拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

関西の椿姫は「けったいやな」と歌う

2021-02-22 09:18:30 | 音楽
おちょやんが芝居で毒を飲んで「けったいやな、ちょっとも苦しいことあらへんわ」と言った。私、「椿姫」でヴィオレッタが「e strano」(不思議だわ)と言うシーンを思い出した。うん、「e strano」の訳は、関西で上演するときは「けったいやな」で決まり!早速歌ってみる。(移動度で)♪けったいやな(ミッレレドド)、けったいやな(ソッファファミミ)……この後、アリア「そはかの人か~花から花へ」へ入っていく。「そはかの人か」が終わると「花から花へ」へのつなぎの部分。「Follie! follie 」(馬鹿な、馬鹿な)。ここは「あほちゃうか」がよいでしょう(そのとき「あほちゃいまんねん、ぱーでんねん」と返してはいけない。オペラが壊れる)。♪あほちゃうか(ソソソーミ)、あほちゃうか(ドドドーソ)。そして、「Abbandonata in questo Popoloso deserto,Che appellano Parigi」(パリと呼ばれるこの砂漠に捨てられ)。ここをワタクシは、「Abbandonata」を「Abbandonato」に代え(一応男なので)、「Parigi」を「Tokyo」に置き換えて、孤独な我が身を思って泣くのである(コロナ禍ではなおさら。そう言えば「東京砂漠」って歌があった。前川清が歌ってた)。そして装飾音ばりばりの「花から花へ」!これをグルベローヴァで生で初めて聴いたとき、私は開いた口が塞がらなかった。異次元の世界に連れて行かれた感じだった。そうだ、誰か歌いまくる会のソロ・コーナーでこれ歌わない?盛り上がるよー!「おちょやん」に戻る。その後、舞台上で相手役の男がおちょやんにブチュー。その際、思い出したのは映画「ニュー・シネマ・パラダイス」(Nuovo Cinema Paradiso)。アモーレの国イタリアでさえ、映画のキスシーンがカットされたのである(エンディングは、カットされたキスシーンのオンパレード。音楽とあいまって萌える映画でありました)。同調圧力の日本で、しかも戦前とくれば、公然でキスをするなんざ、現代、道ばたで営むのに等しい公然わいせつ行為であったろう。客席に官憲もいた。明日の取調べのシーンは必至である。因みに、「道ばたで営む」と言ってもテキ屋ではない。寅さんであるまいし。って書いたら、寅さんの口上が聞きたくなった。「いきなねーちゃんたちしょーべん」で終わるやつ。