鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

N響コンサートを楽しむには1人1500円の3階のE席で十分ということがよくわかった

2016-05-15 | Weblog

 15日は東京・渋谷のNHKホールでのN響演奏会を聴きに出かけた。N響の演奏会はかつてはS席の定期会員となって毎回聴きに通ったこともあったが、最近は年金生活に入ったこともあって、音が意外とよく聞こえるという3階席でもいいや、との心境になって、今回は初めて1500円というE席のチケットを購入し、自由席なので、開場の午後2時になってしばらくしてから入場し、3階席に赴くと、意外や意外、E席の最前列のC8の列はすでに埋まっていて、なんとかその3列後ろの中央に近い席を確保した。音楽通の人は良く知っているのだ、と思い知らされた。

 この日の演奏会はいずれも尾高忠明指揮による演目で、まず武満徹の「波の盆」が演奏された。1983年に日本テレビ系列で放送された同名のドラマの音楽を演奏会用に組曲にしたもので、ドラマは日系人の山波公作とその家族の複雑な人間関係を回想しており、戦争とは何かを問いかけた秀作である。曲は柔和な響きの序奏で始まり、ヴァイオリンによって奏でられるメロディーが全曲を通じて流れ、全体を統一する役目をはたしている。武満トーンと言われる柔和でリリカルな響きが希望の光のような余韻を残すものとなっている。

 続いて演奏されたモーツアルトの「2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調K。365」は2台のピアノを弾くピアニストの小曾根真とチック・コリアが入場してきて、チック・コリアがポケットから持っていたカメラを取り出し観客席を撮影しだした。そして、相方の小曽根真、それに指揮者の尾高忠明、それに楽団を撮影しだした。こんなに観客が入っているのは初めてなのか、と想像されたが、ジャズピアニストのベテランとして活躍している経歴からして、そんなことはまず考えられない。余興として演じているとしか思われなかった。ピアノの席に座ってからも鍵盤を叩いて音を出して指揮者からたしなめられる場面もあって、あれっと思わせた。

 ところが、演奏に入って、その見事な演奏ぶりと相方と掛け合いの弾きっぷりは素晴らしく、満場の拍手を浴びていた。チック・コリアはここでも小曾根真と肩を抱き合い、観客に背を向けて再びカメラ写真を満場の観客を背景に撮っていたのが印象的だった。行儀のいいNHK交響楽団の演奏会でここまでハチャメチャな素振りを示したのはおそらく初めてのことだろう。 何回もカーテンコールを繰り返した後に今度は小曾根真と二人で楽譜なしでアンコール曲として「黒いオルフェ」を演奏した。N響のコンサートでアンコールをするのはあまり例がなく、これも異例のアンコール披露となった。

 最後はエルガーの変奏曲「謎」作品36が演奏されたが、題名通り謎を含んだ曲で、普通交響曲なら第1楽章、第2楽章といくのだが、この曲は第1変奏から第14変奏まであり、それぞれに作曲家のエルガーの友人たちを主題としたものとされており、それぞれが味わい深い作品となっていて、題名とおりの謎が深まる仕掛けとなっている。

 今回は3作品ともそれなりに味わい深い作品となっていて、そのせいかいつものN響コンサートと比べて観客の入りが多かったような気があする。初めての3階席は予想通り、音の響き具合いはよく、これならなにも高いお金を払ってS席やA席を取る必要もなく、今後とも3階席でN響コンサートを楽しむに限ると思った。

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