自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

高マンチキでジコチュウでパワハラな人

2018年10月21日 | がんこおやじ
物質的に豊かな時代が続くと、人は穏やかになり、波風を好まなくなるようだ。そうした社会に浮かんでいると、会話によく出てくる言葉は、空気を読む、つまり人のいうことに反論したりせず、自分を抑えてみんなに合わせるのがマナーが良いことというわけだ。「極端なことをいうな」、「ほどほどが良い」ということになる。歯を食いしばって頑張るようなことはスマートではなく、熱中することはダサいとみなされる。自分の信じることを迷わず行う人は煙たがられ、謙虚で控えめな方が良いということになる。まとめると、ジコチュウで、熱血で、自信家は和を乱すものとされ、嫌われる。

 現役の頃も好きだったが、監督になった中田久美がいい。先日NHKで特集をしていたので、見て感動した。天才的なセッターとして15歳から全日本に出ていた。目がクリクリとして可愛いということでも人気があったが、セッターとしてのプレーが素晴らしく、勝気な性格も魅力があった。
 世界に通用するプレヤーだから自信家であるのは当然だ。監督として同じことを言っても現役時代に類まれなプレヤーだったというヒストリーがあればこそ、選手も敬意を持ってその言葉を聞くのであろう。選手には厳しい。「なぜ、そういう何も考えないプレーをするのか」という類の発言は、今風に言えパワハラであろう。だが、中田の言うことは、そうは聞こえないし、選手は敬愛している。
 かつては選手として、そしていまは監督してバレーボールに人生をかけている。選手の誰よりも早く練習場にきて、起きてから寝るまでバレーボールのことを考える日々を送っている。とんでもない非常識である。
 自分を信じで、誰もしないようなことをし、容赦しないことは、今風に言えば高マンチキで、ジコチュウで、パワハラととらえられる。大半の人は、仲良く、試合に負けても悔しがらず、叱られることもなく、和気藹々とスポーツを楽しむ、それで良い。だが、ホンモノが本気にならなければ到達できない境地がある。そのことを本当に評価しないような生ぬるい社会に、そういう純化された世界は見えるはずがない。

 中田久美ほど素敵に歳を重ねた女性を見たことがない。


中田久美 監督/Kumi Nakada (JPN), OCTOBER 10, 2018 - Volleyball : FIVB Volleyball Women's World Championship Japan 2018 Second round Pool E match between Japan3 -1 Serbia at Nippon Gaishi Hall in Nagoy… by 写真:築田純/アフロスポーツ
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