ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

スイスワインと極上和食のマリアージュ

2014-02-14 16:01:10 | ワイン&酒
日本とスイスの国交樹立150周年を記念したイベント「SWISS DAYS」 に合わせて来日した スイスワイン生産者のワインを和食とともに味わう 機会が先日ありました。

以前、スイスワインについて書いた 際に、デリケートな味わいのシャスラ(白ワイン)を繊細な和食とじっくり合わせてみたい、と思いましたが、それが実現できるいい機会です。



今回は二人の生産者が来日しており、シャスラだけではなく、別の品種の白や、ロゼ、赤も紹介してくれました。



まずは、何回か飲んでいる 「Chateau Le Rosey」(シャトー・ル・ロゼイ)から。


Mr. Benoit Riboulet / Chateau Le Rosey
日本は2回目というブノワさんは、英語も話すフレンドリーなナイスガイ。



左)Cote Nil 2012  右)Nizere 2012  Chateau Le Rosey
レマン湖の北西ラ・コート地区ヴァンゼルのワインです

“コテ・ニル”はシャスラのワインで、“ニル”はエジプトのナイル川のこと。
シャスラは、エジプトで呼ばれていた名前だったそうです。
アタックは軽やかで、爽やかな辛口と思いきや、意外と骨格がしっかりしています。



“ニゼーレ”はガメイから白ワイン的につくられたロゼ。
淡いカラーが素敵で、タッチもやさしく、これはあらゆる料理に合わせられそう。


このロゼワインの格付けはAOC La Cote Vinzel Grand Cru

Chateau Le Rosey については過去の記事を参照してください → コチラ




Mr. Bernard Cave / Bernard Cave

ふくよかな体型とにこやかな笑顔のベルナールさんは自身のワイナリー 「Bernard Cave」 の醸造家であるだけでなく、他のワイン生産者の醸造アドバイザーも務めています。


Ollon 2012 Bernard Cave

“オロン”は、レマン湖南東の Chablais地域 Coteau de Verschiez のシャスラからつくれらた白ワインで、ワイン名はオロンというスキーのリゾート地の名前から付けられています。
繊細なタッチの、透明感のある軽やかなワインで、キレイな味わいです。
ベルナールさんは、アスパラガスによく合う、と言っていました。

この日はもうひとつベルナール・カヴェのシャスラがありました(アップ画像なし)。

Clos du Crosex Grille 2012 Bernard Cave
こちらのシャスラは樽を使っており、ボリュームのあるスタイル。
これもアスパラガスに合うそうです。
前菜に出された「蕗にも合うね」と、ベルナールさん。


前菜) いとより鯛梅煮と蕗おひたし

合わせてみると、蕗とシャスラはたしかにいい感じです。
シャスラは、火を入れた野菜料理との相性がいいと思いました。



ほかには、ベルナールさんのビジネスパートナー 「Domaine de la Pierre Latine」 の白ワイン2種がありました(アップ画像なし)。
このドメーヌ・ド・ラ・ピエール・ラティネもシャブレー地区です。

L'Yvorne Chasselas 2012 Domaine de la Pierre Latine
Pinot Gris 2011 Domaine de la Pierre Latine

“リヴォルヌ”は、石灰岩土壌(スポンジみたいに柔らかい土壌)のシャスラからつくられています。辛口でしっかりした骨格があり、白味噌仕立てのお椀によく合いました。

“ピノ・グリ”は、バリック80%、700リットルのアンフォラ20%。
色が濃く、味わいもリッチで、樽のニュアンスを感じます。アルコール13.5%。
ベルナールさんによると、よりガストロノミーに合うワインだそうです。


白ワインは2種類のお造りに合わせました。


お造り) かわはぎ                  氷見鰤

白身のかわはぎは、繊細なシャスラやロゼと。
ブリは、樽を使ったピノ・グリが少々生臭く感じましたが、キレイなスタイルで骨格しっかりタイプのコテ・ニルにもよく合いました。



椀) 丸大根 白味噌

白味噌とリヴォルヌのマリアージュは超オススメ。

今回は4つのシャスラがありましたが、土壌の違いによる味わいの違いがあることを感じました。



天婦羅) ホワイトアスパラ 海老煎餅

てんぷらも、白かロゼで。
食材によりますが、今回は樽のニュアンスがないタイプの方がより合いました。

Domaine de la Pierre Latine については過去の記事を参照ください → コチラ



さて、いよいよ赤ワインに移ります。



Pinot Noir 2011 Chateau Le Rosey
Gamaret 2012 Bernard Cave
Rouge de Rouge 2012 Domaine de la Pierre Latine


スイスのブドウ生産量を見ると、白品種のシャスラが2631haとダントツです。
※全生産量3882ha ―67.77%

赤は、ガメイ522ha、ピノ・ノワール501ha、ギャマレ37ha、ギャラノワール34ha。
ガメイとピノ・ノワールが赤のツートップですが、ギャマレGamaret、ギャラノワールGaranoirのワインもけっこうつくられているようで、名前を目にします。
ギャマレとガラノワールは、どちらもガメイとライヘンシュタイナーとの交配品種。

シャトー・ル・ロゼー の“ピノ・ノワール”は、意外にも濃さのあるワインで、やわらかで、しなやかさがあり、うま味の乗った味わいです。ピノならではの上品さ、軽やかさもありました。

ベルナール・カヴェ の“ギャマレ”は、色は濃いものの、口にすると繊細でキメ細かい赤ワインです。スパイシーさもあり、非常に興味深く、少し熟成させてから飲んでみたいと思いました。

ドメーヌ・ド・ラ・ピエール・ラティネ の“ルージュ・ド・ルージュ”は、ギャマレ主体のブレンド。野性味を帯びたタンニンが特徴的で、複雑味がありますが、これもまだまだ若い状態でした。
ギャマレは少し寝かせると面白味が出てきそうです。



焼物) 鰆 味噌柚庵  芹と春子椎茸白和え

鰆はピノ・ノワールが好相性。
芹…の方は、赤よりもロゼがよく合いました。



主菜) 大山鶏 鍬焼き

身のしっかりした鶏のもも肉+甘辛いタレは、うま味の乗ったピノ・ノワールがやっぱり合います。
ギャマレを選ぶなら、少し熟成させたものを。

和食の肉料理は、あまり強い味のものや脂ギッシュなものは少ないと思います。
スイスの赤ワインは、自分を強く主張せず、料理に寄り添うタイプが多い ので、和食の肉料理とはお互いを引き立てるような関係になっているように感じました。

それにしても、赤ワインは、ずいぶん前に飲んだ時から格段にレベルがアップして、おいしくなりました!


スイスワインのほとんどはスイス国内で消費され、輸出されるのはわずか1~2%ということもあり、日本市場でもあまりお目にかかれず、飲む機会も少なかった、というのが、これまでの状況でした。

ですが、昨年くらいから、スイスのシャスラに新たな動きが見え始めました。

加えて、2014年はスイスと日本の国交樹立150周年という記念の年ということもあり、今年はスイスワインに注目が集まるはず。
ソチオリンピックでのスイス勢の活躍も、追い風になっているでしょうか。

スイスワインの静かなブレイクがあるかも?



★ 輸入元: ヴァン・レマン株式会社

★ 料理: 八雲茶寮(東京都目黒区八雲)




コメント
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