ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チェルノブイリ付近の森林火災

2015-05-03 | 放射能関連情報
 4月28日に発生したチェルノブイリ原発付記で起きた森林火災ですが、5月2日に鎮火しました。

 立ち入り禁止地区内で起きた火災、つまり放射能汚染が高い地域なので、火災が起きると放射能が舞い上がるのではないかと危惧されていたのですが、空間線量は通常の範囲内と発表されました。

 これを嘘の発表で、真実を隠していると思う人もいるでしょうが、私は正しい発表だと思います。
 事故から29年が経ち、森の上に降り注いだ放射能も雨水に溶けてどんどん地下へと浸透していっています。
 現在放射能は地表から約30センチの深さの部分にもぐっていっており、森が燃えてもそれが上空に舞い上がることはありません。

 もっとも森の地表部分の落ち葉が堆積しているところには、放射能がまだ残っていますが、全体からすると少量で、それが煙にのって舞い上がっても、遠く離れたキエフなど人口が多い地域の空間線量が大幅に上がることはないでしょう。

 それより問題なのは、これから地下水の汚染や、それにともない水源地や木の根が深く伸びる果樹などの汚染が今後進んでいくだろうと予想されることです。
 一方、来年の今頃はセシウムに関して言えば、セシウム137の半減期が来ますから、自然界で拡散したセシウム137の量は半分に減ります。
 ただし、生体濃縮は変わらず続きますから、ベラルーシ人のセシウム被爆量が突然半分になるとはいきません。現実は単純計算どおりにいかないです・・・。

 日本の場合、まだ放射能が地表や地表近くに残っていますので、汚染地域で森林火災が起きると上空に舞い上がる可能性が高いです。
 もっともあくまで私の予想ですが、ベラルーシよりも日本のほうが降水量が多いので、すでの多くの放射能が地面にしみこんでいると思います。
 つまりチェルノブイリの場合、1年に1センチのスピードで地下にしみこんでいっていることになりますが、日本の場合それを上回るスピードで地面にしみこんでいるいくと思います。

 またこちらは冬が長くその間土壌も凍結するので、放射能が地下水とともに移動することがないのですが、日本は冬が短いので、どんどん地下水といっしょに移動していくと思われます。

 また日本の場合森林火災の煙で放射能が舞い上がるという以前に台風がどんどんやってくる気候なのですから、そのことも考えないといけません。

 さらに日本は周囲を海に囲まれています。
 このようにチェルノブイリのケースと日本のケースは条件が異なるので、その点を考慮しないといけません。

 線量計をお持ちの方は台風や森林火災が起きた後、変化が起きないか前後で測定してみてください。