ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

隠れていたブルゴーニュワインが満を持して登場!【前編】

2013-04-11 11:33:17 | ワイン&酒

Denis Marchand / Domaine Marchand Freres (仏、ブルゴーニュ)

先週、日本に着いた直後のドゥニ・マルシャンさんをキャッチ!
彼は、 ジュヴイ・シャンベルタン に本拠を置く「ドメーヌ・マルシャン・フレール」 の7代目

7代目?それにしては、名前を聞かないのだけど?

マルシャンでは元々生産量がそれほど多くなく、これまでの顧客に販売するだけで売り切れていたため、外に回す余裕がなかったとのこと。
それでも、約10か国ほどに輸出していましたが、日本市場は未開拓でした。

「日本のことは文化もワイン市場も知らないが、いい付き合いができると思った。料理との相性の点でも、日本はブルゴーニュのワインに合うはず。日本の市場で自分のワインがどう受け止められるか見てみたい」とドゥニさん。

日本へは、2010年ヴィンテージが昨年(2012年)初登場しました。
そして、今回のドゥニさんの初来日で、いよいよ本格的にアピールしていくそうです。



父の引退により、ドゥニさんが突然ドメーヌを引き継いだのが1999年のこと。
ドゥニさんには兄がいますが、兄は自分でネゴシアンを立ち上げたため(ジャン・フィリップ・マルシャン)、ドゥニさんがドメーヌを継ぐことになりました。

「それまでは農薬などの薬剤の研究機関で働いていて、日本の企業もよく知っている。でも、ちょうど会社勤めにも飽きてきたところだったし、兄も別の仕事を初めていたので、自分が家業を引き継いだ。醸造学校などに行ったことはないが、以前から父のことを手伝っていたこと、元々ワインを飲むことが好きだったこともあり、父に教えてもらいながら仕事を覚えていった」とドゥニさん。

マルシャンの所有畑は8ha、うち90%が赤ワインのピノ・ノワール
白は、元々植えていたアリゴテに加え、シャルドネ、ピノ・グリ、ピノ・ブランも少々植えて実験をしています。

マルシャンがつくるワインのアペラシオンは 約20 あります。
現在の本拠地ジュヴレイ・シャンベルタン(ヴィラージュ、1級、特級)の他、1983年まで本拠地としていたモレ・サン・ドゥニ(ヴィラージュ、1級、特級)や、シャンボール・ミュジニー(ヴィラージュ、1級)の他、珍しいモレ・サン・ドゥニの白ワイン(Morey Saint Denis Blanc "Le Tres Girard")などもあります。

グラン・クリュは、Clos de la Roche、Charmes-Chambertin、Griotte-Chambertin の3つ。

グリオット・シャンベルタンは、生産者にとって喉から手が出るほど欲しい魅力的な畑です。しかし、ジュヴレイ最少(3haに満たない)のグラン・クリュ畑であり、ここを所有している生産者はほんのわずか数えるほどのみ。

そのうちのひとつが、ドゥニさんのDomaine Marchand Freres。
さぞかし、このグリオット・シャンベルタンが自慢かと思いきや、

「3つのグラン・クリュの中で個人的に最も好きなのは、シャルム・シャンベルタン。グリオットと言うとありきたりすぎるでしょ?(笑)シャルムには自分の好きなエレガンスさとフィネスがあるからね」と言います。


ドゥニさんイチオシ “Charmes-Chambertin”

余談ですが、今の場所に移る前の1982年ヴィンテージまでは、グラン・クリュのグリオットもシャルムもジュヴレイ・シャンベルタン・ヴィラージュに混ぜ込んでいたそう!
同じく、クロ・ド・ラ・ロッシュもモレ・サン・ドゥニ・ヴィラージュへ!
1982年まではドメーヌでは3つのワインしかつくっていなかったそうですから、これ以前のマレシャンのヴィラージュワインを見つけたら超ラッキーです



彼らのコンセプトは “できる限り人の手を加えない自然なワインづくり”

「ブドウ本来の良さ、―バランスがとれて健全であること― を前面に出すことが大事で、過度な抽出を行わず、ピュアな果実味そのままを生かしたワインをつくりたい」

また、前職の経験から、農薬類の知識はプロ中のプロ。畑は区画ごとに細かく見ていき、できる限りケミカルなものに頼らないようにしながらも、必要に応じた手当を行なっているそうです。

そんなドゥニさんのつくるワインは、一体どんな味わいでしょうか?

試飲リポートは 【後編】で紹介します。


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