リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Easy Baroque Pieces (1)

2020年12月03日 14時12分58秒 | 音楽系
ヴァイスやバッハが弾きたくてバロック・リュートを勉強し始めた方は多いのではないかと思います。でも実際弾いてみるととても全く手が届かないという経験をされたことがある方もいらっしゃるでしょう。

物事には順番があります。ヴァイスやバッハを弾くためには音楽的な基礎(特にバロック音楽の基礎)が必要ですし、技術的な基礎トレーニングも必要です。また五線譜を書いたり読んだりするルールを知らないのに通奏低音はできません。

昔ギターでプロギタリストが弾くような難しい曲をカジってそれを人前で弾いている人が沢山いました。50年くらい前です。もうボロボロの演奏でピアノやヴァイオリンの学習者が聴いたらあきれてしまうくらいの低レベルでした。でもこれは本人のせいではなく、当時のギター界には教える人もきちんと教えてなかったし、そもそも教程もしっかりしていなかったからでしょう。でも今日ギターの場合はエチュードなんかも充実していてきちんと順序だてて上達していく道筋がついていますので、すでに他のクラシックの楽器と同じレベルの環境で学べます。

ではバロックリュートではどうかというと、実はいい先生も何人かいらっしゃるし楽器もちゃんとしたのが手に入るので、50年前のギターの世界みたいなことはありません。ただ、教材、曲集が極端に不足しています。特に中級者向けの曲集がとても少ないです。いきなりヴァイスのロンドン写本、まぁ見るなとは言いませんが、少しは易しい曲もあるでしょうけど、大体は難しいでしょう。ブザンソンのセズネ写本もなめてはいけません。いやいや、オレはワタシは難しいことにチャレンジするのが生き甲斐だ!という方もいらっしゃるでしょうけど、まぁそうあせらずに。物事には順番があります。いきなりエベレストには登れません。

1年ほど前にバロック・リュートの教則本を上梓(っておおげさなものではないですが)しましたが、後半に名曲集を付けました。10曲ほど初心者レベルから中級に入るくらいのレベルの曲を集めてみました。バロック・リュートを練習する人はまずこのレベル曲がきちんと弾けないとだめでしょう。で現在その続きになる曲集を編纂中です。レベルとしては中級を松と竹の2つにわけると竹の曲を中心に松の曲もおりまぜる、という感じでしょうか。教本の曲集よりは少しレベルが上になります。