ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシ最大の日本の絵本コレクション (2)

2023-03-12 | 日本文化情報センター
 ベラルーシ最大の日本の絵本コレクション(1)からの続きです。
 ここでは1997年にカスチョールの会が寄贈した絵本について書きます。

 このころ、カスチョールの会がロシア、ウクライナ、ベラルーシに日本の絵本をロシア語に翻訳して寄贈するという活動を行っていました。
 同会が発行している雑誌「カスチョール第13号」(1997年4月1日発行)の記事「ロシアの子ども達に日本の絵本を送る」によると、1995年から絵本を購入、30人の有志が翻訳作業を担当し(私は翻訳者の1人ではありません。勘違いする人が出てくるかもしれませんので念の為書いておきます。)1年で約50種類の絵本に翻訳文を紙に印刷して、原文の文章のそばに貼り付けるという方法で、ロシア語訳絵本を完成させました。
 他にも文章のない絵本など翻訳をつけていない絵本など約180冊がモスクワのロシア国立児童図書館に50冊、キーウのウクライナ国立児童図書館に50冊、そして予算の関係でミンスクには20冊が贈呈されることになりました。
 この絵本を受け取ってミンスク市立中央児童図書館に持っていく役が私だったのです。

 ミンスクには厳密には21冊寄贈されたのですが、そのうちの追加の1冊は漫画の「はだしのゲン」でロシア語版(モスクワのЯпония Сегодня社出版。田邉美奈子訳)で、絵本ではありません。
 そして2023年、日本文学コーナーがミンスク市立中央児童図書館3階に開設されたため、このカスチョールから寄贈された絵本もこのコーナー所蔵の絵本コレクションに含まれることになりました。
 文献目録は以下のとおりです。

ミンスク市立中央児童図書館外国語文学室日本文学コーナー絵本コレクションのうち、カスチョールの会が翻訳した18冊のリスト

あさえとちいさいいもうと 福音館書店
絵で見る日本の歴史 福音館書店
かさじぞう 福音館書店
かばくん 福音館書店
ぐりとぐら 福音館書店
ぐりとぐらのかいすいよく 福音館書店
しょうぼうじどうしゃじぷた 福音館書店
せんたくかあちゃん 福音館書店
ぞうくんのさんぽ 福音館書店
だいくとおにろく 福音館書店
てんのくぎをうちにいったはりっこ 福音館書店
とんことり 福音館書店
にっぽんちず絵本 戸田デザイン研究室
はじめてのおつかい 福音館書店
ふしぎなえ 福音館書店
ふしぎなたけのこ 福音館書店
みんなのかお 福音館書店
もこもこもこ 文研出版

 寄贈されてから26年が過ぎ、3冊は紛失あるいは廃棄されていましたが、残った18冊の保存状態はよいほうだと思います。ベラルーシ人は物を大切にするというのがよく分かりましたよ。
 でもさすがに、翻訳文の紙が剥がれて紛失していた本もあったので、(日本語のわからないベラルーシ人司書さんは修復できないため)私と日本語教室の生徒複数名で手分けして、紛失した翻訳文を翻訳し直し、紙に印刷して貼り直しておきました。
 年月がこれだけ過ぎたので、表紙のタイトルも取れてしまっている本もありましたが、スペルミスなども修正して、シール印刷して私が貼り付けておきました。今後も定期的にチェックして、修繕作業を私が担当します。
 これでまた20年は読みつがれることでしょう。
 ちなみに紛失あるいは廃棄された3冊は「100万回生きたねこ」(講談社)、「へんしんへんしん」(福音館書店)、漫画「はだしのゲン」です。
 残念に感じますが、つまりベラルーシ人の間で人気があった絵本という証明だとも言えます。
「100万回生きたねこ」は2011年にモスクワの出版社がロシア語版を出版したものをチロ基金が購入して、この絵本コレクションに加えましたので、再びロシア語で読めるようになりました。

(キーウの図書館に1997年にカスチョールの会から寄贈された絵本はロシア語訳であって、ウクライナ語に訳されていないからという理由で、今でも保存されていても廃棄処分になるのでしょうか。)

 画像はカスチョールの会が翻訳して、今回のミンスク市立児童図書館内の日本絵本コレクションに収められている絵本です。

 ベラルーシ最大の日本の絵本コレクション(3)に続く。



 

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