鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

国民目線が欠けていた自民党総裁選のシラケぶり

2009-09-29 | Weblog
 28日行われた自民党総裁選に予想通り谷垣禎一元財務相が選出された。今回の総裁選は谷垣元財務相以外に当然出馬すると目されていた人がいずれれも出馬を見送り、わずかに派閥解消と若返りを唱える河野太郎元法務副大臣とあて馬的に出馬した無名の西村康稔前外務政務官3氏の争いとなり、横綱と幕下の争いだった。派閥解消と出直しといいながら、相も変わらず派閥長老間での暗黙の合意があったのは確かで、変わるべきとされていたにも拘わらず旧態依然たる自民党の体質をみせつけた。
 総裁選の結果は議員票が谷垣氏120票、河野氏35票、西村氏43票、地方票もそれぞれ180票、109票、11票となり、全体の6割を谷垣氏が集めて第1回投票で過半票を獲得し、当選を果たした。具体的な名前を挙げて長老は引退すべきだと演説した河野氏は議員の反発をくらって、議員票では無名の西村氏より低い支持にとどまった。しかし、総選挙での惨敗で自民党に出直しを求める地方票では100票を超える根強い支持を集めた。
 仮に河野氏が地方票で過半票を集めて、1、2位の決選投票となって河野氏が敗退した場合には地方票を無視したことになり、問題となるのではないか、と懸念していたが、そうはならなかった。自民党を変えなければならないとの思いはあるものの、自民党解体的な言辞の河野氏を全面的に支持するには至らなかったともいえる。
 今回の総裁選の地方票の投票率は46.65%と50%を割る過去最低級に止まり、改めて盛り上がらない選挙であったことを裏付けた。総裁となっても国政には直結しない内輪の選挙ということもあるが、出馬したのが選ぶに値いしない3人だけで、最初から出来レースであることが見え見えだった。総裁が決まった後のテレビ報道で、なんの実績もない小泉進次郎議員にコメントを求めていたのも不思議なことだった。
 谷垣氏はもともと安倍晋三首相が誕生した3年前の総裁選に出馬して、敗退しているうえ、数々の要職にも就いており、総裁としての識見は十分にある人物である。「麻垣康三」と小泉政権後の後継首相候補の一人とされていたので、この4人のなかで最後の登板となった、いわば遅れてやってきた総裁でもある。
 28日に総裁に選出されて午後9時からのNHKテレビのニュースの登場して「地方の声や痛みに耳を傾ける」などと抱負を語っていたが、司会から当面する温室効果ガス25%削減や八ツ場ダム建設中止などの問題に対する姿勢を問われ、野党の党首としてはいかにも歯切れの悪い応答に終始していた。谷垣新総裁はやはり平時のリーダーであって、難局をきりもりできるだけのリーダーシップについては疑問符を感じざるを得なかった。
 今回の総裁選は消去法で谷垣氏に落ち着いた選択で、自民党の内部事情から選出された党首という感が強い。国民がいま自民党に何を求めているか、をじっくりと考えて、そのためにはだれが一番ふさわしいか、という国民目線が欠けていたと言わざるを得ない。
 谷垣新総裁は即座に党人事を決め、シャドウ・キャビネット(影の内閣)についても発令して、民主党政権に対抗していく構えを見せているが、河野氏が唱えた派閥解消・若手の登用をどの程度織り込むかで、その成果のほどがうかがわれることとなろう。
 自民党議員にとっては本格的な野党議員としての活動は初めてのことで、なにかと戸惑うことが多いだけにちぐはぐな言動も行われることだろう。民主党政権が機能するためにも野党たる自民党のチェック・アンド・バランスが必要なだけに期待したいのはヤマヤマなのだが……。
コメント (1)
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