【前編】(1972年、1982年)に続き、 ルロワの 1992年、2002年 を紹介します
その前に見ていただきたいのは、1972、1982年のワインと、1992、2002年のワインの違いです。

1972年 1982年

1992年 2002年
キャプシルの色 が上段は“白” 、下段は“赤” 、となっています。
また、拡大しないとわかりませんが、上段の エチケット には“Negociants”の文字が、下段の方には “Domaine”の文字があります。
つまり、1972年と1982年は ネゴシアンのメゾン・ルロワ (Maison Leroy) のワインで、1992年と2002年は ドメーヌ・ルロワ (Domaine Leroy) のワインです。
ルロワ社は、ワインビジネスを始めた1868年以来、良質のワインのみを買い、ルロワ社のセラーで熟成させる超一流のネゴシアンとして名を馳せてきました。
しかし、1980年代に入る頃から、ルロワのラベルを貼るにふさわしいワイン、買いたいワインを見つけるのが困難になってきたのをマダムは感じていました。
その原因と思われたのは、化学肥料や農薬などの影響を受けたワインの味の変化でした。
ちょうどその頃、シャルル・ノエラの畑が売りに出されたため、マダム・ルロワは 1988年 に手に入れることができました。
「購入の際、高島屋と資本提携したため、買い取りがスムーズに行われた」と、マダム・ルロワの右腕であるフレデリック・ロメール氏は言います。

フレデリック・ロメール氏 (2012年11月に来日)
よって、1988年以降のルロワのワインは、ネゴシアンものとドメーヌものの両方が存在します。
自社畑を得たマダムは、化学肥料や農薬などの影響を受けたワインの味の変化を危惧し、
ビオディナミ で栽培していくことを決心しました。
※今回の1992年、2002年の下記ドメーヌワインは、ビオディナミ栽培のブドウでつくられています。
1992年

(左から)
11. Pommard Les Vignots 1992 Domaine Leroy
12. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 1992 Domaine Leroy
13. Vosne-Romanee 1er Cru Les Beaux Monts 1992 Domaine Leroy
14. Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1992 Domaine Leroy
15. Chambertin Grand Cru 1992 Domaine Leroy
「1992年は、ブルゴーニュでは気候が良くなくて、苦労の年。しかし、ドメーヌ・ルロワとしてはビオディナミの成果が出始め、収量は少なかったが、世間に認められる品質のワインができた」と、ロメール氏。
2002年

(右から)
16. Pommard Les Vignots 2002 Domaine Leroy
17. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 2002 Domaine Leroy
18. Vosne-Romanee 1er Cru Les Beaux Monts 2002 Domaine Leroy
19. Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 2002 Domaine Leroy
20. Chambertin Grand Cru 2002 Domaine Leroy
「2002年はブルゴーニュのビッグヴィンテージ。ちょうど10年経ったところだが、やっと開き始めた。果物の存在感がしっかりあり、力にあふれ、バランス感も出ている。素晴らしい未来が長きにわたって約束されている」と、絶賛のロメール氏。

では、1992年と2002年を見てみましょう。

Pommard Les Vignots 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年は味わいに濃さがあり、厚み、安定感があります。少々雑味を感じなくもないですが、濃度があり、余韻も長く、おいしいワインです。飲み頃の入り口に差し掛かってきていると思います。
2002年は、アロマも味わいも若くてチャーミング。でも、果実味はしっかり凝縮されていて、余韻にもこの可愛らしい果実感が続きます。
「ヴィラージュワインですが、1級ワインに劣るものではないことを、1992年が示してくれています。2002年は爽やかなパワーが楽しめます」byロメール氏。

Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 1992 / 2002 Domaine Leroy
(左端は1982年のLes Boudots -色調の経年変化がわかります)
1992年はかなり黒っぽい色調。果実味は若々しく、力強さがゆったり広がります。酸がしっかりあり、ミネラルも感じ、おおらかで力があります。
2002年はスパイシーで若々しくイキイキとした感じが香りと味わいにあります。ハッとする鮮やかで若いフルーツ感を楽しめます。
「1992年はブドーだからこその力強さがある。が、今ちょうど青春期で、うちにこもり、閉じている。2002年もまだこれから」byロメール氏。

Vosne-Romanee 1er Cru Les Beaux Monts 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年は黒系の色調。香りは閉じています。果実味は若々しいですが、キレイかつしっかり凝縮し、タンニン量も豊富。鮮やかでエレガント。
2002年は1992年より色調に明るさがあります。スパイシーなアロマがあり、やわらかなタッチで、1992年よりも開いています。エレガントな味わいが、余韻に向けて繊細に広がります。
「1992年はパワフルだが閉じて内にこもっている。パワフルなワインが好きな人には今でも楽しめるが、これから先にも楽しめる。2002年は新鮮な花を思わせるニュアンスがあり、思わず香りを嗅ぎたくなる」byロメール氏。

Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年のの香りは閉じ気味。若々しくチャーミングな果実味があり、エレガントな酸が軽快でデリケート。ひとつの飲み頃だと思います。
2002年はスパイシーで鮮やかな果実味があり、輪郭がはっきりしています。若々しくてスタイリッシュ。ブリュレのような香ばしさも感じます。シャキッとしていて、リセに通う女学生のよう?(笑)

Chambertin Grand Cru 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年の色調は黒っぽく、アロマも閉じています。フレッシュで鮮やかな若々しい果実味があり、少々スパイシーさも感じます。まだまだこれからですね。
2002年は香りにスパイシーさを感じます。丸い果実味、若いタンニンと酸、しっかりした骨格を持ち、おおらかさを感じるワインですが、これもまだまだです。
「1992年はパワフルで果物の凝縮感があるが、爽やかさもある。ルロワでは、シャンベルタンは村の真ん中によい畑を持っている」byロメール氏。


1992年と2002年では、当然2002年の方が年が若いわけですが、この2つの間では、熟成のレベルよりも、ワインとして濁りのないピュアな感じ、デリケートさ、エレガントさの点において、2002年に向かって進化しているように思いました。
2002年のワインはくちびるに触れただけで心が打ち震え、大事に大事に口に含ませ、ゆっくりと飲み干したくなります。ビオディナミに転換して14年という年月が大きく影響しているように思います。
「1992年と2002年は村の個性が取りやすいと思います。ただ、1992年にも2002年にも、ああ、果物だなぁ、果実味があるなぁと感じられると思います。これこそがマダムの求めるワインで、40年経っても変わることなく、ワインを飲むと果物を食べたような感じがするはずです」と、ロメール氏。
飲み頃の点では、1992年は今は内にこもる時期かもしれませんので、ニュイ・サン・ジョルジュやシャンベルタンなどは、しばらく忘れておく方がいいかもしれません。
2002年は今も軽やかに楽しめますが、もう少し我慢すると、その素晴らしさを堪能できるのではないでしょうか。
さらなるルロワの話は、ルロワ【余話】 へ。

その前に見ていただきたいのは、1972、1982年のワインと、1992、2002年のワインの違いです。


1972年 1982年


1992年 2002年
キャプシルの色 が上段は“白” 、下段は“赤” 、となっています。
また、拡大しないとわかりませんが、上段の エチケット には“Negociants”の文字が、下段の方には “Domaine”の文字があります。
つまり、1972年と1982年は ネゴシアンのメゾン・ルロワ (Maison Leroy) のワインで、1992年と2002年は ドメーヌ・ルロワ (Domaine Leroy) のワインです。
ルロワ社は、ワインビジネスを始めた1868年以来、良質のワインのみを買い、ルロワ社のセラーで熟成させる超一流のネゴシアンとして名を馳せてきました。
しかし、1980年代に入る頃から、ルロワのラベルを貼るにふさわしいワイン、買いたいワインを見つけるのが困難になってきたのをマダムは感じていました。
その原因と思われたのは、化学肥料や農薬などの影響を受けたワインの味の変化でした。
ちょうどその頃、シャルル・ノエラの畑が売りに出されたため、マダム・ルロワは 1988年 に手に入れることができました。
「購入の際、高島屋と資本提携したため、買い取りがスムーズに行われた」と、マダム・ルロワの右腕であるフレデリック・ロメール氏は言います。

フレデリック・ロメール氏 (2012年11月に来日)
よって、1988年以降のルロワのワインは、ネゴシアンものとドメーヌものの両方が存在します。
自社畑を得たマダムは、化学肥料や農薬などの影響を受けたワインの味の変化を危惧し、
ビオディナミ で栽培していくことを決心しました。
※今回の1992年、2002年の下記ドメーヌワインは、ビオディナミ栽培のブドウでつくられています。
1992年

(左から)
11. Pommard Les Vignots 1992 Domaine Leroy
12. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 1992 Domaine Leroy
13. Vosne-Romanee 1er Cru Les Beaux Monts 1992 Domaine Leroy
14. Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1992 Domaine Leroy
15. Chambertin Grand Cru 1992 Domaine Leroy
「1992年は、ブルゴーニュでは気候が良くなくて、苦労の年。しかし、ドメーヌ・ルロワとしてはビオディナミの成果が出始め、収量は少なかったが、世間に認められる品質のワインができた」と、ロメール氏。
2002年

