リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バス弦戦国時代(4)

2024年05月11日 14時00分04秒 | 音楽系

ガット信者の方々はもう一種の信仰みたいになっていて思考ストップになっているので別の選択をするのがなかなか困難になっている状況のようです。そういう風な人たちを作ってしまった某演奏家の負の功績は大きいと思います。

このシリーズの(1)の4.で紹介したリンドベルイも昔のオリジナル楽器を修復した楽器での初アルバムでは、バス弦にはガムート社のギンプ弦を使っていたようです。しかし彼はその弦には満足できずに続く何枚目からのアルバムで紹介したような処理をしたバス弦を使っています。

あるいはアントニー・ベイルズがミッモ・ペルーッフォにローデドガット弦を特別に作ってもらったというのも彼は市販の弦では満足できなかったということでしょう。

演奏家活動の最初からガット弦を使っている(本人談)というポール・バイヤーも11コースバロックのバス弦はプレーンガット弦を使うものの、順番に弦長が長くなるオランダ式の楽器を使って成功しています。これもガット系バス弦を同じ弦長で低いレンジまで使ったときの音に満足していない証拠だと言えます。

少し張力が強めの金属巻き弦のバス弦を使っていたナイジェル・ノースは調弦に手間がかかるガット弦には移行せず、カーボン弦、そして今はCD弦を使っているようです。