2012年の大晦日に書いた記事 「今年のベストワインはコレ」 に登場したのは、仏ブルゴーニュの “ルロワ” でした。
ルロワをその年のベストワインとするには、通常なら安直なのですが、それでもやはりコレ、という内容だったのです。
それは、1972年、1982年、1992年、2002年の40年にわたる4つのヴィンテージの5つの村の20本を 垂直&水平に飲む、というものでした。





現在のルロワ社を率いるのが、1933年生まれの マダム・ラルー・ビーズ・ルロワ。
マダムは1955年4月2日(23歳)からルロワ社のワインビジネスに加わっています。
1868年、フランソワ・ルロワがブルゴーニュのオーセイ・デュレスにメゾン・ルロワを創設して以来、ルロワのワインビジネスは子孫へと引き継がれていきます。
1942年、マダムの父であるアンリ・ルロワが、あのドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の畑の半分を購入し、ルロワはDRCの共同経営者となりますが、1992年 1月15日にDRCの販売権を手放しています。
日本へは、1972年に 高島屋 によって初めて輸入されました。
つまり、 “2012年”は“日本登場40周年”という記念すべき年 でした。
これまでの歩みを振り返ってみると、“xxx2年” というのは、ルロワ社にとっても、マダムにとっても、節目の年になっているのがわかります。
そこで、2012年秋に、ルロワ社より、マダムの右腕であるフレデリック・ロメール氏を迎え、1972年から10年ごと、40年の垂直&5つの村の水平 という、とんでもなくゴージャスなテイスティングが行われました

1972年

(左から)
1. Pommard 1er Cru Epenot 1972 Maison Leroy
2. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Chaboeufs 1972 Maison Leroy
3. Echezeaux Grand Cru 1972 Maison Leroy
4. Chanbolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1972 Maison Leroy
5. Chambertin Grand Cru 1972 Maison Leroy
ロメール氏によると、
「1972年は豊かな収穫の良い年。開くのに時間がかかるので、頂点で飲んでほしい。今日の5つは今もそれぞれの土壌の個性を発揮しており、土壌の神秘性を感じさせる」
1982年

(右から)
6. Pommard 1er Cru Epenot 1982 Maison Leroy
7. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 1982 Maison Leroy
8. Echezeaux Grand Cru 1982 Maison Leroy
9. Chanbolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1982 Maison Leroy
10. Chambertin Grand Cru 1982 Maison Leroy
ロメール氏の解説では、
「1982年も豊かな収穫の年。成長するのに時間がかかっているが、そろそろ飲み頃になりつつある。ワインが我々を喜ばせる番。比類なき元気さで語りかけてくれる」

ではまず、1972年 VS 1982年 で紹介しましょう。

Pommard 1er Cru Epenot 1972 / 1982
40年を経た1972年はさすがに色調が薄くなっていますが、味は全然薄くありません。熟成のブーケが匂いたち、よく開いてうまみたっぷり。しなやかで官能的で、長い余韻にうっとりしました。
1982年の外観は黒っぽさがあります。香りは閉じ気味ですが、黒っぽいベリーの若々しい香りがあります。味わいは力強く男性的で、酸がしっかり。時間とともに徐々に開き、うま味が出てくるので、これは時間をかけてゆっくり飲むべきワインでしょう。
「ポマールには、村の教会にある鐘楼のような硬さがある。1972年は典型的なポマールの特徴があり、最初は閉じているが、どんどん花開く。骨格がしっかりしているので、まだ少し置いておける」byロメール氏。

Nuit-Saint-Georges 1er Cru Chaboeufs 1972 / Les Boudots 1982
畑は違いますが、ニュイ・サン・ジョルジュの1級畑を10年間隔で比較。
1972年の色は薄く、香りは繊細ですが、うまみがいっぱい詰まっています。酸がしっかりしているので、まだこれから先もいい変化が期待できそうな気がします。
1982年の色調は淡く明るめですが、果実味が非常に鮮やか!唾液腺を刺激する酸がボディに厚みを増します。ふっくらとした味わいが口の中に広がり、長い余韻があります。
「ニュイ・サン・ジョルジュには、ミネラルや鉱物の特徴がある。1972年はまだ力がいっぱいあり、しっかりした表現力を持ちながらこれから花開くポテンシャルを持っている。1982年は、ブドーならではのミネラル感が出ている。大変パワフルで、内にこもっているので、まだまだ年月が必要」byロメール氏。

