世界のソムリエの最高峰を決める 「第14回 最優秀ソムリエコンクール」 が東京で開催され、
世界一のソムリエが選出されたのは、つい先日の3月29日のこと。
ホヤホヤの世界最優秀ソムリエ、パオロ・バッソ氏は “スイス代表” です
となると、今年は “スイスワイン” が注目されそうな予感 ?
実はその前に、3月上旬に都内で開催されたスイスワインの試飲会で出会ったワインが面白く、これは紹介せねば!と思っていた矢先のチャンピオン誕生で、まさに絶妙なタイミング!
私が出会ったのは スイスの “ シャスラ ”
“シャスラ”(Chasselas)といわれても、すぐにはそのブドウ品種の特徴が思い浮かばず、あれ?どんなものだっけ?というのが本音の人が多いのではないでしょうか?
シャスラは、スイス、フランスのサヴォワ、ロワール、アルザス、ドイツやオーストリア、さらに東欧地域などでも栽培されている白ブドウ品種です。
世界のシャスラの8割はスイスで栽培されています。
よって、シャスラはスイスを代表するブドウ品種といえるでしょう。
フランスでは、テーブルワイン用に使われたり、アルザスでは最も下の品種としてエデルツヴィッカー(複数品種のブレンドワイン)に混ぜられたりと、少々軽く扱われてきました。
ドイツでは、シャスラの別名は“グートエーデル”(Gutedel、“良き高貴なもの”という意味)。フランスとは対照的に、ドイツでは良いイメージなのでしょうか?
スイスでは、フランス国境に近い西部のレマン湖周辺で伝統的に栽培されています。
特に“シャスラの大地”と呼ばれている ヴォー州(レマン湖の北側の地域、州都はローザンヌ)では、栽培ブドウの65%がシャスラです。
今回、私が出会ったワインは、すべて ヴォー州のシャスラでした。
順に紹介していきましょう。
AOC Lavaux Dezaley Grand Cru Medinette 2010 Domaine Loius Bovard
(参考卸売価格:3280円)
ヴォー州の 6つのAOC(原産地統制呼称地方)のひとつ ラヴォー地区 のもの。
この地区は砂岩が多い堆積土壌で、畑はレマン湖に面した急斜面に多く広がり、ミネラル感を特徴とするワインになります。
Dezaley(デザレー)は村の名前です。土壌は礫岩の比率が高く、ここから生まれるワインはミネラリティと繊細なフルーティーさを併せ持ち、スイス最高峰といわれるそうです。
「ルイ・ボバール」がつくるこのシャスラは、口当たりがなめらかで、つややかな果実味が印象的でした。ほどよいコクがあり、果実味と酸のバランスにすぐれ、長い余韻もあります。アルコール度数は12.5%。
とてもよくできていると思ったら、三ツ星レストランなどでも評判のワインとか。
品が良く、料理にも合わせやすい ので、レストランで人気なのは大いに納得。
エチケットがクラシカルですが、これは1905年からのデザインそのままだそうです。発酵と熟成に使う6000リットルの大樽も50年以上の年代物。その一方で、十数年前からビオディナミに試験的に取り組み始めたり、シャスラをクローン別に少量ずつ仕込み、できるワインの違いを比較するなどの研究にも取り組んでいるワイナリーです。
シャスラ の果皮は緑で、熟すと黄色味を帯びます。
フルーティーさ、フローラルさ、ミネラル感があり、繊細で上品。よい酸味も持ち合わせているため、長期熟成も可能で、よい熟成を重ねたシャスラは、黄金色の色調を帯び、ハチミツやナッツのフレーバーが現れるといわれます。
ただ、品種自体の特徴よりも、植えられている土地の特徴をよく反映する と言われているブドウですから、土地の特徴を捉えることがシャスラを味わう際の重要なポイントとなってきます。
左)AOC La Cote Mont-sur-Rolle Grand Cru 2010 Chateau de Mont (同 2180円)
このワインの産地は、ジュネーヴとローザンヌの間のラ・コート地区。ラ・コートはヴォー州のワインの40%を生産する最大の産地です。
石灰質、粘土質に富む堆積土壌で、湖に近い場所では多くの小石を含みます。
ラ・コートのシャスラの特徴は、フローラルなアロマ。
モン・スール・ロール は、ラ・コート地区にある12の村のうちのひとつ。
「シャトー・ド・モン」のシャトーとブドウ畑は、なだらかな丘の中腹にあり、土壌は小石が多く混ざる石灰質。所有する12haの畑の約半分がシャスラというつくり手です。
このワイン、酸がハツラツとし、骨格もしっかりしてキレがあります。シャスラのワインって、こんなにイキが良かった?最初に紹介したルイ・ボバールのシャスラとまったくキャラクターが違います。酸味好きの方にオススメです。
また、コストパフォーマンス的にもすぐれている点もオススメ。
右)AOC La Cote Vinzel Grand Cru 2010 Chateau le Rosey (同 1980円)
こちらのワインもラ・コート地区産。ただし、村は異なり、ヴァンゼル。
「シャトー・ル・ロゼー」が所有する畑は標高約500mにあり、土壌は砂と粘土に石灰質が混ざります。
タッチが軽やかで、樽のニュアンスのない、爽やかで飲みやすいワインです。アルコール度数も12%とライト。ここでは3種のシャスラをつくっているということですが、おそらくこれは若木からのもの。3年くらいまでのフレッシュなうちに飲むのが良さそう。
ここは、2000年設立、ファーストヴィンテージは2001年という新しいつくり手で、オーナーの本業は建築家、インテリアデザイナー。
最初に紹介したルイ・ボバールは創業300年の超老舗。
土壌もつくり手も多彩。
スイスのシャスラ、興味深い!
