な罪を犯していることを、明らかにしました。」

 「慰安所の女性たちが、性奴隷である点については、すでに指摘した通りです。」「そして慰安婦の中の相当数は、21才未満の未成年者でした。未成年者の強制労働が、国際法が禁じている犯罪行為であることは再言を要しません。」

 こうして氏は主張の根拠として、吉見教授の本に言及していました。(「 吉見義明氏著 『 従軍慰安婦問題で何が問われているか』)

 「私は、以上のような吉見先生の主張に賛成です。いえ、むしろ多くのことを学びました。」「日本政府は、吉見先生の主張に耳を傾ける必要があります。」

 ところが今回は、当時の言葉をの全てを否定し、慰安婦問題の捏造を証明しています。「かって吉見氏の意見を正しいと思っていたが、研究するに従い、氏の間違いに気づき、今では吉見氏の見解から離れています。」と、正直に述べています。

 氏の行為はかって私がブログで取り上げた、敗戦後の日本での「変節した学者たち」と、同列に述べられません。むしろ氏の率直な訂正発言は、変節した学者たちが失っている「学者の良心」でないのかと、逆に教えられる気がしました。

 次回から、動画の講義を紹介しようと思います。