Echezeaux Grand Cru 1972 / 1982
1972年はやはり色が淡くなっています。が、口に入れた途端、うま味がじわ~っと広がります。やわらかくぷるんとしたフルーツのニュアンスがあり、ピュア。余韻の長さも秀逸。うまい!
1982年は1972年よりも色が濃く、黒っぽく、果実の香りに少々スパイスも混じります。果実味の甘さがあり、なめらかですが、骨格は太めで安定感があります。
「ヴォーヌ・ロマネ村、エシェゾーの特徴は、花の感じとパワフルさ。1972年は花開いている。1982年は凛とし、まだ少々閉じている状態で、土地の個性を表現しきれていない」byロメール氏。

Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1972 / 1982
1972年の熟成感ある香りにうっとり。デリケートな酸、果実味、タンニンですが、芯がしっかりしています。酸にフレッシュさがあります。このワインの余韻も長いです。
1982年の香りは、まだまだ閉じています。やわらかなアタックの果実味ですが、若さにあふれていますので、もうしばらくの辛抱が必要ですね。
「シャンボールには、丸くシルキーな感じがある。1972年はシルキーで爽やかで、しかも肉厚だが、バランスが取れている。1982年はまだまだミルクの匂いがする赤ちゃん」byロメール氏。

Chambertin Grand Cru 1972 / 1982
同じ1972年の中でこれが最も色が濃厚で、黒っぽさがあります。香りは閉じ気味ですが、開いてくると濃密で官能的です。果実味が鮮やかでパワフルで、ブレのない、しっかりとした味わいです。
1982年は1972年よりも色が濃くなります。意外にも、タッチがデリケートで、軽快でしなやかな可愛らしさがありました。まだひっそりと閉じている状態ですので、かなりの辛抱が必要ですね。
「シャンベルタンはパワフルで、土の匂いがするが、デリケートなフィネスがある。1972年は土の香りがあり、グリオットベリーのアロマがある。パワフルでエレガント。パワーのシャンベルタンの典型。1982年はまだ若者」byロメール氏。


1972年と1982年を飲み比べてわかったのは、
1972年は良い状態で飲み頃になっているが、1982年はまだまだこれから、 ということ。
ロメール氏も「1982年には果物の存在があり、皆、力強さを持っている。1972年よりも凝縮度が強く、閉じている」と、言っているので、今すぐ~近いうちに楽しむなら1972年をチョイスするのが良さそうです。
1982年を持っている方は、しばらくの我慢!です
1992年、2002年 は 【後編】 へ。

ルロワをその年のベストワインとするには、通常なら安直なのですが、それでもやはりコレ、という内容だったのです。
それは、1972年、1982年、1992年、2002年の40年にわたる4つのヴィンテージの5つの村の20本を 垂直&水平に飲む、というものでした。





現在のルロワ社を率いるのが、1933年生まれの マダム・ラルー・ビーズ・ルロワ。
マダムは1955年4月2日(23歳)からルロワ社のワインビジネスに加わっています。
1868年、フランソワ・ルロワがブルゴーニュのオーセイ・デュレスにメゾン・ルロワを創設して以来、ルロワのワインビジネスは子孫へと引き継がれていきます。
1942年、マダムの父であるアンリ・ルロワが、あのドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の畑の半分を購入し、ルロワはDRCの共同経営者となりますが、1992年 1月15日にDRCの販売権を手放しています。
日本へは、1972年に 高島屋 によって初めて輸入されました。
つまり、 “2012年”は“日本登場40周年”という記念すべき年 でした。
これまでの歩みを振り返ってみると、“xxx2年” というのは、ルロワ社にとっても、マダムにとっても、節目の年になっているのがわかります。
そこで、2012年秋に、ルロワ社より、マダムの右腕であるフレデリック・ロメール氏を迎え、1972年から10年ごと、40年の垂直&5つの村の水平 という、とんでもなくゴージャスなテイスティングが行われました


1972年

(左から)
1. Pommard 1er Cru Epenot 1972 Maison Leroy
2. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Chaboeufs 1972 Maison Leroy
3. Echezeaux Grand Cru 1972 Maison Leroy
4. Chanbolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1972 Maison Leroy
5. Chambertin Grand Cru 1972 Maison Leroy
ロメール氏によると、
「1972年は豊かな収穫の良い年。開くのに時間がかかるので、頂点で飲んでほしい。今日の5つは今もそれぞれの土壌の個性を発揮しており、土壌の神秘性を感じさせる」
1982年

(右から)
6. Pommard 1er Cru Epenot 1982 Maison Leroy
7. Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Boudots 1982 Maison Leroy
8. Echezeaux Grand Cru 1982 Maison Leroy
9. Chanbolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1982 Maison Leroy
10. Chambertin Grand Cru 1982 Maison Leroy
ロメール氏の解説では、
「1982年も豊かな収穫の年。成長するのに時間がかかっているが、そろそろ飲み頃になりつつある。ワインが我々を喜ばせる番。比類なき元気さで語りかけてくれる」

