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業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その355 異世界ゲテモノ編

2011-06-05 13:19:00 | 本と音楽
「ヴァンパイア・アース」 E・E・ナイト 早川書房

近未来2065年。 クリアンなる謎の宇宙生物が地球を支配していた。 数千年の寿命を
持つクリアンは、人類と地球を支配下におき家畜化していた。 人類の大半はそれに甘んじてクリアンの手下となっていたが、それに対して反抗し闘う人々もいた。

彼らはライフウィーバーと呼ばれる善玉異星人(元々はクリアンと同根)の支援を受けて軍隊を組織し、クリアンやその配下のリーパーと呼ばれる人間が変身した超能力者と戦った。

というのがおおよその内容だ。 血湧き肉躍る活劇である。 無論クラークやコリン・ウィルソンのような思弁性は最初から期待すべきでない。 若き主人公ヴァレンタイン少尉のハラハラドキドキ大活劇を楽しむのがまっとうな読み方というもの。

そのように割り切れば、この「ヴァンパイア・アース」中々楽しめる。 異世界化した地球の描写など、S.T.A.L.K.E.R.の世界とも一脈相通ずるところがあり、「前実在」とか「世界感間樹」などの小物も中々良い。

原作はシリーズとして既に8冊刊行され、9冊目も近々に出版されるらしい。 しかし日本では2010年にこの「ヴァンパイア・アース」が刊行された後は、続篇の末ヘ未だない。
日本の読者にはこの手のものはあまり好まれないのかも知れないが、残念ではある。


業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その312 伊藤計劃編

2011-03-01 09:32:00 | 本と音楽
虐殺器官  伊藤計劃 ハヤカワ

さて、この小説のインプレッションをどう書いたら良いのだろう?

凄い作品とは思う。 傑作とも思う。 僅か10日余りで第一稿を脱稿するという、異例のスピードで書かれたこの小説を、貧弱な知識と語彙と感性しか持たない私が、どう表現すれば良いのか?

ジャンルとしては、一応「軍事情報SF」とかいうことになるのだろうが、無論この小説はそんな枠内には収まりきらない。 軍事的データは詳細を極めていて、執筆期間は10日余りでも、調査と資料集めには膨大な時間が費やされているのだろう。

「虐殺器官」という表題は、内容から見ると「虐殺言語」の方が適切かと思うが、ナイーブさと非情と暖かさをないまぜにした主人公の造形と共に、この作品の両面性というか矛盾を表しているように見える。

「虐殺を強制する言語」というものが実際にあり得るものかは知らない。 常識的にはそのような言語或いは文章はあり得ないが、登場人物の描写の非現実感と共に、金属とガラスをこすり合わせる音のような感覚的な違和感を覚える。

バラードとの近似性も感じたが、これも的を外れているようだ。 飛行する「肉」など視覚的イメージは豊富すぎる程あるが、何故か私には具体的なビジュアルイメージは湧いてこなかった。 大仰な表現に辟易したということではない。 むしろこれだけ「モノ」が溢れているにしては、随分と抑えた表現で書かれているからだ。 

これがバラードだと、地球と月を繋ぐ銀の糸など視覚的イメージはふんだんにあふれ出るが、この「虐殺器官」からはそのような具体的なイメージは掴むことが出来なかった。

これはもしかすると「モノ」が多すぎるせいかもしれない。 あまりにも多量の「モノ」が存在しているので、私の貧弱な脳細胞が拒絶反応を示したとか。(笑)

正直に白状すると、私には理解不能の作品だった。 凄い作品だとは思うが、好きな作品ではない。


以下積ん読中

ゾーイの物語 (老人と宇宙4) ジョン・スコルジー ハヤカワ文庫
異星人の郷 マイクル・フリン ハヤカワ
ヴァンパイア・アース  E・E・ナイト ハヤカワ
ハーモニー (読了) 伊藤計劃 ハヤカワ
断絶への航海(再読用) J・P・ホーガン
フランケンシュタイン 野望 ハヤカワ ディーン・クーンツ


業界最高年齢社長Halのゲーム日記 そ308 野田節再び編

2011-02-20 15:17:00 | 本と音楽
なつかしや銀河乞食軍団、その前日談である。 いかにして乞食軍団が創設されるようになったのか。 ロケ松・ムックフォッファの若き日?の勇姿を刮目して見よ!