【後編】 に続きます
世界一のソムリエが選出されたのは、つい先日の3月29日のこと。
ホヤホヤの世界最優秀ソムリエ、パオロ・バッソ氏は “スイス代表” です
となると、今年は “スイスワイン” が注目されそうな予感 ?
実はその前に、3月上旬に都内で開催されたスイスワインの試飲会で出会ったワインが面白く、これは紹介せねば!と思っていた矢先のチャンピオン誕生で、まさに絶妙なタイミング!
私が出会ったのは スイスの “ シャスラ ”
“シャスラ”(Chasselas)といわれても、すぐにはそのブドウ品種の特徴が思い浮かばず、あれ?どんなものだっけ?というのが本音の人が多いのではないでしょうか?
シャスラは、スイス、フランスのサヴォワ、ロワール、アルザス、ドイツやオーストリア、さらに東欧地域などでも栽培されている白ブドウ品種です。
世界のシャスラの8割はスイスで栽培されています。
よって、シャスラはスイスを代表するブドウ品種といえるでしょう。
フランスでは、テーブルワイン用に使われたり、アルザスでは最も下の品種としてエデルツヴィッカー(複数品種のブレンドワイン)に混ぜられたりと、少々軽く扱われてきました。
ドイツでは、シャスラの別名は“グートエーデル”(Gutedel、“良き高貴なもの”という意味)。フランスとは対照的に、ドイツでは良いイメージなのでしょうか?
スイスでは、フランス国境に近い西部のレマン湖周辺で伝統的に栽培されています。
特に“シャスラの大地”と呼ばれている ヴォー州(レマン湖の北側の地域、州都はローザンヌ)では、栽培ブドウの65%がシャスラです。
今回、私が出会ったワインは、すべて ヴォー州のシャスラでした。
順に紹介していきましょう。
AOC Lavaux Dezaley Grand Cru Medinette 2010 Domaine Loius Bovard
(参考卸売価格:3280円)
ヴォー州の 6つのAOC(原産地統制呼称地方)のひとつ ラヴォー地区 のもの。
この地区は砂岩が多い堆積土壌で、畑はレマン湖に面した急斜面に多く広がり、ミネラル感を特徴とするワインになります。
Dezaley(デザレー)は村の名前です。土壌は礫岩の比率が高く、ここから生まれるワインはミネラリティと繊細なフルーティーさを併せ持ち、スイス最高峰といわれるそうです。
「ルイ・ボバール」がつくるこのシャスラは、口当たりがなめらかで、つややかな果実味が印象的でした。ほどよいコクがあり、果実味と酸のバランスにすぐれ、長い余韻もあります。アルコール度数は12.5%。
とてもよくできていると思ったら、三ツ星レストランなどでも評判のワインとか。
品が良く、料理にも合わせやすい ので、レストランで人気なのは大いに納得。
エチケットがクラシカルですが、これは1905年からのデザインそのままだそうです。発酵と熟成に使う6000リットルの大樽も50年以上の年代物。その一方で、十数年前からビオディナミに試験的に取り組み始めたり、シャスラをクローン別に少量ずつ仕込み、できるワインの違いを比較するなどの研究にも取り組んでいるワイナリーです。
シャスラ の果皮は緑で、熟すと黄色味を帯びます。
フルーティーさ、フローラルさ、ミネラル感があり、繊細で上品。よい酸味も持ち合わせているため、長期熟成も可能で、よい熟成を重ねたシャスラは、黄金色の色調を帯び、ハチミツやナッツのフレーバーが現れるといわれます。
ただ、品種自体の特徴よりも、植えられている土地の特徴をよく反映する と言われているブドウですから、土地の特徴を捉えることがシャスラを味わう際の重要なポイントとなってきます。
左)AOC La Cote Mont-sur-Rolle Grand Cru 2010 Chateau de Mont (同 2180円)
このワインの産地は、ジュネーヴとローザンヌの間のラ・コート地区。ラ・コートはヴォー州のワインの40%を生産する最大の産地です。
石灰質、粘土質に富む堆積土壌で、湖に近い場所では多くの小石を含みます。
ラ・コートのシャスラの特徴は、フローラルなアロマ。
モン・スール・ロール は、ラ・コート地区にある12の村のうちのひとつ。
「シャトー・ド・モン」のシャトーとブドウ畑は、なだらかな丘の中腹にあり、土壌は小石が多く混ざる石灰質。所有する12haの畑の約半分がシャスラというつくり手です。
このワイン、酸がハツラツとし、骨格もしっかりしてキレがあります。シャスラのワインって、こんなにイキが良かった?最初に紹介したルイ・ボバールのシャスラとまったくキャラクターが違います。酸味好きの方にオススメです。
また、コストパフォーマンス的にもすぐれている点もオススメ。
右)AOC La Cote Vinzel Grand Cru 2010 Chateau le Rosey (同 1980円)
こちらのワインもラ・コート地区産。ただし、村は異なり、ヴァンゼル。
「シャトー・ル・ロゼー」が所有する畑は標高約500mにあり、土壌は砂と粘土に石灰質が混ざります。
タッチが軽やかで、樽のニュアンスのない、爽やかで飲みやすいワインです。アルコール度数も12%とライト。ここでは3種のシャスラをつくっているということですが、おそらくこれは若木からのもの。3年くらいまでのフレッシュなうちに飲むのが良さそう。
ここは、2000年設立、ファーストヴィンテージは2001年という新しいつくり手で、オーナーの本業は建築家、インテリアデザイナー。
最初に紹介したルイ・ボバールは創業300年の超老舗。
土壌もつくり手も多彩。
スイスのシャスラ、興味深い!
【後編】 に続きます