拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

飲み逃げ詐欺(ジャパン「ワズ」ナンバーワン)

2021-02-06 09:57:14 | 日記
欧米では昨年暮れからコロナのワクチン接種が始まっている。アジアでも中国やインドでは始まっている。だが、日本はまだ。それも不思議だし、そのことで政府を追及しない野党やメディアも不思議である(総理の発信力を問う暇があったらこのことを追究してほしい)。ようやく、こないだの総理の記者会見の最後の質問で、海外メディアの記者がこの質問をぶつけた。答えは、日本はワクチンの確保には成功したが、「国民性」「手続」「ワクチン会社」に原因があって始められないとのことだった。国民性!はるほど。ワクチンを打つ前から打った後の心配ばかりしている。アンケートによると国民の半数はワクチンに不安を持っているという。それからやはり「手続」か。煩雑な縦割りで物事がちっとも進まない。私は、もしかしたら日本は先行する欧米の状況をじっくり観察して十分な手立てを整えている。だから始まるまで時間がかかるが始まったら早い。スイスイスイで、欧米がぐずぐずしている間にあっという間に追い抜いて国民全員のワクチン接種が完了する、などという夢物語を1%くらいは期待していた。しかし、始められない原因の一つが「手続」と聞いて、その1%の夢も泡となって消えた。実際、今後のスケジュールについての大臣の発言がどんどんトーンダウンしている。私は毎朝海外ニュースを見ている。どこかの国のメディアが「先進国はワクチン接種が予定通り進んでない。しかし、途上国は始まってすらいない」と言っていた。また、やはりどこかの国のメディアが「豊かな50の国でワクチン接種が始まっているが、貧しい国ではまだである」と言っていた。日本は「先進国」「豊かな国」であるにもかかわらず接種が始まっていないのか?それとも、そもそも「先進国」「豊かな国」ではないのか。私が小学生のとき、輸出と輸入はほぼ半々で輸入の方が少し多かった。まだまだこれから、って感じだった。今から思えば、そもそも私が生まれたのは戦後わずか13年しか経ってない年である。その後、先人のがんばりで日本は急成長し、70年代には先進国の仲間入り、80年代に入ると日本の企業がアメリカの有名企業を買収したりして「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なる本まで現れた。それがピークだった。今言うならば「ジャパン・ワズ・ナンバーワン」である。そんなときにコロナが追い打ちをかけた。今後、衰退の一途で私が子供の頃に戻るのだろうか。萩尾望都の「百の昼と千億の夜」(原作は光瀬龍だが、読み比べてみると萩尾望都の創作が相当入っているのが分かる)に、大西洋にあった伝説の島アトランティスが繁栄の後、神の怒りに触れ一瞬にして海に沈んだとき、住民が「さんざいい思いをさせて、最後これかよ」と神を呪う場面があった。それを読んだ時、いい思いを知って没落するのと、いい思いを知らないまま一生を終えるのとではどちらが幸せだか考えた。一度いい思いをすると、また経験したくなり、その欲求に胸を焦がすことになる。例えば、私は、生涯で一度だけ、と思ってロマネ・コンティを飲んだ。……(旨すぎて言葉が出ない)。その旨さは、かりに床にこぼれたら必ず這いつくばってすするに違いない程である。そんなだから、一度だけと思ったのにまた飲みたくなった。だが、私が飲んだ当時は1本10万円だったが、今では(ヴィンテージにもよるが)200万円である。手が出ない。あの旨さを知っていながらもう二度と味わえないというのは残酷である。そういうことなら飲まなかった方がまだよかった。そういうことである。ちょっと思った。かりに、どっかの美女に、ロマン・コンティを飲ませてくれたら付き合ってあげる、と言われたらどうしよう?いやいや、飲み逃げ詐欺には要注意である。いやホント、心にきざもう、ということで、今回のタイトルが土壇場で「飲み逃げ詐欺」になり、当初タイトル候補だった「ジャパン・ワズ・ナンバーワン」が副題に降格した次第である。追記。「要注意」と書いたが、一瞬いい夢を見るのもアリ?などと思ってわざわざ追記するあたり、相変わらず煩悩まみれのワタクシである。