のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ナシ剪定枝処理の研修会

2005年11月25日 | 今年の梨づくり
千葉県農業総合研究センター(旧県農業試験場)でナシ剪定枝処理の研修会が行われるというので、出かけてみました。炭化炉(写真は煙を抑えた炭化炉の試験機)、チッパー、エアースコップの実演の後に、県内各地で試みられている事例の報告がありましたが、結論からいうとまだ決定打はないという印象でした。

ダイオキシン騒動以来、野焼きに対する目は厳しくなり、市街地に隣接したナシ畑の多い千葉県のナシ業界ではナシ剪定枝の処理が大きな問題になっています。法律上は現段階ではナシの剪定枝の焼却は「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微であるもの」として禁止の例外にあたると解釈されます。また、剪定枝を焼却し二酸化炭素を排出しても、その二酸化炭素はもともとナシが空気中から吸収したものですから、地球全体の総量を増やすものではありません。

対策としては、炭化、堆肥化、燃料化、剪定枝そのものを削減するナシ園管理方法の開発など考えられます。

鎌ヶ谷市では民間処理業者に委託し、枝を炭化し畑に還元するというリサイクル事業を進めています。しかし、プラントまで枝を持ち出す手間が障害となって参加農家が少ないようです。それだけ切実な問題になっていないということかもしれません。

岬町では大型のチッパー(破砕機)を共同導入し、チップ化した剪定枝を堆肥化して利用し始めました。しかし、チップ堆肥は重粘土壌なら大きな問題にならないようですが、火山灰土では白紋羽病という根の病気を助長するという指摘もありました。

印西市では近隣で薪ストーブを利用している家庭があって、太い剪定枝を薪材として提供している事例があるそうです。市街地の住宅で薪ストーブの燃料として活用できれば地域住民との交流や農業理解も深まり、地域リサイクルモデルができるのではという報告がありました。

我が家でも薪ストーブに利用し、石油やガスを熱源とする暖房機にはない暖かさを享受していますが、地震時には火災発生元になるリスクが常について回ると考えています。しかし、我が家は畑の中の一軒家で、もし火災を起こしても他に迷惑をかける可能性も低く、自己責任とあきらめることもできます。市街地の中で火災発生リスクを高めるような事業が民間ベースで行われるならまだしも、行政が後押しするようだと新たな問題が生まれないかちょっと危惧されます。

研究センターでは、今後、さらに効率的でかつ環境への負荷の少ない処理方法の開発に取り組んでいくとのことでしたので、その成果を期待しています。