自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

モンゴル12 料理

2018年08月21日 | モンゴル
私たちがお世話になったゲルは昔ながらのゲルなのだが、中身が違う。ゲルの中央にはストーブがあり、そこから煙突が出ているのだが、このゲルではストーブがなく、テーブルがあるだけだった。それに正面に大きな画面のテレビがある。伝統的にはここには仏壇があったり、家族の写真があったりする。それに入り口に冷凍庫がある。ここはバイヤンウンジュルの町外れなので、電信柱から電気が取れるが、草原のゲルでもソーラーパネルで電気をとっている、なんでも朝青龍が横綱になった頃にセンセーションになってテレビが普及したのだという。そういえば、あの頃モンゴルに行くと、朝青龍はいま何勝何敗ということを誰でも知っていた。相撲関係の雑誌をお土産にすると読めないはずなのに大喜びされた。
 そういうわけで、外見は見慣れたゲルではあるが、中身はかなり様変わりしたというわけだ。ついでにいうと、入り口は必ず南を向いている。私はモンゴルに通い始めた頃、怪しいと思って、ゲルに行くたびに磁石で確認したが、例外はなく正しく南を向いていた。そもそもモンゴル人はいつどこにいても方位がわかっている。だから方位磁石で入り口を探すわけでなく、迷わず建てる。モンゴルの客を成田から東京に連れて行く時、位置関係を知らないはずなのに、西に向かっていることを知っていて驚いた。私たちはおよその位置関係を知っていなければ、動いている電車がどちらに向かっているかわからない。
 方位といえば、ある日、調査を終えて帰った時、ちょっと疲労感があったので、ベッドに横になったら、ドライバーのジャガさんが
「あ、先生、そっちは南だからダメです」
という。モンゴルでは寝る時、頭を南に向けてはいけないのだそうだ。「北枕」にしないといけないわけだ。この辺りも、日本人なら例えばアメリカ人が来てアメリカ流の行動をとったら、「それは日本ではダメです」とは言わないで、「ま、アメリカ人はわからないのだからいいことにしよう」と目をつぶるが、モンゴル人はそういうことはない。以前、夜口笛を吹いたら、やはり制された。それも科学者がそう行ったからおかしかった。
 さて、このゲルにお世話になったわけだが、奥さんのサラさんに夕食を作ってもらうことにした。以前、日本の学生を連れて来た時、多くの学生が美味しい、美味しいと行って食べていたが、私はモンゴル料理は苦手だ。個別にはボウズ(餃子)やホショール(その変形)など美味しいのだが、食事は同じものが大量にでる。それしかないのだ。だからはじめのうちは良いが、だんだん喉を通らなくなる。改めて思うのは、日本は毎日違うものを作るし、一度の食事でもいくつも皿がある。
 基本は肉で、これに野菜(とモンゴル人はいうが、ジャガイモとニンジンだけ。葉っぱは家畜が食べるもので、人が食べるものではないそうだ)を炒めたもので、それになんらかの小麦(うどんだったりマカロニーだったりするが)が組み合わさっているだけで、基本は同じだ。私は大正生まれの九州人である父に、食べ物に文句をいうなと育てられたので、そうしているが、その私でも「もうちょっと工夫したら?」と思わないでいられない。ここに来て2、3日した時に、電気釜で米を炊き、温めるだけのカレーを食べたが、その美味しかったこと。それからはモンゴル料理に味噌汁とか、日本から持って来たものを添えた。味的には無茶苦茶な組み合わせでも、「違うものを交互に食べる」こと自体が目的になっていた。


冷凍庫からヒツジの肉を出して切るサラさん。右にあるのは中国製の冷凍庫

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