ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

極上2001年ワインを探るブラインドの結果は?

2014-10-27 15:29:20 | ワイン&酒
なかなかアップできないでいましたが、今年の3月に都内で行なわれた面白いブラインドテイスティングを紹介します。

それは、ボルドーのトップクラスのワイン10本をブラインドでテイスティング し、得点、順位を付けるもの。
ワインのうち1本だけが明かされていましたが、残り9本の情報はありません。

その1本は、以前に紹介 した “Girolate ”(ジロラット)

「ジロラット」 は、“Chateau Mont-Perat”シャトー・モンペラで知られるデスパーニュ家のトップワインで、メルロ100%。アペラシオンは仏ボルドーAOCアントゥル・ドゥ・メール

2001年がファーストヴィンテージになりますので、この日にテイスティングしたジロラットは、最初につくられたものというわけ。

ブラインドの10本は 2001年ヴィンテージで揃えられ、順々に出されました。

その結果、私が最高点(94点)を付けたワインは2本、93点が1本、92点が3本…と続き、ジロラットは93点。

94点の2本は、Ch. Palmer 2001とCh. Pavie 2001で、その他は下記のようになりました。


左端が「ジラロット 2001」

1位 Ch. Palmer 2001
1位 Ch. Pavie 2001
3位 Girolate 2001
4位 Ch. L’Evangile 2001
4位 Ch. Rauzan Segla 2001
4位 Ch. Ducru Beaucaillou 2001
7位 Opus One 2001(USA, California, Napa Valley)
8位 Ch. Figeac 2001
8位 Ch. Leoville Las Cases 2001
10位 Ch. Lynch Bages 2001

3位とした「ジロラット」は、色が濃く、凝縮感、丸み、タンニンのボリュームを感じました。
みっちり緻密で、ビターチョコを思わせるニュアンスがあり、アルコールがやや高いかも?と思いましたが、非常にしなやかです。熟した酸のニュアンスもありました。



7位のオーパス・ワンだけは、非常にリッチでモダンで、他とは別物に感じました。

1位のパルメは、色はそれほど濃くありません。成熟した風味、かぐわしいブーケが表れていて、フィネスを感じ、王道的ボルドーだと思いました。

同率1位のパヴィは、こちらも明るい色。キノコを思わせるブーケが出ています。キメ細かく緻密なボディに、酸がよく乗った、成熟したボルドーです。余韻も長かったです。

下位のワインは、ボディが痩せていたり、雑味があったり、といったことでマイナスしました。
それでも、10位のワインには88点を付けています。



このブラインドは、デスパーニュ家の当主 Thibault Despagne (チボー・デスパーニュ)氏の発案によるもので、もちろん彼もその場に同席しました。


Thibault Despagne

かつて、「モンペラ2001年」が、ブラインドテイスティングでメドック1級のシャトーに勝ったことを受け、今度は「ジロラット」で試した、というわけですね。

私は「ジロラット」を3位としましたが、10名の参加者のうち、1位をつけた人が1名、2位を付けた人が4名いました。

トップクラスのシャトーに囲まれた中、AOCアントゥル・ドゥ・メールのワインである「ジロラット」がブラインドでこれだけ上位に来るとは、やはり実力があるからでしょう。



この日は、「ジロラット」の過去のヴィンテージのすべて も試飲しました。
こちらはブラインドではなく、オープンで。


「ジロラット」 2001年から2010年までの8本
※2004年と2007年はつくられていません

同じワインをヴィンテージの垂直で飲むと、その年の特徴がよくわかります。
たとえば、寒くて湿度の高かった2002年は収量が少なくなりました。酸度が高く、まだまだ若い印象があります。猛暑だった2003年は、まろやかでなめらかですし、2005年は抜群のバランス!2006年はフィネスのある少し官能的な美人。2008年はタンニンが緻密で濃密で、若々しい酸、しなやかさがあります。2009年はガッチリした印象で、まだひとつにまとまっていない状態でしょうか。2010年は果実味の凝縮感があり、ベルベットのようにスムース。

と、いう感想でしたが、あれから半年が過ぎたので、またそれぞれのワインも変化してきていることでしょう。

「アントゥル・ドゥ・メールでいいワインをつくろう!と思い、2001年にジロラットをつくった。自分が素晴らしいワインメーカーとは思わないけれど、AOCもそれほど有名じゃないけれど、他とくらべて悪くない、と思っている」と、チボーさん。

昨年の秋にチボーさんと会う前は、ワインにも人物にもアグレッシブなイメージがありました。
しかし、前回もそうでしたが、一緒に彼のワインを飲むと、実直さがわかります。
収穫が少なく生産本数が少ない年でもワインの価格を上げない、という話も印象的でした。

「○○で取り上げられたモンペラ…」という紹介のされ方が多かったため、ワインそのものに向き合わずに飲んできた人も多いと思いますが、今こそ、改めてモンペラを飲んでみると、新たな発見があるかもしれません。

「ジロラット」は生産本数が少ないので、なかなか入手しにくいとは思いますが、チャンスがあれば、「モンペラ」と合わせて飲んでみてください。

「モンペラ2011年」の価格は、およそ2000~2500円前後。
「ジロラット」は、ヴィンテージにもよりますが、およそ10000~15000円前後で買えると思います。



秋も深まり、こっくりとした味わいの赤ワインがおいしい季節 になってきました。
季節の食材や、手をかけた料理とともに、上質なワインをゆっくり味わいたいですね



「ジロラット」には、2009年からつくっている白ワイン “Girolate Blanc” もあります。

※ラインナップの紹介は、前回の記事を参照してください → コチラ

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