ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「第3回ボルドー&ボルドー・シュペリユールワインソムリエコンクール2019」決勝課題

2019-07-08 17:51:23 | ワイン&酒

2019年7月5日に決勝が行われた 「第3回ボルドー&ボルドー・シュペリユールワインソムリエコンクール2019」の結果は以下の通りになりました。
本日は、コンクール決勝の審査内容を紹介します。



優勝 近藤 裕哉(銀座レカン)(中央)
2位 野村 大智 (Grand Hours)(右)
3位 吉田 雄太 (ベージュ アランデュカス東京)(左)





ファイナルに出場できる3名の名前のコールを待つ11名の選手たち。
上位3名がコールされます。

ファイナル通過順位は、1位:近藤選手、2位:野村選手、3位:吉田選手でした。
決勝は、3位の吉田選手から逆順に行なわれました。

課題1
勤務先のホテル、レストランでボルドー&ボルドー・シューペリュールフェアを開催したい。上司やオーナーに向けて具体的プレゼンテーションを、パワーポイントを使って行なってください。(日本語、6分)

吉田選手は、20代、30代女性をターゲットにした、1日だけの2部構成のワインイベントを提案。
1部フィンガーフードと楽しむ立食、2部はフレンチのコースに合わせたボルドーワインを提案。残念ながら途中で時間切れ。



ロゼより色が濃く、赤より薄いボルドー・クレレに注目したい、と言っていたのに、ディナーコースにクレレが入っておらず、多様性を説明しながらもロゼが入っていないのが、私は気になりました。


野村選手の勤務先は、福岡のウエディングハウスということから、まずは福岡の地域性を紹介。
実は福岡市はボルドー市の姉妹都市。ボルドーマラソンが行なわれたり、ワインイベントも街ぐるみで行なわれているそうです。



そんな背景から、福岡の食とワインを組み合わせ、著名人をゲストに呼ぶ夏の大イベントを提案し、ウエディングの集客につなげたいと説明。
パワーポイントのスライドの切り替えが早く、野村選手も非常に早口だったので、私はなかなか追い付けませんでした。




近藤選手が勤務する「レカン」グループは、オーセンティックなフランス料理店「銀座レカン」、カジュアルに楽しめる「ブラッスリー・レカン」、モダンなスタイルの「ロテスリー レカン」も経営しています。そこで、近藤選手は、それぞれの店の特徴に合わせたプランを提案。



ポイントを押さえた卒のないプレゼンテーションは、とてもわかりやすいと思いました。


課題2
赤ワイン1種類のブラインドテイスティング。フルコメントで。(日本語or選択言語、3分)

選択言語でのコメントだと加点されるため、3名とも英語を選択しました。


吉田選手


野村選手


近藤選手


課題3
ブラインドテイスティングした課題2のワインをケースで買いたいというお客様にアドバイスしてください(日本語、2分)

※結果発表後、審査委員長に確認したら、2004年のボルドー赤だそうです。


課題4
ワイン4種をブラインドテイスティングし、フラッシュコメントとともに、ワインそれぞれ合わせた日本料理をコースで提案してください。ワインの順番は変更可能。(英語、4分)

3選手のコメントから、4ワインの特徴はこんな感じです。

1番は、ソーヴィニヨンとセミヨンのバランスの取れた白ワイン
2番は、イキイキとしてフレッシュなソーヴィニヨン主体の白ワイン
3番は、樽熟成させた、厚みのある白ワイン
4番は、発泡ワインのクレマン・ド・ボルドー



それぞれのワインに合う和食メニューを提案するものの、コース仕立てになっていない選手がほとんどでした。

コンクールでは、和食メニューとのペアリング課題が非常に多いので、対策は練りやすかったと思いますが…


課題5
6名のテーブル客から注文を聞き、サービスを行なってください(英語、5分)

途中で2つの質問が入る(英語)
1)ボルドーの2015年と2016年のヴィンテージの違いを教えて?
2)Glyphosate(グリフォサート)とは何?

サービス途中で、一人が「白ワインをバイザグラスで飲みたい」とリクエスト。

サービス実技は、いかに手早く、かつ丁寧にできるか、です。



吉田選手は動きがスムーズですが、丁寧な手順に時間がかかり、白ワインを見せたところでタイムアウト。



野村選手はスピーディーでしたが、雑に見える箇所もいくつかあり、気になりました。



近藤選手はムダのない動きで手際もよく、落ち着いたサービスで、白ワインまで注ぎ終えました。



赤ワインはこちら



2016年ヴィンテージの若いAOCボルドーの赤ワインでした



赤ワインのデカンティングに使用したデカンタは、野村選手が上のタイプ、吉田&近藤選手は平たいタイプ。


途中に挟まった質問のうち、2015年と2016年の違いは全員がそれなりに答えられていましたが、2つ目の「Glyphosate」が聞き取れず、質問を正しく理解できた選手はいませんでした。
Glyphosate(グリフォサート)とは農薬のひとつで、使用した場合、散布した場所のすべての植物を枯らしてしまいます。
その安全性が問われているため、使用禁止にしている国もあり、フランスでも、2019年1月に、グリフォサートが使用されてる商品(商品名「Roundup」)の販売を禁止しました。





「ボルドー&ボルドーシュペリュールと いうテーマのあるコンクールに参加したことで新しい発見につながり、多くのことを学ぶことができた」と、近藤選手。
終了後のインタビューでは、「和食の知識が足りていない」と、自らの今後の課題も語りました。

近藤選手は兵庫県出身の29歳。身長186cm!
大学まで兵庫県で過ごし、新卒で銀座レカンに就職。その後、レカン改修工事の期間は、トゥールダルジャンに4年勤務。2019年4月に銀座レカンに戻ってきました。
コンクールについて考える大きなきっかけとなったのが、2018年4月に行われた「第7回J.S.A.ソムリエ・スカラシップ」とのこと。この大会で近藤選手は優勝しました。



第2回優勝者の塚元晃さん(左から二人目)へ花束を贈呈


左より)
岩田渉さん(審査員)、塚元晃さん(審査員、第2回コンクール優勝)、エミリー・ドゥアンスさん(ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者代表)、吉田選手、近藤選手、野村選手、ジャンバティスト・ルセック フランス公使、森覚さん(審査委員長)、井黒卓さん(審査員、第1回コンクール優勝)





選手の皆さん、審査員の皆さん、お疲れさまでした!

セミファイナル進出者 ※上位3名以外、五十音順
朝倉 達也(メゾンドタカ芦屋)
石原 大輝(Le Monde)
江原 秀俊(株式会社ジオウ)
清水 良晃(Natural Wine Shop&Bar Histoi)
河 りょう(エノテカ株式会社)
藤森 大輝(エノテカ株式会社)
松永 文吾(エノテカ株式会社)
渡邊 航大(ロオジエ)

※今回の出場者から年齢制限が変わり、35歳以下に限定されました


[参考]

「第一回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインソムリエコンクール」優勝者
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/8157754c8c638e5d32aa5593d8486711

「第2回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインソムリエコンクール」優勝者
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/60047306b7c8c2de1533d72eac8d3c7d

第2回「ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール」決勝課題
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/0cb231005ce2805580124c38ac5af962


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