というわけで、銀河乞食軍団黎明編でありんす。

銀河乞食軍団黎明編1-4 (積ん読済) 大元帥閣下原案 鷹見一幸 ハヤカワ文庫

前に、「この種の著作はどうしても大物原案家の方に目が行ってしまい、肝腎の内容は今一つ」と書いたが、本書に限って言えば、決してそのようなことはない。 鷹見氏の文は流麗自然とは言い難いが、大元帥閣下の雰囲気は充分出ているし、ハードウェアの表現に限ればその上を行くのではないか。

野望円舞曲(このタイトルはいかになんでもダサ過ぎですなあ)は田中的雰囲気はあっても、イメージとして田中とは少し異なるような気がする。 この種の作品は文体を原案作者に似せようとして頑張りすぎると、内容的には問題が出てくることが往々にしてある。 野望円舞曲もその陥穽に落ちてしまったような気もするのだ。

しかしこの点「銀河乞食軍団黎明編」は「野望円舞曲」とは大分異なる。 鷹見氏の文章は野田氏の文章よりやや堅いせいもあるが、文体を似せることより全体のイメージを野田的にすることを先行させているように見える。 そのせいか文体が似ている以上に違和感が少ないのだ。

ストーリー的にも「いかにも」という進行で、「光年飴」とかいろんな小道具が出てきて楽しませてくれる。 このあたりも「野田節」調が横溢していて、ファンには嬉しい所だ。 拾いものというと鷹見氏には失礼な言い方だが、原案ものとしては例外的に楽しめるものとなっている。

それにしても、野田さんが亡くなられたのは何時だっだのだろう? 今ではすっかり失念してしまっている。 訃報を聞いた時には「未だそんな歳じゃないのに・・・」と悲しかったことを思い出す。 死因はなんだったのか、あの体型と容貌を見ると、つい「脳卒中」とかそちら系の病気を連想してしまうが? (失礼)

犬の鎖で吊した台本を腰にブラ下げ、あの眉毛で闊歩している姿を見たかったなァ。


ヒプノスの回廊 栗本薫 ハヤカワ
腰巻きには「最後のグィン・サーガ」と銘打たれている。 これまで未発表だったグィン・サーガ関係の短編が収録されている。 中でも注目は「ヒプノスの回廊」で、シリーズの中で何度か思わせぶりに出て来る「ランドック」や「アウラ・カー」などのキーワードが、ここで解明されている。 解明といっても、この短編でグィンの出自や経歴の全てが明らかにされたというものではないが、一応の謎は明かされている。 

もっともその内容は、読者がこのシリーズを読み進んでいる間に、「ああ、これはこうなんだな・・・」という憶測や推測の域を完全に超えているわけではなく、おおよそは推測の範囲内というところではある。 とはいえ、この内容が作者自身によって書かれた(書かれていた)というところは、かなり大きな意味があるだろう。


以下積ん読中

ゾーイの物語 (老人と宇宙4) ジョン・スコルジー ハヤカワ文庫
異星人の郷 マイクル・フリン ハヤカワ
ヴァンパイア・アース  E・E・ナイト ハヤカワ
虐殺器官  伊藤計劃 ハヤカワ
ハーモニー 伊藤計劃 ハヤカワ
断絶への航海(再読用) J・P・ホーガン



業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その306 浮「ぞフラグメント編

2011-02-15 09:28:00 | 本と音楽
「浮「ぞフラグメント」 でもデフラグすればなんてことないや。
ほんとに? 浮ュない?

