■ドイツ・Witten ヴィッテンで、私の無伴奏チェロ組曲 第 6番の一部初演■
~Johannes Brahms ブラームス のワルツは、何声部なのか~
2013. 4.11 中村洋子
★3月のような肌寒い日が続いています。
ベルリンの Wolfgang Boettcher ベッチャー先生から、
お便りが、来ました。
「 ベルリンは、冬のような気候で、復活祭というのに大雪です。
すこしづつ春となり、雪が解けて欲しいものです 」
★先生は 3月 16日土曜日、ドイツの Witten ヴィッテンで、
Cellokonzert チェロのソロコンサートを、開かれました。
4月に全曲初演される、私の 「 Suiten für Violoncello solo Nr.6
無伴奏チェロ組曲 第 6番 」 のうちの、
3、 5、 6楽章を演奏されました。
その他の作曲家は、Gabrielli、 Bach、 Mainardi、
Saygun、 Casals でした。
★現在は、4月20日の、ベルリン近郊 Glambeck グランベックでの、
第 6番全曲初演に向け、毎日、練習されており、
特に、演奏技巧を要するプレリュードに、
力を、入れているそうです。
★この Suiten für Violoncello solo 無伴奏チェロ組曲 6番の
録音の際、いとも、安々と弾いていらっしゃるようでしたが、
実は、マエストロの技巧を凝らした演奏だった、
ということが、後になってよく分かってきました。
★14日の日曜日、「 KAWAI・横浜みなとみらい 」 で開きます、
アナリーゼ講座で、Johannes Brahms ブラームス (1833~1897) の、
≪ Walzer ワルツ Op.39 ≫ から、数曲を選んでお話する予定ですが、
この曲集も、一見、実にシンプルに書かれているように見えます。
しかし、 Brahms が推敲を重ねた、大家の作品である、と
つくづく、思います。
★有名な Op.39-15番 変イ長調 As-Dur の、
9、10、11、12の 4小節間で、左手が担当します各小節の、
2拍目、3拍目を、自筆譜で見ますと、
同じ和音が、書き込まれていました。
例えば、9小節目の 2、 3拍目は、 es - g - des1 ( ミ♭- ソ - レ♭)の
3和音となっていました。
★しかし、 Brahms は、3拍目の ≪ des1 (レ♭) ≫ を、
斜線で削除し、 ≪ es - g ( ミ♭- ソ ) ≫ の 2和音 に、
変更しています。
これにより、 9小節目の 2、 3拍目は、単なる伴奏和音ではなく、
2拍目の ≪ des1 ≫ から、 3拍目の ≪ g ≫ にかけて、
一つのモティーフが、出現することになるのです。
★10、11、12小節も、同じように推敲され、
新しいモティーフが、生まれます。
各小節の 1拍目バス声部に対し、
2拍目、 3拍目のテノール声部が、また細かく div. ( ディヴィゼ )
分割され、複雑なカウンターポイントを、生み出しています。
★これこそが、一見単純に見えながらも、
実は、豊かな多声部が張り巡らされた
傑作である、所以なのです。
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