リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

武満徹とリュート

2024年03月28日 22時19分17秒 | 音楽系

武満徹は実はリュートの曲を書いています。といってもソロ作品ではなく室内楽でリュートを起用したものです。

ひとつはサクリファイス。編成はアルト・フルート、リュート、ヴァイヴと古代のシンバルです。現代はフランス語で書かれていて、Sacrifice pour Flute en sol, Lute et Vibraphone -avec Cymbales antiques となっています。Wikiの記述は間違っています。楽譜は4段で書かれていますが、ヴァイヴの奏者が打楽器のシンバルも担当します。演奏は3人です。リュートは「普通の」リュートの調弦ではなく1コースから6コースまでがギターと同じ、7コースと8コースはそれぞれC♯、H♮に調弦するように指示されています。8弦ギターで代用できるかもしれません。作曲年は1962年で音楽芸術の添付楽譜として発表されました。

もうひとつはリングという曲です。この曲は円形の図形楽譜R・I・N・Gの4つの楽譜が書かれていてどの順でどこから演奏してもいいということになっています。不確定性を打ち出した作品です。のちにその方式は放棄したようですが。編成はテルツ・ギター、リュート、フルートです。リュートはミで始まるギター式の調弦で、ギターは普通のギターより短3度く調弦する高い小ぶりなギターです。カポを3フレットに着けてもいいのかも知れません。なんかリュートとギターの調弦が逆のような気がしますが・・・作曲年は1961年です。

以上が貴重なリュートを含む武満作品です。いずれも60年代初めの作品というのがなかなか興味深いです。残念ながらソロ作品はありません。

 


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