ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「第一回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2017」優勝は井黒卓さん!

2017-12-08 15:29:31 | ワイン&酒
「第一回ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン ソムリエコンクール2017」決勝戦が、在日フランス大使館 大使公邸にて12月7日に行なわれ、優勝者が決定しました!


優勝 井黒 卓さん (銀座 ロオジエ)※写真中央

※左より、森覚 審査委員長、ジャン=バティスト・ルセック 在日フランス大使館 公使、
カトリーヌ・アルビィ氏(ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者組合 プロモーション&コミュニケーション責任者)、石田博 審査員




このコンクールは、手ごろな価格でありながら“ボルドー”ブランドに相応しい高品質の AOC ボルドー、AOC ボルドー・シュペリュールのワインを、日本の若手ソムリエたちに改めて発見してもらい、日本のワインファンへさまざまなボルドーワインを紹介してもらうことを目的に、日本で初めて開催されました。

※コンクールの概要、募集要項は以前の紹介記事をご覧ください → コチラ


日本全国から66名のエントリーがあり、11月17日に行なわれた予選を通過した5名が、12月7日の決勝に進みました。

<ファイナリスト5名>


左より、谷川 雄作(ティエリー・マルクス・ジャパン)、千々和 芳朗(筥崎宮迎賓館)、
井黒 卓(銀座 ロオジエ)、野坂 昭彦(ホテルニューオータニ)、中西 祐介(Clos Y)

決勝会場がフランス大使公邸だったこともあり、セキュリティの関係から一般公開されず、関係者やメディア各社が見守る中でのファイナルとなりました。



課題は5つで、谷川、千々和、井黒、野坂、中西、の順番で一人ずつ審査されました。



課題1:ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインプレゼンテーション(英語/仏語)4分

ボルドー&ボルドー・シュペリュールワインのアンバサダーとしてセミナーを行なってください、という想定で、パワーポイントを用いたプレゼンテーションです。



大学生をターゲットにしたプロモーションを提案した井黒さん



唯一フランス語を選択し、料理とのマリージュについて紹介した中西さん


課題2:1種類の赤ワインをブラインドでテイステンングし、分析的な内容も入れてフルコメント(英語/仏語)3分


谷川さん


千々和さん


野坂さん


課題3:お客さまが選んだ料理「L'Huitre Merguez」と「Agneau de Lait」に合わせて、4種の白ワインから提案(日本語)3分



ユイットル・メルゲーズが単に牡蠣(Huitre)だけでなく、メルゲーズがスパイスを効かせた羊肉のソーセージであることを理解できたかがひとつめのポイント。
アニョー・ド・レは、ポルドー名産の「乳飲み仔羊」。肉にどのように白を提案するか?



そのポイントをすべて押さえ、きっちりペアリングを説明した中西さん


白ワイン4種


課題4:テーブル客のリクエストに従い、黒いグラスに入ったワインをフラッシュでコメントし、そのワインに合わせてヴィーガン向けの料理を提案(日本語)3分


千々和さん

テーブル客は、審査員の佐藤陽一さん(左)、岩田渉さん(右)

黒いグラスですが、5名とも「ロゼ」と判断。
井黒さんは、最初は「白」としていましたが、途中からロゼに変えました。
結果は、ロゼ。

5名のうち、2名が「ヴィーガン」(完全菜食主義者)を理解できておらず、サーモンやツナ、卵といった料理を提案していました。
この点については、審査終了後、審査委員長の森さんの方から、「ワインだけでなく世界の流れもしっかり捉えてほしい。色々なことに興味を持って、広めてほしい」という講評がありました。


課題5:10名の客へのマグナムサイズの赤ワインのサービス(英語/仏語)5分


井黒さん 
デキャンタをリンスしたのは井黒さんだけでした。


千々和さん
ほかの3名もマグナムを2つのデキャンタに分けていました。


谷川さん



他の4名がフラスコ型のデキャンタを選んだ中、野坂さんはダック型を選択。
この容器自体の具合が悪かったようで、注ぐ際に後ろに回ってしまっていました。
野坂さんはプレゼンのパワーポイントの接続トラブルがあり(野坂さんのせいではありません)、デキャンタもですから、不運だったと思います。



中西さんはひとつのデキャンタにすべて注ぎ、それをまた別のデキャンタに移すダブルデキャンタを実施。非常に手際がよく、制限時間内に10名全員にワインを注げたのは中西さんだけでした。


課題のマグナムサイズの赤ワイン


課題5の後半で、ホスト役のカトリーヌさんからボルドー・クレレについての質問が各選手に入りましたが、うまく聞き取れなかったり、時間がなくてあせって対応できなかったり、耳を傾ける余裕がなかったり、という対応が見られました。
観戦しているこちらもよく聞き取れなかったので、サービス実技の制限時間が終了した段階で質問をする方が進行の点で良かったように思います。




右が[課題2]の赤ワイン2005年ヴィンテージ
左が[課題4]の黒いグラスに入れたワイン→ 正体はロゼでした



すべての審査が終わり、誰が優勝するか?が気になるところですが、私は5名のうちの3名の実力が拮抗しているように思いました。
果たして、結果は・・・



優 勝井黒 卓(いぐろ たく)
準優勝:中西 祐介(なかにし ゆうすけ)
第3位:野坂 昭彦(のさか あきひこ)




井黒さんの勤務先のフレンチレストラン(銀座 ロオジエ)では、カジュアルなイメージのボルドー&ボルドー・シュペリュールワインはなかなか飲まれないものの、「今回のコンクールに際して勉強し、ロゼやクレレなど、幅があり、日本のマーケットで可能性がある」とコメントしました。



ゲンを担ぎ、ボルドーカラーのネクタイで臨んだという井黒さん。

その後、優勝者インタビューでは、
「決勝1週間前にプレゼンの案内が来て、現場の仕事ばかりでパワーポイントに慣れていないため困惑した」

コンクール挑戦のキッカケを訊くと、
「自分のブラッシュアップのためだったが、自分にないものを気づかせてくれた」と言い、
「今後は、色々なイベントを通じてボルドー&ボルドー・シュペリュールワインの認知度を高め、地方でも、また若い世代へのアプローチも強化していきたい」と語ってくれました。

ここ1、2年、さまざまなコンクールの優勝、準優勝といった賞を獲得している井黒さんですが、まだ若く、でも、だからこそ、伝統産地ボルドーの基本となるボルドー&ボルドー・シュペリュールワインのアンバサダーとして活躍されることを、大いに期待します!



挑戦された選手全員に拍手です
審査員の皆さんもお疲れさまでした!



このコンクールは来年も開催されるようですので、我こそは!というソムリエの方は、今からしっかり準備しておくといいでしょう。
今回の参加資格は45歳以下でした。
次回もおそらく同様だと思いますが、募集の際に発表される要項を確認してください。



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