野々村病院の人々 その1
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野々村病院の人々は、1994年にエルフの姉妹ブランドのシルキーズから発売されたアドベンチャーゲームである。
企画、シナリオ、ゲームデザインは蛭田昌人氏、キャラクターデザインと原画は横田守氏という豪華ラインナップ。
主人公は私立探偵の海原琢磨呂、タカビーでトンマなおっさんだが、探偵としての能力は充分ある。
ある日大家から滞納した家賃を催促され、バイクで逃げ出す途中事故を起こし、野々村病院に入院する。
その入院先の野々村病院でのお話である。
同室の漆原という青年にこの病院のことを尋ねると、院長は自殺したが、警察では他殺の線も捨て切れていないらしい。
海原豚麿は知り合いの編集部に電話して、院長のことを聞いてみた。
漆原のいう通り、院長はやはり自殺のようだが、多額の保険金をかけていたそうだ。
これは院長夫人にも聞いてみねばと思っていると、院長夫人から会って話をしたいとのことである。
院長夫人は亜希子という、氷のように冷たい美貌の女性だった。
夫人の話は、野々村が自殺でないことを証明してくれ、というものである。
院長が自殺では保険金がおりないから、当然の依頼だろう。
実際他殺の線も、普段は用心深い院長なのに、窓やドアには鍵がかけられていなかったなどの点からも、ある程度は可能性もありそうだ。
屋上に行くと、タバコの吸い殻を見つけた。
ヴァージニアスリムだが、ゲーム中では「バージンスリム」とされていて、口紅がついているところをみると、吸ったのは女性らしい。
近くにはパッケージも落ちていて、中には「3月21日の夜、10時50分に屋上に行く事」というメモが入っていた。
3月21日の夜とは院長が死んだ日である。
梨恵にそのタバコとメモを見せて問い詰めると、後で話すという。
そして深夜1時、彼女はやってきて、空いている部屋で話を聞くことになったが、その空き部屋の前で、豚麿は人声を聞きつけ、すばやく部屋に入って聞き耳をたてた。
その声は美保と栄作のものだった。
豚麿は梨恵との話は後回しにして、美保と栄作の後を追った。
院長室で聞き耳をたてると、中には美保と栄作と亜希子がいるようだ。
そして美保は「私、知ってるんだ。 院長はヘンな薬をやっていたのをね。
だから医療ミスが多かったんだ」と言うのだ。
そして豚麿が眠りに落ちて目を醒ますと、手術室にいる。
そして亜希子と栄作がいて、彼に注射をした・・・
これがエンディング3である。
ヒントコーナーでは、最後の選択肢が悪いと言われたが、これは自室で盗聴器を発見して「ステーキが食いたい」と言った件だろう。
次は「他殺の線が強いらしい」を選択し、無事翌朝となった。
翌朝病室にはキザな男がいる。
そ奴と共に、あの事故の相手の凉子という女もいる。
凉子は商売敵の探偵事務所の所員だった。
「主任」と凉子はキザ尾のことを呼んでいるので、探偵事務所の上司なのだろう。
こ奴らは結局何をしにきたのかわからぬまま、追い出してしまったが、いざ捜査に行こうとすると、亜希子から貰った鍵の束がない。
そうこうしていると、勉造が警察での聞き込み情報を持って訪れてきた。
第一発見者は亜希子夫人、部屋の中は荒らされておらず、院長の身体にも争った後はない。
推定死亡時刻は、3月21日20時頃、死因はシアン化水素の注射と、これまで聞いたことと変わりない。
しかし、野々村病院の経営状態は決して悪くない。
牧野梨恵の両親は交通事故でこの病院に搬送されたが、死亡した。
それも医療ミスではないかと、勉造は言うのだ。
どうやら輸血のミスらしいが、結局事故そのものが原因ということにされてしまった。
野々村病院の人々 その2へ続く