ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第81回」

2008-10-18 |   ビタペクト配布活動
 10月17日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第81回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を7個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1535個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1190部となりました。
  
 今回で通算91目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1535人分のビタペクト2、そして1190家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by


 
 今回は3家族がグロドノ市(チェルノブイリ原発から約400キロ)から保養のためSOS子ども村に滞在しており、お話を伺いました。グロドノは放射能汚染地域ではありませんが、意外と高めの放射能測定の結果が出ました。

(家族A)

 お母さんと3人の子どもたち。子どもに1人1個ずつビタペクト2を渡しました。それぞれの体内放射能値は次のとおりです。

母親    20ベクレル  
長女 9歳 29ベクレル  
長男 5歳 34ベクレル 
次男 4歳 42ベクレル 

 お母さんと長女は甲状腺が肥大しています。長男は食が細く、アンギーナによく罹るそうです。やせていて、顔色もあまりよくなく、お母さんは心配していました。
 次男は喘息を持っています。また食べ物のアレルギーがあるそうで、牛乳、卵、かんきつ類、チョコレートを食べるとアレルギー反応が起こってしまいます。食べ物だけではなく、湿気が多いところもだめだそうです。(梅雨時の日本に行ったら、どうなることか・・・)こんなアレルギーがあるなんて初めてききました。


(家族B)
 
 この家族は家庭タイプ孤児院の一家です。自分の実子を含め、全部で9人の子どもを育てているそうです。そのうち7人の子どもを今回保養に連れてきていました。
 この家族には4個のビタペクト2を渡しました。それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しています。

母親     19ベクレル 
男子 8歳   7ベクレル
女子 15歳 37ベクレル ○
女子 14歳 21ベクレル ○
男子 11歳  6ベクレル
女子  7歳  7ベクレル
男子  6歳 40ベクレル ○
男子  6歳 54ベクレル ○

 このうち6歳の男子2人は双子の兄弟です。14歳と7歳の女の子も姉妹です。
 一緒の家にみんなで暮らして、同じ物を食べていると思いますが、放射能値の結果にはばらつきがありました。
 15歳の女の子は弱視。14歳の女の子は甲状腺が肥大しています。11歳の男の子は斜視です。お母さんは「治しようがない。」と医者に言われた、と悲観していましたが、SOS子ども村のリリヤ先生は
「訓練しだいで改善します!」
と断言。その場で訓練について教えてくれました。また訓練用のメガネもあるので、それをかけるほうがいい、ともアドバイスしていました。
 でも、この男の子、引き取られてよかったですね。親切な養親にめぐり合えれば、斜視も治る可能性があるけれど、そうでなかったら、孤児院で放置されたままですよ・・・。
 子どもたちは全員風邪をひきやすく、
「年齢が小さい子どもから順番にかかっていって、最後は必ず私なの。」
とお母さんは、少し笑いながら話していました。

 体内放射能値が上がる秋、ビタペクト2を飲んで、風邪にひかえてほしいですね。
 お母さんの話ではインフルエンザの予防接種を受けようかどうか悩んでいる、ということでした。
「予防接種を今まで毎年受けさせてきたけど、結局かかるので、意味がないように思う。最近は予防接種を受けるのはかえって体に悪い、と主張する医者が増えてきたけれど、どうなんですか?」
とリリヤ先生に相談していました。リリヤ先生は
「予防接種は無意味ではありません。受けさせるべきです。」
と主張していました。
 確かにうちの子は秋が誕生日なので、そのとき定期健診に行くと
「インフルエンザの予防接種を受けますか? 無料ですよ。」
と病院で言われるので、受けるのですが、結局毎年インフルエンザにかかっています。
 でも少しは軽くですんだりと全く無意味ではないと私も思います。それにしても子どもが9人もいて、それが次々インフルエンザにかかったら、家の中が大変ですよね。家庭タイプ孤児院が家庭タイプ病院になってしまいますよね。
 こんなに大変であるにもかかわらず、たくさんの養子を育てているお母さんたちには、頭が下がります。 

 (家族C)

 お母さんと3人の男の子の家族。この子どもたちはそれぞれ7歳の長男が7ベクレル、6歳の次男が9ベクレル、4歳の三男が6ベクレル、と体内放射能値が低かったため、ビタペクト2は渡しませんでした。お母さんは25ベクレルでした。
 子どもたちは、風邪を引きやすく、3人ともよく喉頭炎にかかるそうです。そうなるとしゃべることができず大変だと、お母さんが話していました。
 お母さんは子どもが病気にならないようにするには、食育が大事だと話していました。全くそのとおりですね。こういうしっかりしたお母さんがどんどん増えてほしいです。
 
 今回も子ども達に折り紙や日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらった竹で作られた知恵の輪、紙細工の着物人形を子どもたちにプレゼントしました。
 女の子は折り紙に、男の子は知恵の輪に興味津々のようすでした。小さい男の子が多く、とてもにぎやかでしたが、「折り紙をしばらく静かにしてほしい。」とお母さんたちは話していました。
 お母さんたちもSOS子ども村でしばし休息できてよかったですね。 

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。