でもこちらのフラグメントはデフラグなど到底不可能なのだ。

フラグメント ウォーレン・フェイ 早川書房

フラグメントという言葉はコンピューターをやっている者にはおなじみだが、こちらはウォーレン・フェイという作家の、クライトンの「ジュラシックパーク」を思わせる傑作だ。 専門用語を駆使しているので、生物学か生態学の専門家かと思ったら、ごく普通の作家だった。 下調べには3年以上の日時を費やしたそうである。

あるテレビ番組のスタッフたちは、偶然ヘンダース島という絶海の孤島に立ち寄る。 ヘンダース島は断崖絶壁に囲まれた小さな島だが、数億年も外界との接触がなかった。 そのため、進化の過程は通常の世界とは全く異なる状態となり、島の生物は独自のしかも恐るべき様相となっていた。

上陸したスタッフは、抜け駆けして一足先に断崖をよじ登った仲間が、後にスパイガーと呼ばれるようになった怪物に襲われるシーンを、リアルタイム中継のカメラに納めることになった。

アメリカはいち早く機動部隊の一部を回航、その島を支配下に治める。 そしてNASAの惑星探査機器を利用して島の生物の状況を調査するが、このヘンダース島の生物は通常の常識が通用するようなやわな相手ではなかった。 

驚異的な反射神経を持つマングースでさえ僅か2分で捕食され、NASAの火星探査機器を流用しての有人調査は、悲惨な結果となった。 島の生物が分泌する強酸で、分厚いプレキシグラスを見る間に割られてしまったのだ。

そして・・・ とまあ、こんな具合で話しは進む。 アイデア的にはこのフェイは非常に良いと思う。 アイデアの凄さはクライトンさえ上回るかも知れない。 なにより凄いのは、詳細精密に描写される新種の生物たちだ。 

5億年の間に、通常の地球の生物とは全く異なる進化を遂げた恐るべき生物たち。 それは脊椎動物・無脊椎動物の垣根を乗り越えた、表現のしようもないほど多種多様でおぞましい形態となっていた。 銅をベースにした緑色の血液を持ち、その捕食性は極限にまで達していて、お互いに食い合い殺しあっていたのだ。

植物と動物との相違さえ曖昧で、一見植物に見えても素早い動作で相手を捕食する。 しかもある生物に至っては、相手の腹を食い破って卵を産み付けると、その卵は瞬間的に孵化して幼生となり、その幼生は相手の腹の中で更に卵を産み付け、その卵が瞬く間に幼生となって更に・・・

 どうです? 浮「でしょう、おっかないでしょう? これが浮ュなければ、それは私の紹介文がつたないせいであります。

但し、ストーリーテリングはやはりクライトンには一歩を譲る。 もう少し捻った展開にすれば、歴史に残る傑作になっていたかもしれないが、ややストレートに過ぎて読了後の印象は佳作の上というあたりに留まった。 ラストがごく単純にめでたしめでたしというあたりも、その物足りなさ感を覚えさせるところの一つである。

でも面白かったお。 ホラー系或いはバイオハザード系SFがお好きな方には、充分お勧めできる。


ノパルガース (積ん読済) ジャック・ヴァンス ハヤカワ文庫
これまたなつかしや、「竜を駆る種族」などでおなじみのベテラン、ジャック・ヴァンスの新作ではないが新刊。

久方ぶりのヴァンスの作品ということで期待していたのだが・・・ 少し、いや大分がっかり。 ジャック・ヴァンスの作品ってこんなに古くさいものだったのか? 「竜を駆る種族」にはかなり興奮したものだが、これはいにしえの40年代の作品とさえ思える。 書かれたのは50年代半ばらしいので、やむを得ないと言えばやむを得ないのだが。 

大味でおおぶり、良く言えば古き良き時代の作品というところ。 残念ながら未だヴァンスを読んだことがないという方に、お勧めできる作品ではない。


以下は又後で・・・

銀河乞食軍団黎明編1-4 (積ん読中) 大元帥閣下原案 鷹見一幸 ハヤカワ文庫
なつかしや、故大元帥閣下の残したアイデアによる新作リメイク?である。 閣下御真筆のものは、完成に至らず中断したという記憶があるが、果たしてどうだったのか。 なにせだいぶ前のことなので、私の記憶も曖昧模糊としている。

同種のものには、田中芳樹原案・荻野目悠樹作の「野望円舞曲」というものもある。 
この種の著作はどうしても大物原案家の方に目が行ってしまい、肝腎の内容は今一つというのが多いが、これはどうだろうか?