(右から)
16. Pommard Les Vignots 2002 Domaine Leroy
17. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 2002 Domaine Leroy
18. Vosne-Romanee 1er Cru Les Beaux Monts 2002 Domaine Leroy
19. Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 2002 Domaine Leroy
20. Chambertin Grand Cru 2002 Domaine Leroy
「2002年はブルゴーニュのビッグヴィンテージ。ちょうど10年経ったところだが、やっと開き始めた。果物の存在感がしっかりあり、力にあふれ、バランス感も出ている。素晴らしい未来が長きにわたって約束されている」と、絶賛のロメール氏。

では、1992年と2002年を見てみましょう。

Pommard Les Vignots 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年は味わいに濃さがあり、厚み、安定感があります。少々雑味を感じなくもないですが、濃度があり、余韻も長く、おいしいワインです。飲み頃の入り口に差し掛かってきていると思います。
2002年は、アロマも味わいも若くてチャーミング。でも、果実味はしっかり凝縮されていて、余韻にもこの可愛らしい果実感が続きます。
「ヴィラージュワインですが、1級ワインに劣るものではないことを、1992年が示してくれています。2002年は爽やかなパワーが楽しめます」byロメール氏。

Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 1992 / 2002 Domaine Leroy
(左端は1982年のLes Boudots -色調の経年変化がわかります)
1992年はかなり黒っぽい色調。果実味は若々しく、力強さがゆったり広がります。酸がしっかりあり、ミネラルも感じ、おおらかで力があります。
2002年はスパイシーで若々しくイキイキとした感じが香りと味わいにあります。ハッとする鮮やかで若いフルーツ感を楽しめます。
「1992年はブドーだからこその力強さがある。が、今ちょうど青春期で、うちにこもり、閉じている。2002年もまだこれから」byロメール氏。

Vosne-Romanee 1er Cru Les Beaux Monts 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年は黒系の色調。香りは閉じています。果実味は若々しいですが、キレイかつしっかり凝縮し、タンニン量も豊富。鮮やかでエレガント。
2002年は1992年より色調に明るさがあります。スパイシーなアロマがあり、やわらかなタッチで、1992年よりも開いています。エレガントな味わいが、余韻に向けて繊細に広がります。
「1992年はパワフルだが閉じて内にこもっている。パワフルなワインが好きな人には今でも楽しめるが、これから先にも楽しめる。2002年は新鮮な花を思わせるニュアンスがあり、思わず香りを嗅ぎたくなる」byロメール氏。

Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年のの香りは閉じ気味。若々しくチャーミングな果実味があり、エレガントな酸が軽快でデリケート。ひとつの飲み頃だと思います。
2002年はスパイシーで鮮やかな果実味があり、輪郭がはっきりしています。若々しくてスタイリッシュ。ブリュレのような香ばしさも感じます。シャキッとしていて、リセに通う女学生のよう?(笑)

Chambertin Grand Cru 1992 / 2002 Domaine Leroy
1992年の色調は黒っぽく、アロマも閉じています。フレッシュで鮮やかな若々しい果実味があり、少々スパイシーさも感じます。まだまだこれからですね。
2002年は香りにスパイシーさを感じます。丸い果実味、若いタンニンと酸、しっかりした骨格を持ち、おおらかさを感じるワインですが、これもまだまだです。
「1992年はパワフルで果物の凝縮感があるが、爽やかさもある。ルロワでは、シャンベルタンは村の真ん中によい畑を持っている」byロメール氏。


1992年と2002年では、当然2002年の方が年が若いわけですが、この2つの間では、熟成のレベルよりも、ワインとして濁りのないピュアな感じ、デリケートさ、エレガントさの点において、2002年に向かって進化しているように思いました。
2002年のワインはくちびるに触れただけで心が打ち震え、大事に大事に口に含ませ、ゆっくりと飲み干したくなります。ビオディナミに転換して14年という年月が大きく影響しているように思います。
「1992年と2002年は村の個性が取りやすいと思います。ただ、1992年にも2002年にも、ああ、果物だなぁ、果実味があるなぁと感じられると思います。これこそがマダムの求めるワインで、40年経っても変わることなく、ワインを飲むと果物を食べたような感じがするはずです」と、ロメール氏。
飲み頃の点では、1992年は今は内にこもる時期かもしれませんので、ニュイ・サン・ジョルジュやシャンベルタンなどは、しばらく忘れておく方がいいかもしれません。
2002年は今も軽やかに楽しめますが、もう少し我慢すると、その素晴らしさを堪能できるのではないでしょうか。
さらなるルロワの話は、ルロワ【余話】 へ。

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