お気楽ボランティア日記

楽しみながら、ボランティア   広がる、人の輪

「クロッシング」の衝撃

2010年08月25日 | 映画・演劇・本
 以前から見たかった「クロッシング」を見てきました。
(公開された当座は遠くて見に行きにくい映画でも、いい作品はきっとアルテリオでやってくれるので有り難いです。)

 もう、最初からずっと涙が止まりませんでした。

 簡単に言ってしまえば、北朝鮮の貧しい平凡な一家の物語です
 父親は母親の病気の薬ほしさに脱北。そのため働き手のいなくなった一家は間もなく崩壊。母親は死に、息子はストリートチルドレンから強制収容所?へ。
 父親は紆余曲折を経て(この詳しい事情がちょっと分かりづらい)助かり、息子を捜して貰い、呼び寄せるまでになり、やっと会えるのかと思ったが結局は・・・

 北朝鮮の庶民の困難な暮らし、それは食料や物がないという物質的な問題に留まらず、更に深刻なのは思想の自由がないと言うことでしょう。いつも、見張られている、国への忠誠を誓わせられる毎日。個人の思いは抹殺されていく怖さを改めて感じます。

 この映画で一番印象的だったのは、韓国にいた父親が妻が亡くなったのを知り、悲しみで酒におぼれているのを見た上司が神様のことを口にした途端、
「神様は裕福な国にはいるだろうが、貧しい北朝鮮にはいない!」
と、叫ぶシーンでした。それを言われた上司は一言も返せず、黙ってしまうのですが、とても辛い場面でした。

 
 もう一つの印象的なシーンは、息子がモンゴルの砂漠で父親を追い求めながら歩き(写真)、ついには倒れてしまう場面でした。広い広い砂漠。昼間は暑くても、夜は冷え込む砂漠は、かつて私も訪れた場所なので、その過酷さは想像が付きました。
 たった一人、横たわる少年の上に広がる星空の美しさ・・・母親から託された結婚指輪をはめて、少年は死んでいきます。

 私達は「隣人」として、今、何が出来るのでしょうか?・・・祈ることの他に。

 
コメント
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