拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

DUETのバーター

2021-02-09 09:39:06 | 音楽
ドン・ジョヴァンニの従者レポレロはカタログを持ち歩いていて、主がいたすたんびにお相手の名を書き込んだ。ドン・ジョヴァンニは相手は誰でもよかったということだから、こと自体がもたらす悦びよりもカタログを一杯にすることに主眼が移っていたのだろうか。ドン・ジョヴァンニ(ドン・ファン)と並んでその道の達人だったカサノヴァもそうだったようで、フェリーニ監督の映画の中で、どうにもその気になれないお相手とやり遂げるため、見える範囲で別の美女にポーズをとってもらって励むシーンがあった。もし、私がその手のカタログを自分自身のためにしつらえたとしても、最初のページからして真っ白である。だが、DUETをした相手ならどうだろう。手帳サイズにでっかい字で書けば、最初のページくらいはうまるだろうか。試してみよう。初期の頃、お相手を願っていたのはS年上容疑者であった。だが、あるときS容疑者が若いオトコを連れてきてそのオトコとDUETをした。失意の私は次にAもっと年上容疑者と何回かDUETをした。だが、早々に捨てられた。A容疑者は、魅力的かつ奔放なインテリ女性であったからその後何人かのオトコとDUETの遍歴を重ねた。私が女性不信になったのはこの頃からである(念のために言うが、今回の話は事実をベースにしたフィクションである)。たかがDUET、されどDUET、その道は男女の道に微妙に通じるものである。並んで歌う二人を見て、単に歌を楽しんでいるのか、それともその奥に燃えたぎる愛欲が潜んでいるかを見分けるのも一興である。それはそうとして、とりあえず私のカタログをお相手の名で埋めなければならぬ。K同級生容疑者とも一度した(誤解を招く表現。だが「DUETした」だと文章がしつこくなる)。え?その後は、最近2回お相手を願ったM一回り下容疑者まで飛ぶ?それでは最初のページすら埋まらないではないか。そうだ、楽器も入れよう。すると、Y先生容疑者が入る。さらに、この際である、屈辱的であるがオトコの名前も書こう。すると、F親世代容疑者とMちょっと下容疑者の名前が加わる。サウナで「故郷の話をしよう」とささやいてきた例の小太りのおじさんとは二重唱はしてないから着外である。そう言えば、某会で男二人の二重唱はめったに見ない。私が覚えている限り2回だけ。いずれも私がからんでいる。光栄なことである(?)。あっ、歌と楽器のコラボも入れればもう一つあった。若夫婦容疑者の夫殿にメサイアの「トランペット」を歌ってもらい、私がクラでトランペットのパートを吹いたことがある。夫殿も入れよう。ここまでか。うーん、これでは1ページも埋まらん。そうだ、名案を思いついた。「バーター作戦」である。某会では、あの人とDUETを歌いたいがあまりしゃべったことがないのでなかなか誘えない、という人が結構いるかもしれん。たしかに、DUETのお相手をお願いするのは、ダンスパーティで踊りのお相手をお願いするごとく、結構勇気のいることである。私がそこを斡旋するのだ。その際、バーターとして私とのDUETを抱き合わせるのである。「イージマさん、あ、あたし、彼と一緒に歌いたいんだけど、どうにかならないかしら」「え?彼?そうだねー、彼はイケメンで人気だからねー、3回は私と歌ってもらわないと。え?あの小太りの彼?彼なら1回でいいや」等々。