一気に読んだ「伽羅の香」(きゃらのかおり) 宮尾登美子著
ブックオフでぶらぶらと本を探していたら・・・宮尾登美子の本が!「「伽羅の香」?未だ読んでない作品があった! 伽羅の香り・・・といことは香道の本か。
「香道」というと、真っ先に思い出すのは大学時代の三条西先生の講義。大学が国文だったせいか、香道の家元である先生の講義で、はじめて香道なるものの存在を知った。
しかし、大学では座学のみだったので「一度はお香を聞いてみたい」と思っていた。・・・それが実現したのは10数年前、市民館の講座の中に「香道」を見つけて、参加したときだった。
だだっ広い和室で老若男女15人くらいはいたように思う。・・・順番にお香が回ってくるので手で囲むようにして小さな香木の香りを聞く。そして、お香の名前を紙に書き付ける。・・・しかし、肝心の香りがほんの僅かで、いくら鼻を寄せてもなかなか何の香りか分からなかった!
数回の講座だったが、最後までよく分からないまま終わってしまった!・・・ああ、香道ってこんなに難しいものか、という嘆息が残ったのみである。
しかし、この本を読んだら、もう一度お香を聞いてみたいなあと思った。主人公葵が、波瀾万丈の生涯を送る中で出会い、虜となった香道。宮尾の優れた描写力で、優雅な香りが何度も漂ってくるような気がした。
やっぱり面白い「原始キリスト教の一断面 福音書文学の成立」 田川建三著
田川の評判を周囲の人に聞くと良くない。すこぶる良くない。・・・でも、面白い。こんな標題の本、今までの私なら絶対買わないし、手に取ることもないと思う。しかし、田川の本だと少々高額でも買ってしまう。
なぜなら、①読みやすい!頭の悪い私でもすいすい(とまではいかないが)読める。読み出したら止まらなくなるくらい面白い。
②考えさせられる。今まで自分が漠然と抱いて疑問が、田川の本を読むと輪郭がはっきりしてくる。そうか、そういうことか、そういう見方もあるのか、とガツンとやられる。
③他の研究書を読んでないから、あくまで私の勝手な感想だが田川は凄く博識だし、研究熱心だと思う。一体彼の才能はどこまで・・・
④彼は、他人へ容赦がない。悪口がいっぱい書いてある。「マルコ福音書 上巻」にはその本の出版社の悪口まで堂々と書いてあって、笑ってしまった。それは、活字を縦組みか横組みかの問題なのだが、交渉しても思い通りにならなかったので「無神経さには、ここではっきりと反対しておく」と、後書きで記していた。
しかし、自分にも厳しい田川氏、きちんとあやまっているのが面白い。
ほっとのスタッフのKさんも田川ファンで、「どれでも読み終わったら貸してね」と、頼まれてる。でも、その前に今まで貸してる田川の本、返してね!