のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

遅日の光写せり雲二層

2008年02月11日 | 雲図鑑
元句 遅日の光のせたり沖の浪 (太祇)

「暮れ遅し」というほどの時間ではありませんが、
一時よりはずいぶん日の入りが遅くなりました。

今日は17時18分で、明日は19分、明後日は20分、…
と、毎日1分ずつ伸びているようです。
17時半まで外で作業ができるようになりました。
雨雪さえ降らなければ剪定作業も調子に乗ってくるのですが。

写真は昨日の夕焼け。
手前に黒い雲があって、その先に別の雲があったようです。
鮮やかなオレンジ色した日の入りで
色がしだいに変わっていく様に見とれていました。

芽を出せば霜雪ばかり麦の春

2008年02月10日 | 春の梨畑
ナシ畑のライ麦の生長がいまひとつ。
播種が遅れ
年内に発芽できなかったことが原因のひとつですが、
年明け後も寒い日が多くて…

芽のまわりから雪が融けています。
生きてるぞって
ほんの少しずつエネルギーを発散させているかのようです。
日射の照り返しや
麦が暖められた熱の伝わり方の影響とは思いますが。


ラジオで詩人が話をしていました。

「雪が融けると何になる?」という質問に答えて
「水になる」というのは科学の眼。
「春になる」というのが詩歌の眼。

有名な話かもしれませんが、なるほど。
オリジナルの五七五をタイトルにという気持ちはあるのですが、
つい科学の眼で分析してしまうようで。

鵜の真似は鵜より上手な子ども哉(一茶)

2008年02月09日 | 今年の納得米づくり
納得米プロジェクト6年目のスタートです。
元肥用のぼかし肥料づくりをしました。
今年は昨年のメンバーに加えて、さらに
リタイアされた方と子育て真っ最中のお母さんのお二人が新たに参加。

女性メンバーは以前にもおられましたが、
子育て期という若い奥様は初めて。
男性メンバーの仕事のはかどりも今年は違うでしょう。

若いお母さんの参加するきっかけは
やはり子どもたちの食べるものへの不安感だそうです。
ただ不安を口にするだけでなく
自ら体を動かそうというお母さんたちが増えてきて、
納得米プロジェクトのような運動が広がる予感がします。

今年の納得米プロジェクトの作業の場面では
子どもたちの姿がちょくちょく見られるかもしれません。
(写真は以前からのメンバーのお子さん)

さて、今年の田んぼ用の肥料ですが、
昨年作が稲を倒してしまったのが最大の反省点。
それには肥料をひかえようということで、
田植え後の抑草用のヌカ・くず大豆はやらずに
今回の元肥だけにしてみること。

としひとつ又もかさねつ梅の花(鬼貫)

2008年02月08日 | ネイチャースケッチ
雪だ、まだ融けない、また雪だと騒いでいるうちに
紅梅の蕾が一皮剥けたようです。
1月17日の様子はこちら

一生けんめい、剪定作業もやっているのですが、
今年は毎週のように降雨、降雪があって遅々として進まず。

気象上の立春も過ぎ、今日は旧暦正月二日。
春も待ったなし。
まだ寒いからなんていい訳もできなくなりました。

他の生き物たちは気温ではなく光の強さから
春を感じて動き出すそうです。
発情期を迎えた猫は雪の中を追い掛け回していました。
人はその日その日の天候や気温に振り回されて
つい怠けてしまうので暦などをつくっているのではないか
なんて思えてきます。

枝先の虫にも年をとられけり

2008年02月06日 | 春の梨畑
元句 膳先の猫にも年をとられけり (一茶)

旧暦の大晦日になっても連日、雪の話題です。
予報に反して朝からみぞれ、わた雪が降り続きました。

雪国の剪定作業はこんなものだと午前中は畑に出ていましたが、
すっかり着衣がぬれてしまいました。

今日はじめて気がついたことがありました。
剪定した枝を運び出す台車の車輪は一輪車用のもの。
安価な一輪車用タイヤはパンクしやすく、
一輪だけノーパンクタイヤに代えてありました。
今日の雪ではそのタイヤだけに雪が絡み付いてしまい
畑のなかで動けなくなってしまいました。
なるほど雪国ではノーパンクタイヤは使えないのだな、と。

もうひとつ、はじめて見つけたもの。
写真のイモリの「モズのはやにえ」。
ミイラに乾燥した顔はなかなかの迫力です。

うつくしの畑のぐるりや朝霞

2008年02月05日 | 春の梨畑
元句;うつくしの海のぐるりや朝霞(尚白)

