自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

日本学術会議 2

2020年12月16日 | 標本
東京大学出版会の広報誌は「UP」という。上むきのアップでもあるが、University Pressの頭文字をとったものだ。知的な短文が載っていて、毎月届くのが楽しみだ。
 最新号はいくつかの文章が日本学術会議に関するものだったが、以下に紹介する佐藤氏の文章は最も端的で激越ともいえるものだ。
 私は6人の学者を「外した」のは自分たちに都合の悪い「抵抗勢力」をはじくためだと思っていた。官房長官時代の菅氏の大きな「功績」の一つはマスコミ対策と官僚の人事掌握(支配)であるという。それにはここでは触れないが、要するにイエスマン以外を排除するのが成功に不可欠と考えるタイプの人であるらしい。そういう人はどこにでもいるし、小さな組織ではそれで問題がないことも多いと思うが、政治はそうはいかない。権力を持てば持つほど、自分の行いや決断を多様な立場から評価するのがリーダーたるものに不可欠な資質であろう。
 菅首相がそういう大物でないことはすぐにわかる。そういう人が苦手な人物を外そうとするのは(許容はできないが)理解できる。そうではあるが、国会の質疑を聞いていると、この人は質問にまともに答えない度合いがひどい。都合が悪いことは答えない。その答えない内容が、例えば「なぜ外したか」に「人事は言及しない」と、まるで理由になっていない。「基準は何か」に「総合的、俯瞰的に」と見当違い。これについて、「問題をそらしている」と批判する人がいるが、私はそうではなく、質問の意味と自分の「回答」がそれに答えていないことが理解できないのだと思っている。おそらく議論を戦わす訓練を受けたことがないのだろう。要するに相手の考えを理解しようとも、聴こうとさえしないのだ。そして「丁寧に説明させていただく」とくる。それは相手の意向に無関係に自分の主張をただ繰り返す無能さの露呈だ。
 さて、佐藤氏の文章だが、私が菅首相の答弁にイライラしているだけなのと違い、その背後にあるもの、つまり何のために6人を外したかに端的に答えている。恐ろしい事にそれは武装だというのである。佐藤氏が疑りすぎと思いたいが、説得力がありすぎる。



コメント
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