別の日に仲良しの二人がデール(民族衣装)を着て私のゲルにやってきました。どうやらその姿を見てほしかったようです。大きい方の子は髪にリボンもつけておしゃれにしています。日本の農民が外で着物を着るというのはないことですが、モンゴルではどういう気分の動きなのか、突然デールを着て農作業(と言っても動物相手の作業)をします。全体に伝統的な日本の農民よりはおしゃれだと思います。
ただ私がこの写真で言いたかったのは、そのことより、小さい方の子の「汚れ方」です。今の日本では少し汚れてもすぐに洗います。私などは「そのくらい平気だ、そんなことで洗濯するなんて洗剤と水の無駄で、環境によくない」と思います。やれ汚い、臭いとうるさいです。不潔は良くないが、動物である人間が日々の暮らしの中で多少汚れるのは当然で、ヒトはそのように進化してきたはずです。チベット人は汗で体表をプロテクトしているので、風呂に入るなどすると風邪を引くと聞いたことがあります。モンゴル牧民は家畜の乳搾りをして発酵食品を作りますから、雑菌には敏感なはずです。それを体験的に知った上で、この程度までは大丈夫と知っているはずです。第一、この乾燥した国ではカビが生えたり、物が腐るということはありません。着た服はしばらくは着ているのが当たり前のことです。この子の程度は大丈夫ということです。
子供には独特の匂いがあるように思います。こういう子が近づいてくるとその匂いがして、なつかしいような、愛おしいような気持ちが湧きます。
日本は湿潤な国だから同じようには行きませんが、抗菌だの脱臭だの言い過ぎで、売らんがためのコマーシャルに乗せられて、神経質な子供を作ることの方がよほど危険だということに気付いて欲しいものです。