それにしても、ムックホッファとかロケ松とかいう名前に、再びお目にかかれるとは! 懐かしい上にも懐かしい。



業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その301 ユーモアと母音数編

2011-02-04 13:49:00 | 本と音楽
日本人にはユーモアのセンスがない?

とよく言われるそうだ。 しかし江戸時代の歌舞伎の名台詞や滑稽本の類には、且戟iかけことば)がふんだんに使われているし、江戸末期から昭和初期にかけては地口(一種のダジャレ)が大いにはやった。

これらを見れば日本人にはユーモアのセンスがないなどというのは、完全に的外れであることをよく理解できるだろう。

一例を挙げると

滑稽本では
お泊まりはよい程ヶ谷と留め女 戸塚前ては(とっ捕まえては)放さざりけり
(東海道道中膝栗毛)

歌舞伎名台詞では

普段着慣れし振袖から、髷も島田に由比が浜 
打ち込む波にしっぽりと、女に化けて美人局 (弁天小僧菊之助)

十四の頃から親に放れ、身の生業も白浪の
沖を越えたる夜稼ぎの、盗みはすれど非道はせず
人に情けを叶?フ、金谷を鰍ッて宿々で     (日本駄エ門)

がきの折りから手癖が悪く、抜け参りからぐれ出して
旅を小股に西国を、廻って首尾も吉野山      (忠信利平)

(以上いずれも「白浪五人男」より)


しがねえ恋の情が仇、命の綱の切れたのを、
どう取り留めてか木更津から、めぐる月日も三年越し、
江戸の親には勘当うけ、よんどころなく鎌倉の、
谷七郷は喰詰めても、面へ受けたる看板の
疵がもっけの幸いに、切られ与三と異名を取り、
押借り強請も習おうより、慣れた時代の源氏店   (与三郎)

(ご存知「与話情浮名横櫛(よはなさけうきなのよこぐし) 源氏店(げんじだな なんてよまないでね)の場でありんす。)


地口のたぐいでは

恐れ入谷の鬼子母神(「恐れ入りました」+「入谷の鬼子母神」)
びっくり下谷の広徳寺(「びっくりした」+「下谷の広徳寺」)
嘘を築地の御門跡(「うそをつく」+「築地門跡=築地本願寺」)
その手は桑名の焼き蛤(「その手は喰わない」+「桑名名物の焼き蛤」)

江戸時代の川柳には
殊勝げに見ゆる出家の皮かむり

なんてのもある。

はては寅さんの啖呵売のセリフで

見上げたもんだよ屋根屋の褌
結構毛だらけ猫灰だらけ けつのまわりは糞だらけ(これでさくらちゃんがお見合いに失敗しましたな)
などなどなど。


これらはいずれも且撃ェ多い。 これは日本語には母音、特に短母音の数が少ないということが原因ではないだろうか。 日本語の短母音は5つ(方言ではこの限りではない)で、英語の母音(長短母音の区別無し)は9つ(各種の異論あり)、朝鮮語は7つ(9つという説もあり)で、比較的少ない方に入る。 

母音の多いものでは17もある言葉があるそうだ。 尚最小は3つ(アラビア語)とのことである。 当然母音数の多い言葉ほど語彙は増える。 比較的少ない母音数の言語では、必然的に同音異語が増える。 これが日本語のジョークの類に且撃ェ多用される原因ではないかと考えるのである。 もっともアラビア語に且撃ェ多いかどうかは、弊社の関知するところではないが。