ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ミンスクのショッピングセンターで大量無差別?殺人事件発生

2016-10-08 | ベラルーシ生活
 10月8日ベラルーシ時間の夕方5時半ごろ、ミンスク市内のショッピングセンター「ヨーロッパ」の敷地内で、無差別と思われる殺人事件が起こりました。
 容疑者の男はマスクで顔を隠しており、ギターケースを持っていましたが、そこに凶器を隠していました。
 ギターケースからチェーンソーを取り出すと、ショッピングセンター内の店舗で働いていた女性店員にいきなり無言のまま襲い掛かりました。女性はその場で即死・・・・・。
 店内にいた買い物客は、何が起こったのかすぐに分からず、映画のロケか何かかと思ったそうです。

 次に男はチェーンソーを投げ捨て、ギターケースから斧を取り出しました。そして店内にいた女性客を切り付けました。
 その後も男は斧を振り回しながらショッピングセンター内を走り回りました。
 店内はパニック。買い物客たちは「みんな逃げて! 店を閉めて! 変質者がいる! 警察に通報して!」と叫びながら、店内を走ったり、外へ逃げ出そうとしました。

 このショッピングセンターで勤務してる警備員と店員が容疑者を取り押さえ、その1分後には警察が到着。現行犯逮捕されました。

 容疑者はなんと18歳。(17歳という報道も。生年は1998年だそうなので、誕生日が来たら18歳になる? べラルーシは18歳が成人年齢なので、現在17歳か18歳なのかで量刑が微妙に変わってきそうですね・・・。) 
 取り調べに対して取り乱す様子もなく、容疑を認めているそうです。

 被害は女性店員一人が死亡。もう1人の女性は46歳の買い物客で、胸と肩の二箇所を斧で切り付けられ、重傷。さらに怪我人がいるそうですが数を確認中だそうです。

 共犯者がいた、という目撃者の証言もありますが、その後の警察の発表では犯人は1人だけだそうです。 

 ショッピングセンター内で働いていた店員の証言ですが、
「1階で働いている店員の多くが店内のいすやゴミバケツといったものを手に取りました。そのうち1人の男性が容疑者に向けて投げたゴミ箱が、頭に命中したのです。容疑者は床に倒れ、他の店員や警備員たちが一斉に容疑者を押さえ込み、動けないようにしたのです。」

 すごい! ベラルーシの店員さんって勇気ありますね! さすがベラルーシ男子!
 取り押さえるのが遅れていたら、もっと被害が増えていたかもしれません。

 警察が防犯カメラで確認したところによると、容疑者が店内に入ってから、その場で逮捕されるまでおよそ7分。
 週末の夕方でにぎわうショッピングセンターで起こった事件。その場にいた人にとっては、気が遠くなるほど長い時間に感じられたことでしょう。
 
 センター内の薬局にある薬品ケースの中に隠れていた人や、トイレから出たとき犯人と出くわしたが、以前柔道を習っていたので、とっさに守りの姿勢を取ったら、幸い手に軽い怪我をしただけですんだと言うお掃除のお姉さん(!)もいるそうです。 

 亡くなられた女性店員さんは本当にかわいそう。つくづく運が悪かったとしか言いようがありません。

 犯人の目的は何でしょうか? まだ取り調べ中で詳しいことは分かっていません。
 麻薬をしていたのではないかとも言われていますが、ギターケースに凶器を二つも隠し持ち、人出の多そうな場所と時間帯を狙っているようであることから、反抗は計画的で、麻薬や飲酒は無関係と思います。

 もしかするとテロかもしれません。最近のテロの手口、ロンリーウルフですね。
 でもヨーロッパの田舎ベラルーシでテロを起こしてもアピール力が弱いですし、それにシリアで空爆をしているのはロシア軍で、ベラルーシ軍ではありませんので、それに対しての抗議と考えるのも無理があります。

 比較的治安がいいと言われているベラルーシですが、実際には意外と殺人事件が多く発生しています。(数の上では日本のほうが多いです。)しかし殺人の動機の多くは金銭目的、麻薬がらみ、飲酒の上での暴行が殺人に発展・・・という場合がほとんどです。

 今回のように別に恨みがあるわけでもない無関係の人や弱者に向かっての無差別で、しかも大量の被害者を出す事を目的とした殺人事件はベラルーシ史上初めてだと思われます。
 残念ですね。 
 ある意味、ベラルーシも日本に似てきましたね。


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 この事件について詳細が明らかになってきました。(10月9日追記。)
 容疑者ですが、やはり17歳の未成年であることが発表されました。氏名などは明らかにされていませんが、人種はベラルーシ人で、大学1年生だそうです。裕福な家庭に育っており、両親所有の別マンションで1人暮らしをしていたそうです。大学に入学した今年9月から1人暮らしを始めて今1ヶ月ぐらいだったということでしょうか。

