リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

Easy Baroque Pieces (3)

2020年12月07日 16時21分07秒 | 音楽系
次に見てみましたのは、チェコにある A13.268という番号のついた写本です。Scribdから入手したもので直接所在地にあたったわけではないので、チェコのどこにあるかはわかりません。この写本の最初の方に組曲としてまとめられる曲が5曲あります。ニ短調ですが、P.4 Prelude, P.5 Menuet, P.9 Saraband, P.7 Gavotte P.8 Gigueの順でまとめてみました。いずれの曲も、私の教本のレイティングで★と★★の曲が中心です。GavotteとGigueは★★★ですがこれらも★★★を松と竹に分けると、竹の方です。でもこの5曲全体を一つの組曲としてきちんと仕上げるのはそこそこの力が必要でしょう。この可憐な小組曲をきれいな音でセンスのいい華麗な装飾を入れて弾いてみたいものです。きちんと仕上げようとすればするほど奥の深さを感じると思います。

その中のP.8 のGigueです。


たとえば同じニ短調のヴァイス作曲ソナタ第34番のGigueがどうもよたってしまって上手く弾けないという方やフレンチの速い曲がどうもとおっしゃる方は、遮二無二その曲を練習するのではなく、まずこのくらいの曲を流れるように、そして6小節目や終わりから2小節目のトリルを綺麗に決まるように練習した方が近道でしょうし得るところも大きいでしょう。きちんと弾けない曲を遮二無二練習しても弾けるようにはなりません。まずは無理のない曲をきちんと仕上げることが大切です。

私はヴァイスなんかの知られた曲を初心者のうちから弾くなというつもりは毛頭ありません。自分の部屋でいろいろ「つまみ食い」するのはとても楽しいでしょうし、弾けた気分に浸るのもいいでしょう。でもその弾けない曲を、全く弾けてない状態のまま人前で弾いたり、You Tube なんかにアップするのは先人に失礼ですから止めるべきです。別にプロ並みに弾く必要は全くありませんが、先人に尊敬の念を込めて弾くべきです。アマチュアだからどんな弾き方でも許されるという意見には与しません。