リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バス弦戦国時代(1)

2024年05月07日 09時46分47秒 | 音楽系

先日のエントリーで新しいバス弦の選択肢になるかもしれないHF弦のことについて書きましたが、いまだバロック・リュートやテオルボのバス弦の選択については定番がなく、むしろ新しい選択肢が増えていわば戦国時代の様相を呈しているとさえ言えます。

ここで今現在どのようなものがあるのかまとめてみましょう。

1.昔ながらの(昔は1970年頃を指します)金属巻き弦
金属は真鍮、銅、アルミがあります。真鍮や銅は銀メッキを施したものもあります。

2.フロロ・カーボン
10年くらい前からバス弦に使われるようになってきた素材で、クレハの釣り糸をそのまま使うことができます。クレハの釣り糸(万鮪)はなぜかリュートの低音弦で使えるくらい細かな単位のゲージがあります。ただしそのまま使うと精度不足で振動がよろしくないものがほとんです。実際に使うにはサヴァレスのKF弦を買った方が実際的です。

3.アキラのCD弦
6,7年前に登場したリュートのバス弦専用をうたった弦。ただし登場時は太いバス弦なのに切れまくりました。その後改良品が出され、すぐ切れるということはなくなりましたが、それでも1年に1本くらいは切れることがあります。

4.ラノリン処理の金属巻き弦
これはヤコブ・リンドベルイが行っている方法で、CDの解説に金属巻き弦を"treated with lanorin oil"したものを使っていると書かれています。このtreatedとは具体的にどういうことをするかがよくわかりません。ラノリンオイルに漬け置くのかこすりつけるのか?こすりつけるのはやってみましたが、振動時間が短くなるどころか時間は変わらず却って不良振動弦になってしまいました。どうやったらいいのでしょうね。


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