自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

タヒ論文の受理

2020年12月22日 | 研究など research
12月21日にモンゴルのタヒ(モウコノウマ)の論文が受理されました。麻布大学にいたとき、科学研究費でモンゴルの調査ができるようになりました。ちょうどその時に、大津彩乃さんという学生が入室しましたが、その人がウマが大好きだったので、フスタイ国立公園でタヒとアカシカの食性と群落選択の比較をする調査をしました。

タヒ(モウコノウマ)

その内容の一部は以下に示しますが、ここで紹介したいのはWildlife Biologyという学術雑誌からの受理連絡の手紙のことです。国内の雑誌では「貴論文は査読の結果、何月何日付で受理されました」と形式的なものですが、これは少し違いました。

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高槻博士

貴殿の"Diets and habitat selection of takhi and red deer in Hustai National Park, Mongolia(モンゴル、フスタイ国立公園のタヒとアカシカの植生と生息地選択)"と題した論文をWildlife Biologyに受理いたします。査読過程は大変でしたが、忍耐強く対応いただきありがとうございました。査読はワクワクするものでした。編集作業としても内容的にも私の興味を引く、素晴らしいものでした。この受理が新年を迎えるにあたり喜んでいただけるものになれば幸いです。
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簡単な言葉ではありますが、心がほかっと暖かくなります。いいクリスマスプレゼントになりました。

しばらく前に論文の査読について書きました(こちら)。そのこととも関連するような気がします。

 さて、以下は主なデータです。最近はグラフに動物のイラストを描いて添えるのを楽しみにしています。論文は作品ですから、どうせなら楽しみながら創りたいと思います。

タヒとアカシカの群落選択を示唆する糞密度。
アカシカは森林を、タヒは草原をよく利用していた。

タヒ(灰色)とアカシカ(黒)の糞の大きさの違う植物片の重さの分布。
どの季節でもアカシカの糞は細かい植物片が多く、タヒでは粗い植物片が多かった。

タヒとアカシカの糞におけるタンパク質含有率の季節変化。
常にアカシカの糞の方が高タンパク質であった。
コメント
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