ではまず、1972年 VS 1982年 で紹介しましょう。

Pommard 1er Cru Epenot 1972 / 1982
40年を経た1972年はさすがに色調が薄くなっていますが、味は全然薄くありません。熟成のブーケが匂いたち、よく開いてうまみたっぷり。しなやかで官能的で、長い余韻にうっとりしました。
1982年の外観は黒っぽさがあります。香りは閉じ気味ですが、黒っぽいベリーの若々しい香りがあります。味わいは力強く男性的で、酸がしっかり。時間とともに徐々に開き、うま味が出てくるので、これは時間をかけてゆっくり飲むべきワインでしょう。
「ポマールには、村の教会にある鐘楼のような硬さがある。1972年は典型的なポマールの特徴があり、最初は閉じているが、どんどん花開く。骨格がしっかりしているので、まだ少し置いておける」byロメール氏。

Nuit-Saint-Georges 1er Cru Chaboeufs 1972 / Les Boudots 1982
畑は違いますが、ニュイ・サン・ジョルジュの1級畑を10年間隔で比較。
1972年の色は薄く、香りは繊細ですが、うまみがいっぱい詰まっています。酸がしっかりしているので、まだこれから先もいい変化が期待できそうな気がします。
1982年の色調は淡く明るめですが、果実味が非常に鮮やか!唾液腺を刺激する酸がボディに厚みを増します。ふっくらとした味わいが口の中に広がり、長い余韻があります。
「ニュイ・サン・ジョルジュには、ミネラルや鉱物の特徴がある。1972年はまだ力がいっぱいあり、しっかりした表現力を持ちながらこれから花開くポテンシャルを持っている。1982年は、ブドーならではのミネラル感が出ている。大変パワフルで、内にこもっているので、まだまだ年月が必要」byロメール氏。

Echezeaux Grand Cru 1972 / 1982
1972年はやはり色が淡くなっています。が、口に入れた途端、うま味がじわ~っと広がります。やわらかくぷるんとしたフルーツのニュアンスがあり、ピュア。余韻の長さも秀逸。うまい!
1982年は1972年よりも色が濃く、黒っぽく、果実の香りに少々スパイスも混じります。果実味の甘さがあり、なめらかですが、骨格は太めで安定感があります。
「ヴォーヌ・ロマネ村、エシェゾーの特徴は、花の感じとパワフルさ。1972年は花開いている。1982年は凛とし、まだ少々閉じている状態で、土地の個性を表現しきれていない」byロメール氏。

Chambolle-Musigny 1er Cru Les Charmes 1972 / 1982
1972年の熟成感ある香りにうっとり。デリケートな酸、果実味、タンニンですが、芯がしっかりしています。酸にフレッシュさがあります。このワインの余韻も長いです。
1982年の香りは、まだまだ閉じています。やわらかなアタックの果実味ですが、若さにあふれていますので、もうしばらくの辛抱が必要ですね。
「シャンボールには、丸くシルキーな感じがある。1972年はシルキーで爽やかで、しかも肉厚だが、バランスが取れている。1982年はまだまだミルクの匂いがする赤ちゃん」byロメール氏。

Chambertin Grand Cru 1972 / 1982
同じ1972年の中でこれが最も色が濃厚で、黒っぽさがあります。香りは閉じ気味ですが、開いてくると濃密で官能的です。果実味が鮮やかでパワフルで、ブレのない、しっかりとした味わいです。
1982年は1972年よりも色が濃くなります。意外にも、タッチがデリケートで、軽快でしなやかな可愛らしさがありました。まだひっそりと閉じている状態ですので、かなりの辛抱が必要ですね。
「シャンベルタンはパワフルで、土の匂いがするが、デリケートなフィネスがある。1972年は土の香りがあり、グリオットベリーのアロマがある。パワフルでエレガント。パワーのシャンベルタンの典型。1982年はまだ若者」byロメール氏。


1972年と1982年を飲み比べてわかったのは、
1972年は良い状態で飲み頃になっているが、1982年はまだまだこれから、 ということ。
ロメール氏も「1982年には果物の存在があり、皆、力強さを持っている。1972年よりも凝縮度が強く、閉じている」と、言っているので、今すぐ~近いうちに楽しむなら1972年をチョイスするのが良さそうです。
1982年を持っている方は、しばらくの我慢!です

1992年、2002年 は 【後編】 へ。

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます