ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫) | |
クリエーター情報なし | |
アスキー・メディアワークス |
図書館にかなり前から予約してあった本だが、先日やっと借りることができた。
だが、借りることができたのは第2巻だった。本当は第1巻から読みたかったのだが、まだまだ予約が多くて自分の番になるのは先になりそうだ。
止むを得ず、第2巻から読んでみた。
この作品は、古書に関して並外れた知識を持つが、極度の人見知りである古本屋の店主・篠川 栞子(しのかわ しおりこ)と
本作の語り手であり古本屋の店員である五浦 大輔(ごうら だいすけ)が主人公である。
内容は、栞子が客の持ち込む古書にまつわる謎を解いていくというものだ。
作中で扱っている古書は実在のものであり、本好きには興味をそそる薀蓄がいろいろ書かれている。
第3巻までで、現在累積発行部数300万部を突破したというベストセラー小説でもある。
ストーリーは、古書ごとのエピソードに分かれているが、基本的には第1巻から繋がっていている。
ただ、今までのエピソードがところどころ書かれているのでストーリーの流れは第2巻からでも何となく分かった。
今後の展開では、栞子とその母との謎めいた関係がだんだん解き明かされるのではないかと予想している。
まずは、第1巻を早く読んで、第3巻にたどり着きたいものである。
さて、作中で扱われた古書 にはこんな本がある。
第1巻
夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)
小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)
ヴィノグラードフ、クジミン共著『論理学入門』(青木文庫)
太宰治『晩年』(砂子屋書房)
第2巻
坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)
アントニイ・バージェス『時計仕掛けのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)
福田定一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)
足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)
第3巻
『王様のみみはロバのみみ』(ポプラ社)
ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(集英社文庫)
宮沢賢治『春と修羅』(関根書店)
私が読んだのは、第2巻なので『時計仕掛けのオレンジ』『名言随筆 サラリーマン』
『UTOPIA 最後の世界大戦』の薀蓄が特に興味を惹いたし、面白かった。
『時計仕掛けのオレンジ』は、キューブリックによる映画が有名だが、映画は原作に忠実ではなく、
原作とは違うイメージで作られていたというのは意外だった。
というのは、当初米国で発行された初版本は、最終章が削除されていて原作者の意に反していたという。
映画は、最終章がない初版本を元に製作されたのだ。
しかし、その後完全版と称し最終章が加えられたものが発行されたので、
初版本と完全版とでは読んだ人の感想が異なるというのが、この古書でのキーポイントとなる。
また、『名言随筆 サラリーマン』を書いた福田定一、『UTOPIA 最後の世界大戦』を書いた足塚不二雄という作家は、
まったく聞いたことのない名前だったが、意外にも凄い作家の本名であったり、売れない時期のペンネームだったりするのだ。
本作では、こういった薀蓄を元に登場人物の謎や企みが解き明かされていく内容となっている。
そして、本しか興味がないようだが、透き通るような肌をした美人の栞子と栞子に恋焦がれる五浦 大輔との関係がどうなっていくかも気になる。
3巻以降もまだ続いていくようなので、今後も読み続けていきたい小説だ。
楽しんでいただけたようで、嬉しく思います。
それにしても、読書のカテゴリーでラン友の方が
コメントくれるなんて嬉しいですね。
まだ、3巻は読んでいないのですが「たんぽぽ娘」の事件簿は
特にお薦めなんですね。
手元に回ってきたら、しっかり読んでみようと思います。
ビブリア書店の事件簿は3巻とも大好きで、あの古本屋の店主の篠川 栞子さんが、とてもかわゆく表現されていていいですね。3巻目の最初が「たんぽぽ娘」についての事件簿ですが、この本が浜松城北図書館に閉書であります。表紙の絵がたんぽぽ娘が描かれています。興味があれば借りてください。