 ショッピングセンター内部に入ったときには、すでに作動させたチェーンソーを手にしていたそうで、それを見た買い物客ら数人は驚いて逃げ出しだそうです。

 そのうちの1人が犠牲となった女性店員でしたが、次に取り出した斧で倒れた女性を3回切りつけたそうです。

 さらにショッピングセンター内にいた46歳の買い物客にも斧で切り付けました。
 またもう1人が怪我をしていますが軽症で、自宅療養しているそうです

 亡くなった女性店員は43歳で、ショッピングセンター内のめがね売り場で働いていました。この女性はもともと孤児で、施設育ちだったそうです。
 21歳の息子さんがいますが、聴覚障害を持つ障害認定者だそうです。

 明後日の告別式は、ショッピングセンター側が費用を全て負担するそうです。

 容疑者は取調べ中に「現場へ行く3時間前に飲酒した。そのほうが度胸が出ると思ったから。」と話しているそうですが、警察で呼気チェックをしてもアルコール成分は検出されなかったそうです。
 犯行の動機について容疑者は
「人間を切断してみたかった。」
と話しており、犯行数日前にチェーンソーや斧、マスクなどを購入したそうです。 

 しかし予想以上に抵抗にあったとも話しました。(頭にゴミ箱が命中していますからね。)
 つまり、もし邪魔されなかったらもっと多くの人を襲うつもりだったということです。

 精神鑑定をこれから受けるそうです。

 これからどんな判決が出るのでしょうか。
 
 亡くなった方のご冥福をお祈りします。
 

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10月10日の追記です。

 容疑者は2年前に精神科に通院していたことが分かりました。
 父親はミンスク市内に住んでいますが住居は別で、母親と容疑者の姉妹は外国暮らしをしているそうです。
 15、6歳のときに精神科に通っていたことのある息子を、1人暮らしさせて、親は保護者としての責任を果たしていたのでしょうか。大学生とはいえ未成年なのに。

 最初の計画では自分が通う大学で、無差別大量殺人をしようと考えていたそうです。(ちなみに私立大の法学部に在籍。)

 できるだけたくさんの人を殺して逮捕されるときには自殺しようと思っていたが、果たせなかったと話しているそうです。  

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 10月11日の追記です。
 マスコミの取材に容疑者の父親が応じました。
 それによると・・・「息子はとてもよい子だった。法律家になりたいと言ったから大学の法学部に入学したのに・・・。 
 しかし中学生のころ思春期のせいなのか反抗期なのか、当時の担任の先生とうまくいかなくなった。
 その後転校して、問題はなくなった。」
 どうもそのころ、容疑者の少年は自殺未遂をしたらしいです。そのため精神科に通院していたようです。その後に転校したということですね。

 父親の話では顔ににきびがたくさんできて、本人はかなり気にしていた。(外見にコンプレックスがあった?) 
 そこで「病院の皮膚科に行き、薬をもらって飲んでいたがにきびは治らなかった。
 今年の夏、そのことを医者に言うと、別の薬を処方された。それはスイス製の薬で強力なタイプ。その副作用のせいで精神状態がおかしくなり、今回の犯行を犯したと私は思う。」と父親は話しています。

 人をたくさん殺したくなる副作用があるニキビ薬を処方した医者が悪くて、うちの息子は悪くないということですね。

 息子と別に暮らしているのはなぜかと言う質問にはノーコメント。
 この人の奥さんと娘は外国暮らしをしているし、この父親にも少々問題があるように私には思われました。

 父親はミンスク市内の一軒屋で暮らしているそうですが、どうやら親の遺産としてもらった住居らしく同じように遺産をもらう権利があるおじさんが、同じ住所に住んでいるそうです。
 ところが、一軒の家をきれいに半分に区分けして境界線に柵まで作り、男性二人がそれぞれのテリトリーで暮らしている状態。一軒の家に住んでいるのに、お互いの行き来はほとんどなかったようです。
(私だったら、こんな状態で親戚と暮らすより、自分の息子と暮らすほうを選ぶけど。)

 マスコミはこのおじさんにも取材。容疑者の少年を親戚であるにもかかわらず1回しか会ったことがないと語り、事件が報道されて初めて、少年の母親とその姉妹が外国で暮らしていることを知ったそうです。

 家庭環境にも原因があるのかなという印象を受けました。

 10日の追記には私立大学の法学部に在籍と書きましたが、9月の入学後、ほとんど授業に出席しなかったので、退学処分を最近受けていたことが分かりました。

 それで最初は大学構内で無差別大量殺人を計画したがうまくいかなかったので、ショッピングセンターにした・・・そうです。
 じゃあ動機は自分を退学にした大学に対する恨み?
 でもそれが、大学でなくてもいいや、誰でもいいや・・・に変わったということでしょうか。

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