自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

日本学術会議 1

2020年12月15日 | がんこおやじ
菅首相は総合的、俯瞰的という、それまでに聞いたこともないような言葉を使って、学術会議の委員任命を認めなかったことの、苦しい言い訳をしたが、全く説明になっていないし、いまだに任命拒否の理由を説明していない。この俯瞰的という言葉を最初に使った吉川先生が朝日新聞にその意味をわかりやすく書いておられる。これを読めば菅首相の言葉使いがいかに間違っており、しかも使い方は真逆であることがわかる。これは間違いなく、菅首相の軽率な発言を、官僚が大慌てでなんとか言い訳をするために、苦し紛れに猿知恵を絞って、「学術会議が書いた言葉を使えば文句は出ないだろう」と考えて探し出したに違いない。安倍前首相の時も大変だったに違いないが、官僚の苦しさもただならぬものがあるに違いない。
 吉川先生は私が東大にいたときに何度かお会いした。私は総合研究博物館にいたのだが、展示が改まって内覧会があると時々ご夫妻でお見えだった。ご夫婦ともに純白の白髪がとても印象的だった。工学部の先生なのに(というのが失礼なのは承知の上で)言葉使いが極めて優れた人だった。無駄がなく論理的でいて人間味に満ちている。
 ある年の卒業式の総長訓辞が大学の広報誌に載っていたので読んだ。こういう挨拶は大体は形式的で無難、したがって心に響かないものだが、私は期待しないでその文章を読んでいて、あまりに引きつける文章で「これが訓示か」と驚いた。それは学部生に向けたものだったが、同じ広報誌に大学院生に向けての訓示もあった。同じようなことが書いてあると思って読んで、これまた驚いた。全く違うことが書いてあり、それ以上に心に響くものだった。「この人は違う」と思わせるのに十分だった。
 穏やかな吉川先生がこれほどはっきり反論されるのは珍しい。この言葉を初めて使った人が言うのだから、間違いはない。菅首相には心して読んでほしい。




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