ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

福祉センターで日本の着物レクチャー

2022-12-01 | 日本文化情報センター
 ミンスク市フルンゼンスキー区にある福祉センターで、区内に住む聴覚障碍者の皆さんのために日本の着物レクチャーを実施しました。
 新美南吉の詩「明日」朗読プロジェクトで手話のパートを担当したオリガさんが現在、このセンターで手話通訳士をしているご縁から、今回のイベントが企画されました。

 福祉センターは想像以上に立派で、大勢のスタッフが働いていました。
 レクチャーは私がロシア語で説明するのをオリガさんが手話に通訳する形で行いました。このような形のレクチャーをしたのは初めてだったので新鮮でした。
 他にも3人の若い手話通訳士がいて、順番に交代しながら訳してくれました。後で尋ねたら、ミンスク言語学カレッジの最終学年の学生さんたちで、外国語ではなく手話専攻だということでした。実習のためこのセンターで手話通訳の研修を受けており、卒業後は就職するかもしれないと話していました。
 いわゆる外国語大学の中に手話学科があるということです。日本だと医療福祉系の大学や学部で学べることが多いですが、ベラルーシでは手話は言語の一つという捉え方なんですね。

 オリガさんはご両親が聴覚障害者なので、幼少のときから手話でコミュニケーションを取っており、大学で勉強していなくてもできて当たり前という感じでしたが、話を聞くと、聴覚障害者の法律相談に乗れるようなレベル、つまり手話で法律用語が語れるというレベルではないので、今も仕事をしながら勉強中ということでした。
 ロシア語の手話と日本語の手話はちがうのが少々残念ですね。唯一私が知っている日本語手話「仕事をがんばります!」をやってみましたが、ロシア語手話とは似てなかったです。ロシア語手話で自分の名前を表現する方法は教えてもらいました。(頑張って覚えた。)

 ・・・で、本来の目的である着物レクチャーですが、やはり百聞は一見にしかずで、色留袖と袋帯をお見せしました。
 帯の長さに「どうやって巻くの?」とみなさん驚いていました。
 他にも着物の画像のスライドをスクリーンに投影できたので、
「冬は寒くないの?」「下駄は何でできているの?」「髪型はどうなっているの?」
などとたくさんの質問が出ました。手話通訳士のオリガさんたちのおかげで、質問の意味もわかるし、助かりました。
 
 この福祉センターでは障碍者の方々が定期的に集まって、楽しく手話でおしゃべりし、交流する機会を設けているそうです。他にも個別福祉相談を受け付けているそうで、そのための窓口やコンサルタントの部屋もありました。
 今回は交流会にお邪魔する形で、着物の紹介ができました。
 また要望があれば、別の日本文化のテーマのレクチャーもできそうだと思いました。
 日本文化情報センターもまた出張レクチャーできたらいいなと思える素晴らしい場所でした。ベラルーシは福祉大国ではけっしてないのですが、予算不足の中、懸命に努力している人たちがたくさんいるのだと認識を新たにしました。


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