午前中、しばらく濃霧注意報がでていました。
気温もしばらく氷点下だったようで
10時過ぎまでナシの枝にも霧氷が残っていました。

降雪後まる二日たち
日の当たる場所でもまだ雪が残っています。
それだけの積雪量だったのでしょうし、
それだけの気温でしかないということでしょう。

剪定枝の焼却後、
熾き炭を広げたところにまわりの雪を混ぜ返して
消し炭にしています。
雪にはこんな利用法もあったと気がつきました。

立春の枝陰もろとも雪昇る

2008年02月04日 | 春の梨畑
東京では今期はじめて氷点下を記録したそうですが、
日が昇ると暖かになりました。
身構えて厚着をしていたからかもしれません。

そうはいっても夕方になったらさすがに雪上です。
足底から寒さが伝わってきます。

今年の冬は低気圧が定期的にやってきて
雨雪を降らせています。
草木にとっては芽だしの水分は十分でしょうが、
剪定作業は遅れがちです。
暦の上では春になってしまいました。

一年のこの日のためのスタッドレス試験に向かう吾子を送れり

2008年02月03日 | わが家の時時
今期3度目の降雪予報。
今度ばかりは当たるだろうと
昨夜、車のタイヤをスタッドレスに履きかえました。

いまにも雨に代わりそうな湿雪でしたが、
降る勢いは衰えません。
15cmぐらいは積もったでしょうか。



女の子のロックバンド「チャットモンチー」に夢中な娘が
試験に出かけましたが、
帰宅時、迎えにいった車に乗る寸前にスッテンコロリ。

こりゃー…

いや、気を取り直して
「なにとなく 心さやぎていねられず
あしたは春の はじめと思へば」(良寛)ということで。

言問はぬ稚児が乞う手を物もなく苦しすべなし父親吾は(伊藤左千夫)

2008年02月02日 | 農のあれこれ
写真は1月30日の夕焼け。

そして、昨日2月1日午後からは柏市の農家を中心とする
「元気だそう!市民と農業者のつどい」というイベント。
若手農業者の体験発表の後、
東京農大教授で醸造学・発酵学研究また食文化論の第一人者
KTさんの講演が行われました。

演題は「食育は子供のために、日本のために」。
国の全国地産地消推進協議会や食料自給率向上協議会での役職をはじめ、
著作、マスコミ出演、各地での講演等での体験からの
持論を展開していただきました。

子供たちへ向けての講演等では
たとえば小学生に対しては「なぜ食べるのか」と問い、
中学生になれば「将来どのように食べていくのか」と
食料自給の話で危機感をもってもらうといいます。

わが国の食料自給率は40%を切るという状況のなかで
食料は戦略兵器である、
食の安全・安心は保障されない、
異常気象から全世界が食料危機になることがある、と。

最近の中国製冷凍加工品の農薬騒動がまさに
日本の食の脆弱性を物語っています。

食育、食育といわれ、
各地で子供たちの農作業体験が行われているが、
表層的な体験だけで
「農業は文化である」という視点のないものは
かえって逆効果だと強調されていました。

EUは行き来も経済も自由化されたが、
言語と食べ物については各国しっかりと守っている。
つまり、それが民族文化の根源であるというのです。
それなのにわが国の政治は日本語も食料も軽視している。
民族固有の言語を話し食べ物をたべること、
その言語・食べ物を好きになることが
その国、民族を好きになり、将来をつくることにつながる、と。

先進事例として
高知県南国市の学校給食の試みを紹介されていました。

10年以上前から南国市では
給食の素材は野菜も肉も魚もすべて地元で獲れるもの
にしているそうです。
海も山もある土地ならではの話しですが、
その結果、子供たちはどう変わったか。

①病気が少なくなった
②休む子が少なくなった
③いじめがなくなった
④食べ物を残す子がいなくなった
⑤成績がよくなった
そして、なにより
自分たちが暮らすまちが好きになった、と。

食文化研究者らしいともいえますが、
たしかに、現在、行われている食育の現場に
こういう視点があったかといわれると
見聞きする限り少ないように思います。

食べ物をお金の価値だけで評価するようになってしまったことも
嘆いていました。
その結果、食の流通システムも壊れてしまった。
いくら生産者が質の良い農産物をつくっても
消費者に届くシステムがない。
農を中心とした経済システムの再構築が必要だ、と。

国の政治に期待するのは当面、無理のようです。
身の回りのところでできることからはじなければならない。
そんな気持ちを改めて思い起こさせていただきました。