「戦勝70年 1」でも少し触れましたが、ベラルーシの農村地域では、ナチスによる「住民皆殺し」という作戦が展開されていました。
そのような村が国内で628箇所あったのですが、これらの村で亡くなった人の慰霊の場を国で1ヵ所つくろうということになり、被害の状況や首都からのアクセスがよいかどうかなどを考慮して、ハティニ村が選ばれました。
住民が全員殺害され、地図から消えた村もあるので、同じ被害にあった村をまとめてハティニで慰霊するという形です。
(もちろん生き残った人たちがその後、自分たちの村の中に独自の慰霊碑を建てているケースもあります。
ちなみにハティニ村襲撃を指令したのはウクライナ人で、実際に実行したのはナチス軍。兄弟民族であるベラルーシ人の殺戮を指令したのがウクライナ人であることは戦後長い間ひみつにされてきました。)
そのハティニでどんなことが起きたのか、取材したベラルーシの作家アレーシ・アダモビッチが「ハティニの物語」という作品を書きました。
それを元にして、映画が1985年に製作されました。ベラルーシとロシアの合作映画で、原作、ロケ地、エキストラはベラルーシが担当で、監督、主要役者はロシアが担当、というソ連映画です。
映画のタイトルは聖書に出てくるフレーズ「来たりて見よ」なのですが、なぜか邦題が「炎628」なんですよー。
ナチスによって焼き払われたベラルーシの村が628だから、このタイトルなんですが、私の中での「がっかり映画邦題第1位」ですよ。
とにかく内容は悲惨です。最初見たとき、最後まで見られずビデオのストップを押してしまった・・・。
この映画は日本でもたびたび上映されていますし、DVDも発売されていますので、戦時下におけるベラルーシの農村でナチスがどんなことをしていたのか、知りたい方はぜひご覧ください。
ただし気の弱い方、妊娠中の方で胎教など気にされる方にはお勧めしません・・・。
この映画、去年イギリスで第二次世界大戦を扱った映画ベスト50のうち、堂々の1位に選ばれています。
選考した1人は、クエンティン・タランティーノ監督。この人が1位に選んだ戦争映画が、ベラルーシが舞台の映画ですよ。
ニュースサイトはこちらです。
英誌&タランティーノ監督が選んだ「第2次世界大戦映画ベスト50」
(記事から一部抜粋)
第1位に選ばれたのは、1985年のロシア映画「炎628」(エレム・クリモフ監督)。ドイツ占領下のベラルーシ(旧白ロシア)の村におけるナチス親衛隊の凶行を、“感動的なヒューマンドラマ”や“派手なアクション”などの要素を一切排してリアルに描いた戦争映画。本作に比べたら、ハリウッド映画としては凄惨な描写で知られる「プライベート・ライアン」(20位にランクイン)の冒頭のオマハ・ビーチのシーンなど、「日曜の午後の浜辺の散歩のようなものだ」と同サイトは評している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう1つご紹介したい映画があります。それは「ブレスト要塞大攻防戦」という映画です。
ベラルーシフィルムが2010年に制作した映画です。これもロシアとの合作でロシア人俳優が多く出演しています。(アレクサンドル・コット監督)
ベラルーシフィルムはですねえ、戦後作った映画の70%が第二次世界大戦を扱った物と言われていて、私もいろいろ見たことがあるのですが、どうしても技術的にリアルさが欠けていて、感情移入できなかったりすることがありました。
しかし2011年にこの「ブレスト要塞大攻防戦」を見て、
「ついにベラルーシの映画もリアルなのが作られるようになったか・・・!」
と驚いたものです。
専門家が見たら、「これ違うよ。」と言う細かい部分もあるかもしれませんが、とにかく「戦争中、ブレスト要塞は本当にこんな感じだったんだろうなあ。」と見ている側を納得させるだけの臨場感があるのです。
ブレスト要塞って何?と言う方はこちらをご覧ください。
また私がブレスト要塞を訪れたときの記事はこちらで読めます。
何と言っても抵抗の象徴でもあるブレスト要塞なのだから、国の威信をかけて、絶対すばらしい映画を作るぞ!というベラルーシフィルムの気合が感じられます。
この映画をぜひ日本人にも見てもらいたいけど、ベラルーシの映画ということで、相手にされないんじゃないかと思っていたら、今年の冬に日本で上映されていました。
日本語版もDVD化されているみたいですね。
(YouTubeで英語字幕付きのが見られますが。)(^^;)
ベラルーシの映画をご紹介しましたが、戦争中ベラルーシでこんなことが、いや実際にはもっとひどいことが起きていたのだろうと思いながら見てほしいです。
ベラルーシ(ソ連)は70年前に戦争に勝ちました。周囲のベラルーシ人と話していると、やっぱり戦争は負けるより勝つほうがまだまし、と日本人である私は思うのですが、実際には戦争は勝った負けたの二つに単純に分けられるものではなく、もっと状況は複雑で一言では言い表されないものだと思います。
今までの常識が非常識になり、信じていたモラルも引っくり返ってしまう、仲のよかった隣人が敵になるかもしれないし、逆に一面識もなかったもの同士が助け合ったり、来るはずの明日が突然来なくなるかもしれない日々。
ああ、やっぱり戦争には反対だ、と改めて思います。一方でベラルーシの隣国ウクライナで内戦のような状態になり、すでに多くの人がこの1年ほどの間に死んでしまったかと思うと本当に悲しいし、戦争がすぐ近くにあることを感じずにいられません。
