ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

和訳をテーマにしたレクチャー「ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語」

2018-02-18 | 日本文化情報センター
 2018年2月18日、和訳をテーマにしたレクチャー「『ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語』」を題材として」をミンスク市立第5児童図書館で行いました。
 原作者のソフィヤ・ヴォルサさんも足を運んでくれてうれしかったです。

 レクチャーの主催は日本文化情報センター。スポンサーはチロ基金。
 講師は日本語訳の翻訳者、田中仁さん(国立ベラルーシ大学ジャーナリスト学部大学院生)
 進行は校正を担当した辰巳雅子(日本文化情報センター代表)
 ベラルーシ語版と日本語版、ロシア語オリジナル原稿の一部を朗読したのは、辰巳結重(新美南吉ロシア語訳童話集「ごん狐」翻訳者)
 聴講してくれたのは、日本文化情報センター日本語教室の生徒のみなさんとベラルーシの大学で語学留学をしている日本人大学生の方々、合計29名と、原作者ソフィヤ・ヴォルサさんとそのお父様です。

 レクチャーではソフィヤさんの挨拶、田中さんの翻訳時の苦労話で始まりました。
 その後はベラルーシ語(あるいはロシア語)から日本語に翻訳するときに、ついしてしまいがちな誤訳、人名表記など固有名詞の翻訳の仕方、読者の対象年齢によって使用できる漢字が変わるといった日本児童文学が持つ特殊な点について、またオノマトペの活用の仕方などベラルーシ人翻訳者が知らなさそうなことをテーマに「ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語」の中から該当箇所を選び、翻訳例として
挙げながら、レクチャーを進めました。

 画像は記念撮影したものです。右から原作者のお父様、翻訳者の田中さん、原作者のソフィヤ・ヴォルサさん、校正者です。

 ソフィヤさんは日本語版の出版をとても喜んでくれて、「日本語を勉強したい。」と言ってくれました。
 田中さんは今回が初の翻訳作品の出版を機に、今後も翻訳に取り組んでほしいですね。
 私も校正の仕事は今回初めてだったのですが、予想していたよりも大変な作業であり、またおもしろい仕事であるのだと痛感しました。また機会があれば、ベラルーシ人作家の日本語訳の校正作業に携わりたいという希望を持ったぐらいです。

 日本語訳「ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語」は発行部数が200部、と少数なのですが、将来日本でも多くの人も目に触れるようになってほしいなと思っています。
 まだ14歳のソフィヤさんの今後の活躍にも期待したいですね。
 

「ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語」

2018-02-18 | 日本文化情報センター
 ベラルーシ最年少14歳の中学生作家ソフィヤ・ヴォルサがベラルーシ語による短編集を出版しました。
 正しくは、ロシア語で書かれた原作が、ベラルーシ語に翻訳され「Дзесяць простых гісторый」というタイトルで昨年刊行されたのですが、その日本語訳が今年に入ってから出版されました。

 翻訳したのは現在、ベラルーシ大学ジャーナリスト学部の大学院生、田中仁さんです。
 (厳密に言うと、ロシア語オリジナルからの和訳になります。)
 私(辰巳雅子)は校正を担当しました。
 発行したのがベラルーシの出版社で、しかも編集部に日本語ができる人がいませんから、日本人の私が校正を担当した、という形です。

 日本語訳のタイトルは「ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語」です。
 原作者にとってはデビュー作、翻訳者にとっても初の翻訳作品、校正者にとっても初めて校正を担当したという初めてづくしの本書です。
 おそらく日本語の文芸書がベラルーシで発行されたのもこれが歴史初だと思います。

 日本語訳「ソフィヤ・ヴォルサが贈る10の物語」は販売を目的として、出版されたわけではないので、書店では購入できません。日本文化情報センターでは貸し出しを行っています。

 日本語訳が出版されたのを記念して、日本文化情報センターでは和訳をテーマにしたレクチャーを開催することにしました。