麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第490回)

2015-07-05 22:15:33 | Weblog
7月5日

「白鯨」読んでいます。読めば読むほどいい訳。なんといっても「海洋冒険小説」という外枠を踏み外さず、哲学的な叙述もあくまでその一部として訳してある、語り口の統一感がすばらしい。これはかなりすごい技だと思います。国書刊行会のメルヴィル全集は坂下昇個人全訳で、もちろん大した仕事なのですが、この方の訳文は「白鯨」を含め、ちょっと難しくなりがちです(「タイピー」(福武文庫)は坂下訳で読みましたが)。以前挑戦して挫折した難物「ピエール」も私が知る限り坂下訳しかないのですが、誰か新訳文庫とかでもう少しわかりやすく訳してくれないものか。中短編は原光訳で読み、満足しているので、どなたかぜひ「ピエール」をさほど苦労なく読めるようにしていただきたい。――そんなことを考えながらモビーディックを追っています。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 生活と意見 (第489回) | トップ | 生活と意見 (第491回) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事