そのような村が国内で628箇所あったのですが、これらの村で亡くなった人の慰霊の場を国で1ヵ所つくろうということになり、被害の状況や首都からのアクセスがよいかどうかなどを考慮して、ハティニ村が選ばれました。
住民が全員殺害され、地図から消えた村もあるので、同じ被害にあった村をまとめてハティニで慰霊するという形です。
(もちろん生き残った人たちがその後、自分たちの村の中に独自の慰霊碑を建てているケースもあります。
ちなみにハティニ村襲撃を指令したのはウクライナ人で、実際に実行したのはナチス軍。兄弟民族であるベラルーシ人の殺戮を指令したのがウクライナ人であることは戦後長い間ひみつにされてきました。)
そのハティニでどんなことが起きたのか、取材したベラルーシの作家アレーシ・アダモビッチが「ハティニの物語」という作品を書きました。
それを元にして、映画が1985年に製作されました。ベラルーシとロシアの合作映画で、原作、ロケ地、エキストラはベラルーシが担当で、監督、主要役者はロシアが担当、というソ連映画です。
映画のタイトルは聖書に出てくるフレーズ「来たりて見よ」なのですが、なぜか邦題が「炎628」なんですよー。
ナチスによって焼き払われたベラルーシの村が628だから、このタイトルなんですが、私の中での「がっかり映画邦題第1位」ですよ。
とにかく内容は悲惨です。最初見たとき、最後まで見られずビデオのストップを押してしまった・・・。
この映画は日本でもたびたび上映されていますし、DVDも発売されていますので、戦時下におけるベラルーシの農村でナチスがどんなことをしていたのか、知りたい方はぜひご覧ください。
ただし気の弱い方、妊娠中の方で胎教など気にされる方にはお勧めしません・・・。
この映画、去年イギリスで第二次世界大戦を扱った映画ベスト50のうち、堂々の1位に選ばれています。
選考した1人は、クエンティン・タランティーノ監督。この人が1位に選んだ戦争映画が、ベラルーシが舞台の映画ですよ。
ニュースサイトはこちらです。
英誌&タランティーノ監督が選んだ「第2次世界大戦映画ベスト50」
(記事から一部抜粋)
第1位に選ばれたのは、1985年のロシア映画「炎628」(エレム・クリモフ監督)。ドイツ占領下のベラルーシ(旧白ロシア)の村におけるナチス親衛隊の凶行を、“感動的なヒューマンドラマ”や“派手なアクション”などの要素を一切排してリアルに描いた戦争映画。本作に比べたら、ハリウッド映画としては凄惨な描写で知られる「プライベート・ライアン」(20位にランクイン)の冒頭のオマハ・ビーチのシーンなど、「日曜の午後の浜辺の散歩のようなものだ」と同サイトは評している。
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もう1つご紹介したい映画があります。それは「ブレスト要塞大攻防戦」という映画です。
ベラルーシフィルムが2010年に制作した映画です。これもロシアとの合作でロシア人俳優が多く出演しています。(アレクサンドル・コット監督)
ベラルーシフィルムはですねえ、戦後作った映画の70%が第二次世界大戦を扱った物と言われていて、私もいろいろ見たことがあるのですが、どうしても技術的にリアルさが欠けていて、感情移入できなかったりすることがありました。
しかし2011年にこの「ブレスト要塞大攻防戦」を見て、
「ついにベラルーシの映画もリアルなのが作られるようになったか・・・!」
と驚いたものです。
専門家が見たら、「これ違うよ。」と言う細かい部分もあるかもしれませんが、とにかく「戦争中、ブレスト要塞は本当にこんな感じだったんだろうなあ。」と見ている側を納得させるだけの臨場感があるのです。
ブレスト要塞って何?と言う方はこちらをご覧ください。
また私がブレスト要塞を訪れたときの記事はこちらで読めます。
何と言っても抵抗の象徴でもあるブレスト要塞なのだから、国の威信をかけて、絶対すばらしい映画を作るぞ!というベラルーシフィルムの気合が感じられます。
この映画をぜひ日本人にも見てもらいたいけど、ベラルーシの映画ということで、相手にされないんじゃないかと思っていたら、今年の冬に日本で上映されていました。
日本語版もDVD化されているみたいですね。
(YouTubeで英語字幕付きのが見られますが。)(^^;)
ベラルーシの映画をご紹介しましたが、戦争中ベラルーシでこんなことが、いや実際にはもっとひどいことが起きていたのだろうと思いながら見てほしいです。
ベラルーシ(ソ連)は70年前に戦争に勝ちました。周囲のベラルーシ人と話していると、やっぱり戦争は負けるより勝つほうがまだまし、と日本人である私は思うのですが、実際には戦争は勝った負けたの二つに単純に分けられるものではなく、もっと状況は複雑で一言では言い表されないものだと思います。
今までの常識が非常識になり、信じていたモラルも引っくり返ってしまう、仲のよかった隣人が敵になるかもしれないし、逆に一面識もなかったもの同士が助け合ったり、来るはずの明日が突然来なくなるかもしれない日々。
ああ、やっぱり戦争には反対だ、と改めて思います。一方でベラルーシの隣国ウクライナで内戦のような状態になり、すでに多くの人がこの1年ほどの間に死んでしまったかと思うと本当に悲しいし、戦争がすぐ近くにあることを感じずにいられません。